大学間連携イベント「国際協力ボランティアを知ろう」を実施しました。

 グローバル協力センターは2015年2月12日(木)と13日(金)、大学間連携イベント「国際協力ボランティアを知ろう」を行いました。この合宿イベントは、JICA二本松青年海外協力隊訓練所の協力を得て行われたもので、アジアやアフリカ諸国でのボランティア経験者や派遣前の訓練生との交流を通じて国際ボランティアの役割や草の根国際協力のありかたを考えるものです。本イベントにはお茶の水女子大学、奈良女子大学、宮城学院女子大学の3校から19名の学生が参加しました。北野訓練所所長と元青年海外協力隊員の方々による講義、訓練生との交流、訓練体験などを通して、国際協力ボランティアについて知識と考察を深めることができました。また、プログラムの最後には、福島県で活動する社会企業「女子の暮らしの研究所」代表の日塔さんに「女子が伝える福島」と題する講演をしていただきました。
 以下は、参加した学生の報告です。


(北野所長による講義)

一日目
 お昼に二本松訓練所に到着し、おいしい昼食を食べたあと、施設見学を行い、訓練生が生活する館内を実際に見て回りました。私が特に感銘を受けたのは語学を学ぶ教室がある棟です。派遣先では言語は最も重要な能力の一つであるため、訓練期間のうちの語学の割合はとても高く、教室の扉や廊下の壁面には複数の言語が書かれた掲示物が多数ありました。また、「speak your target language」と書かれた看板が天井から吊り下げられており、言語習得に対する意識の高さが窺えました。
 施設見学のあとはJICA事業・JICAボランティア事業の概要について、北野一人所長からのお話がありました。2015年は協力隊発足50周年であり、国際協力の一つの節目である、というお話が始めにあり、それからボランティアに必要な要素やボランティアを行う意義についてお聞きすることができました。ボランティアとは、ということを改めて考える良いきっかけとなりました。また、国際協力、というとても曖昧で大きな活動は、個人の「人と人とのつながり」という小さな活動が積み重なって達成されるのだと感じました。

(お茶の水女子大学文教育学部人文科学科1年 木村 翠)

 所長からJICA事業についてご講演いただいた後には、「JICAボランティア経験者による講義とディスカッション」という講座名で、実際に青年海外協力隊として2010年から計3年間ウガンダにて活動された田中さんと、2012年から2年間バングラデシュにて活動された佐藤さんのお話を伺いました。ウガンダやバングラデシュの文化について、現地でのお二人のお仕事について、当時の写真を交えながら教えていただきました。やはり経験者の生の声は心に響くものがあり、青年海外協力隊が身近に感じられました。


(ウガンダ、バングラデシュ元隊員の田中氏、佐藤氏と
 記念撮影)

 お二人のご講演の中で、生き方について考えさせられる場面がありました。「やらないで後悔よりやって後悔しよう」というモットーをお持ちの田中さんからは、「今日をきっかけに一歩ふみだしてみませんか?」という言葉をいただきました。参加学生それぞれが、夢を叶えるために一歩踏み出すなら何をしようかと、自分と向き合う良い機会をいただけたと思います。また、佐藤さんからは、バングラデシュで感じた心の豊かさを踏まえて、「日本は便利で暮らしやすいけれど、心は豊かなのでしょうか。人間の便利さと引き換えに失ったものはなんだろう。」という考えさせられる言葉をいただきました。私はその言葉を聞いて、電車の中の光景が頭に浮かびました。私は毎日電車で通学していますが、車両の中はいつも同じ光景です。疲れた顔の人が多く、ほとんどの人は寝ているかスマートフォンをじっと見つめています。何が自分にとって幸せなのか、一度じっくりと考えてみたいなと思いました。

(奈良女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程1年 大村 夏美)

 1日目の最後に派遣前の訓練生の方々から様々なお話を聞くことができた今回の交流で、私の海外青年協力隊に関する考え方が変わるとともに、国際支援の多様性を感じることができました。

 海外青年協力隊と言うと、国際支援に対して意識が高い人の集まりなのだと思っていました。しかし、実際にお話を聞いてみると、自分自身のステップアップが目的だと話した訓練生の方も多くいました。正直私は、国際支援の気持ち、つまり善意に近い気持ちを持っている方ばかりが参加するのが海外青年協力隊だと考えていたのでとても驚きました。

 中でも印象的だったのが、自分の得意な分野で自分自身と同時に、途上国も一緒に発展していけたらいいと言う訓練生のお話でした。このお話を聞いて私は、自分の強みを生かし、途上国で自分自身と相手国の人々のステップアップができることも国際支援の一つの利点だと感じさせられました。もちろん国際支援を目的として考えている方もいます。しかし、相手に「何か与える」と言うことだけではなく、「自分も一緒に成長する」ことを海外青年協力隊では求めていいし、これも一つの国際支援なのだと感じました。これは、今回訓練生と話す機会がなければ分からなかったことだと思います。

 私は、国際協力の多様性を知りました。国際協力を行うとき、どのような動機があっても良いのだと感じたし、派遣される訓練生達の分野も違うのだから、どんな形の国際支援があっても良いのだと感じました。訓練所では、自分の目標の支援の形にするために、一人ひとりが語学や様々な生活に関する知識を学んでいることも知りました。こうした努力が、途上国と海外青年協力隊の力となると感じました。訓練生とお話しすることができ、本当によかったです。これを機に、私自身も国際支援について興味があるので、今後もっと国際支援について考えて、私自身の支援のかたちを探していきたいなと思います。

(宮城学院女子大学学芸学部国際文化学科2年 岡田 優紀)

二日目
「女子が伝える福島」を聞いて
 「女子の暮らしの研究所」の日塔マキさんが講演に来てくださいました。2011年3月11日に起きた東日本大震災、そして、それに伴って福島の原発事故が発生したことは、多くの人々の記憶に新しいところなのではないでしょうか。今回、日塔さんは、女子の視点から「ふくしまの今」を考えるということをテーマに話をされました。


(女子の暮らしの研究所日塔氏による講演)

 まず、「女子の暮らしの研究所」が具体的にどのような活動をしているのかということを説明してくださいました。原発事故によって不安が広がる中、それを軽減するためにからだについて学ぶイベントを開催したり、政治や原発についてのトークをするラジオ放送をしたり、とても幅広い活動をなさっているそうです。また、「ふくしまピースプロジェクト」といって、ふくしまの伝統工芸品に「かわいい!」をプラスして素敵なものを作ろうという、ふくしまのいいところを再発見し、発信するといった活動も行われています。
東日本大震災、そして原発事故の時の現状もお話してくださいました。実際に原発事故が起こるまでは、その場所や距離、影響などを知らなかったということ。不安なのに守ってもらえない辛さ。そして、衝撃的だったのは、「福島ナンバーお断り」という張り紙を見たというお話。生活の大切な基礎である電気の消費を支えている、原子力発電についてほとんど理解していないということは、非常に危険なことなのだと再認識しました。「知ることで選べるようになる」「私たちの声(選択)は選挙によって政府に届く」という日塔さんのお言葉は、今まだ学びの段階にあり、そしてこれから投票という形で社会とかかわっていく私には、重く響きました。
 記憶は風化してしまいます。しかし、このように実際にお話を伺うことで、改めて震災や原発に関して考えるきっかけになりました。知ること、選ぶこと、意見を表明すること。それこそが、これから日本に住む人々がより幸せな生活を送るための第一歩なのではないかと思いました。

(お茶の水女子大学文教育学部人文科学科1年 五十嵐 由華)