JICA大学生国際協力フィールド・スタディ・プログラム参加報告

 大学生が開発途上国での現地プログラム見学を通して、グローバルな視点と問題発見・解決能力を身につけ、「グローバル人材」として将来活躍できるよう支援することを目的とするJICA大学生国際協力フィールド・スタディ・プログラム(以下、FSP)の公募に本学から2名の学生が合格し、事前学習を経てインドネシアとカンボジアの国際協力プロジェクト見学を含むプログラムに参加しました。プログラムに参加したお二人に報告を寄稿していただきました。

インドネシア


青年海外協力隊員とのディスカッション・イベント

 2015年2月15日から3月4日までの18日間、FSPに参加し、インドネシアに渡航しました。
 プログラム全体を通してのテーマは「持続可能な社会の発展とは~日本の国際協力のあり方~」というもので、プログラムの前半は国際協力の現場理解として日系企業や国際協力プロジェクトを視察し、後半はプロジェクト村でのフィールド調査を行いました。訪問都市はジャカルタ、バリ州、南タンゲラン市の3つです。
 首都であるジャカルタではJICAインドネシア事務所や日系企業を訪問し、様々なアクターによる国際協力について学ぶ機会を得ました。観光都市のバリでは、現地のウダヤナ大学の学生とともにゴミ集積所やマングローブセンターなどを訪問し、観光と環境の両立について議論し、現地の人にとって必要な開発への理解を深めました。南タンゲランでは、インドネシア教育振興会によって実施されている環境教育の草の根パートナー事業の視察と、フィールド調査を行いました。


南タンゲランでのフィールド調査

 今回の渡航でもっとも印象的だったことはインドネシアが持つ多様性と経済発展の様子です。インドネシアは1万8千余りの島からなり、300以上の民族や言語が存在すると言われています。プログラムを通して宗教と言語の多様性に触れることができました。また、ジャカルタには高層ビルが立ち並ぶ一方で、路地を出るとゴミ拾いによって生計を立てている人も多数見られ、経済発展の恩恵を享受した人としていない人の間で格差が拡大しており、富の集中が発生しているという印象を受けました。
 今回のプログラムでは様々な出会いがありました。特に18日間共に過ごした専攻も学年も異なる19人の学生との出会いはかけがえの無いものであり、皆の学習意欲の高さと積極的に質問する姿勢に刺激を受けました。地域住民へのインタビュー調査は、イスラム大学の学生による通訳を介して行われ、彼らの優しさと気遣いに触れることができました。
 今回の経験を次の学習へと繋げ、将来国際社会において還元したいと思います。

(生活科学部人間生活学科2年 石川 文絵)

カンボジア


村でのインタビュー調査

 2015年2月18日から3月7日までの18日間カンボジアに滞在し、JICA事務所や現地で活動しているNGOを訪問してお話を伺ったり、NPO法人環境修復保全機構(ERECON)がプロジェクトを行っている村でインタビュー調査を行い村の方々に成果の発表をしたりと、「実際に見聞きする」ことを重視しながら国際協力への学びを深めることができました。
 現在多くのNGOが支援活動を行っているカンボジアですが、長く続いた内戦やポル・ポト政権の影響がまだ残っており、法整備が進んでおらず政府もうまく機能していない部分があるため後発開発途上国として多くの課題を残しています。そこでグループで「現地の人々のためになる活動とは何か」という問いを立てて調査にあたりました。
 まずNGOや企業の訪問で伺ったお話から、支援活動は現地化がなかなか進んでおらず持続性がないことが課題であると考えました。また村でのインタビュー調査からは、調査対象の村に住む人々は貧しいものの精神的には豊かな生活を送っており、必ずしも「貧しい=問題だらけでかわいそうな生活を送っている」というわけではないことが分かりました。一方で高いレベルの教育を受けていないという理由で自分が持つ能力を過小評価しており、自信がない面も感じました。これらのことから、現地の人々の主体性を生かして意見や発想を取り入れたプロジェクトを行うことで、現地の人々の生活や価値観に沿っていて更に自信にも繋がる活動ができるのではないかと考察しました。


農村の住居

 このプログラムに参加して学んだことの中で一番印象深かったことは現地の人々の声を聞く重要性です。国際協力を学ぶにあたってそれは当たり前のことで、カンボジアに行く前もそのことは分かっているつもりでした。しかしやはり授業を受けたり論文を読んだりして学ぶのと直接見聞きして感じるのでは印象や実感が大きく異なります。途上国は貧しく、多くの問題を抱えているということは日本でも知ることができますが、実際にそこに住んでいる人々はかわいそうな生活を送っているのではなく工夫して事足りている生活を送っており、夢や希望も持っていること、政府の政策は少しずつですが浸透してきていること、支援対象者はたまたま貧しく十分な教育を受けられていないだけでそれぞれが能力や可能性を持っている一人の人間であるということは、実際に見たり接したりすることで初めてしっかりと感じ取りました。だからこそ表面的な部分だけを見て判断するのではなく、現地の人々が本当に困っている問題は何なのか、声を聞いて突き止めなければ持続的で的確な支援は行えません。
 今回訪問した農村や調査を行った村の人々はごく一部でしたが、日本で勉強しているだけではなかなか分からない国際協力にとって大事なことを感じ取ることができました。この経験をこれからの大学での勉強や将来の仕事に役立たせていきたいと思います。

(文教育学部グローバル文化学環2年 岩城 舞鈴)