懇談会「アフガニスタン女性の暮らしの現在」の実施

 2016年1月25日、研修生を囲む懇談会「アフガニスタン女性の暮らしの現在」を実施しました。この懇談会は、アフガニスタン・カブール大学から女子教員・学生が短期研修のために来日している機会(※詳しくは、2016年1月19日付ホームページ記事「野々山基金によるアフガニスタン女子教員・学生短期研修の開始」を参照)を捉えて、同国の女性が置かれた現状に対する理解を深めることを目的として開催されました。懇談会では、アフガニスタン出身で現在は日本に住み、NGO「希望の学校」を設立して女性の教育や職業訓練の活動をしていらっしゃる駿渓(するたに)トロペカイ先生(元グローバル協力センター客員研究員)と研修生2人からお話を聞き、その後に参加者との質疑応答・意見交換を行いました。当日は学生、教職員の他、アフガニスタンに関心を持つ方々にも参加いただきました。


お話をする駿渓先生

 冒頭、駿渓先生から、アフガニスタンの女性に関する歴史や文化・宗教的背景について、写真を交えながらお話がありました。駿渓先生によれば、アフガニスタンは伝統的に男性が支配的な社会であり、女性は弱い立場に置かれてきました。先生は、近現代史を紐解きつつ、こうした女性を取り巻く社会の環境が紆余曲折を経て変遷する様子を丁寧に説明してくださいました。最後に、アフガニスタンの女性は大国の利害を巡る紛争の犠牲者であるばかりではなく、部族法や慣習などの伝統や、本来とは違った解釈で宗教を利用する人々らの犠牲者でもあるとのお言葉がありました。こうした状況を変えるためには、教育を通じて、女性だけではなく男性もまた権利について理解を深める必要があるとお話されたことが大変印象的でした。


懇談会の様子

 次に、研修生から、アフガニスタンの高等教育における女性のリーダーシップについて発表がありました。彼女によれば、1960年代には高等教育機関における女性教員の割合は30%以上ありましたが、ソ連侵攻及び内戦を経て、1992年過ぎには国内ではほぼ0%になってしまったとのことです。しかし、その後、状況は徐々に改善され、今ではカブール大学にある22学部の内、4~5の学部長は女性が務めているとのことでした。また、現在、女性課題省、高等教育省、麻薬対策省、労働社会福祉・殉教者障害者省など複数の省庁の大臣は女性であるなど、明るい兆しも見られるとのことです。識字率の低さなどに注目して、国際社会は万人のための教育(EFA: Education for all)ばかりに注目しがちだが、これからの国の発展を支えるには高等教育への支援にも注目する必要があるとの指摘がありました。もう1人の研修生からは、カブール大学の紹介やアフガニスタン女性が直面する問題などについて説明がありました。カブール大学は1931年に創設された歴史ある大学であり、アフガン国内には他にも南部にカンダハール大学、西部にヘラート大学、東部にナンガルハール大学及びホースト大学などがあるとのことでした。

 スピーカーからの発表後、参加者から、アフガニスタンに大学は何校あるのか、女子大学設立に向けた動向はどうなのか、アフガニスタンでは学部ごとに女子学生数に違いはあるのか、ルラ・ガニー大統領夫人への国民の持つ感情は一般的にどのようなものか、農村部における女性の状況はどうなのか、子育てをしながら働く女性は多いのかなど、非常に広範なトピックに関する質問があり活発な質疑応答が行われました。アフガニスタンの女性から直接お話を聞く機会が日本では少ないためか、参加者の関心が高い様子が窺えました。来日中の研修生にとっても、本学学生や参加者の前で発表し、意見交換することができたことはよい機会となりました。