学内公開講座「NPOの現場を知る」シリーズ報告

 2016年6月、全学共通科目「NPO入門」及びリベラルアーツ科目「NPOインターンシップ実習」の一環として、NPOの現場で実際に働く方や様々な立場からNPOと関わっていらっしゃるゲストスピーカーをお招きし、各々の取り組みの現状や課題についてお話をうかがう学内公開講座(全3回)を開催しました。

第1回「構造的貧困とNPO」(宇都宮大学国際学部国際社会学科 栗原俊輔講師)


スリランカの事例についてお話しする栗原講師

 2016年6月13日(月曜日)、栗原俊輔講師をお招きして、構造的貧困とNPOについてお話しいただきました。栗原先生は、以前、国際NGOのCARE U.S.A.でご勤務されており、スリランカ駐在の際のご経験から紅茶プランテーション労働者コミュニティを事例に、開発途上国における構造的貧困とNGOによる有効な支援の在り方についてお話しくださいました。
 栗原先生からは、イギリス植民地時代に南インドからスリランカに連れてこられたエステート・タミル人労働者の過酷な生活環境についてのお話の後、こうした労働者が国際貿易の中で今なお不遇な生活を強いられている構造的な貧困問題についてのお話がありました。こうした実情を踏まえて、労働者の選択肢の欠如が問題ではないか、先進国に住む消費者ひとりひとりに責任の一端はないのかという問いが投げかけられ、参加学生は真剣に考えていました。続いて、国際NGOによるコミュニティ総合開発事業によって住民の意識改善を図る活動や、教育を通じて将来の選択肢を増やす等の具体的な対策についての事例が紹介されました。

第2回「国際協力とNPO」(NPO法人CWS Japan 小美野剛事務局長)


NGO業界で働く心構えについて、学生に向けてメッセージを
送る小美野事務局長

 2016年6月20日(月曜日)、小美野剛事務局長をお招きして、国際協力活動とNPOをテーマに、実際の事例を用いた講義をしていただきました。小美野事務局長は、アフガニスタン、パキスタン、ミャンマーなどで、合計10年以上の人道支援現場での活動経験をお持ちで、地震や台風などの自然災害への対策、市民社会組織のネットワーク作り、アドボカシーなど多岐に渡るご専門から、国際協力NGOの現場の活動についてお話しくださいました。
 小美野事務局長からは、CWS Japanが緊急・開発支援、政策提言、能力強化を中心に活動を展開していることや、2015年に発生したアフガン・パキスタン地震の事例を元に緊急支援の現場の活動について紹介がありました。また、東日本大地震、熊本地震の際に、被災者そのものではなく、現場で活動する団体を支援する方式を取ったことをお話しされ、そういった中間支援という方法もあることを説明してくださいました。講義の後半では、国際協力業界で成功している人から学ぶプロとしての心構えと、将来の社会のリーダーとなる参加学生へのメッセージをお話しいただきました。物事の本質を捉える重要性や、人の力をうまく使うこと、最大限の興味を持って取り組むことなどについて、熱意あふれるお話をしていただきました。

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第3回「行政とNPOとの協働」(外務省国際協力局民間援助連携室 関口玲美外務事務官)

 2016年6月27日(月曜日)、関口玲美外務事務官をお招きして、行政の立場から見たNPOとの協働の現状と課題についてお話しいただきました。関口外務事務官からは、日本のODA支援の現場における外務省とNGOの協力の現状、NGOの優れた点や今後の課題などについてご講義いただきました。
 関口外務事務官からは、グローバル化に伴い問題が多様化・複雑化するとともにトランスナショナル化している現状があり、政府、民間、大学、NGO等が協力してこうした課題に対応しなければならない時代になっており、NGOはきめ細やかな支援、住民ニーズへの迅速な対応、顔の見える支援の実現が出来るなどの点で非常に効果的な支援を実施しているとのお話がありました。また、財務・組織面で欧米のNGOとのギャップを埋めることや、日本国内におけるNGOに対する認識を充分に広めることなどを今後の課題として挙げました。更に、外務省とNGOの協働を進める中で、具体的には、資金供与、能力向上、緊密な対話に向けた取り組みを行っていることや、ヨルダンで行われているシリア難民支援の事例を元に海外の支援現場の様子についてお話がありました。

 全ての学内公開講座で、参加学生からNPOの現場の活動を理解する上で勉強になったとの反響がありました。