グローバル教育センター留学派遣

ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院(SOAS)
文教育学部人文科学科 M・W

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体験記

はじめに、ロンドンで過ごした9ヶ月間に私はとてもかけがえのない時間を過ごせたことをこの機会を提供していただいた大学にとても感謝しています。
幼いころから漠然と描いていたロンドン留学。それが実現したこと自体が私にとっては大きな一歩であったし、実際にこの9ヶ月に得たものは数知れません。この体験記は①学術面について②生活面の2つのことについて書くことにさせていただきます。
まず学術に関することです。わたしの日本での専攻は地理学と日本語教育ですが、実際のところロンドン大学には地理学を扱う授業がなかったことと、この留学の一番の目的は日本語教育、言語学に関する勉強をすることでしたので、言語学の授業を多く専攻しました。いろいろな学科から自分の興味のある授業を選んで取ることが可能でした。私はロンドンで日本語を勉強している学生がどのようなことに興味を持っているのかどのような講義をうけているのかということにも興味を持っていましたので、日本文学を扱う授業も受講しました。

私の語学能力が十分ではなかったので、はじめの1タームは語学クラスと正規授業を同時に受講していました。そこではどのように論文を書けばいいのかということやプレゼンテーションのやり方を学びました。日本での専攻上、わたしはこちらに来るまでに英語で論文を書いた経験がなく、それらの授業は英語圏に求められる独特の形式化された論文の書き方を取得するのにとても役に立ちました。またディスカッションのクラスは慣れるまで会話に参加するのに苦労しました。
正規の授業に関しては、レクチャーとチュートリアル、セミナーという3つのタイプの授業がありました。レクチャーでは日本での授業と同じように教授が講義をし、ノートをとる作業です。チュートリアルは10人前後の生徒とチューターで構成され、生徒が順番にプレゼンテーションをし、チューターと他の生徒がコメントをします。チュートリアルはレクチャーの内容に関連しているので、質問などがあればここで聞く機会が与えられます。最後にセミナーですが、これも授業に関連した内容で抗議者から議題が与えられディスカッションをするというクラスです。そのほかに質問などがあればメールなどでもチューターに尋ねることができます。レクチャーでは同じLondon大学のUCL(University College of London)と合同で特設の授業を受けることもありました。1タームは10週間で形成され、はじめの5週間のあとにreading weekとよばれる1週間の休暇があります。これは授業での遅れをとり戻すために設けられているものです。通常reading week の後とタームの終わりに2,000語~2,500語のエッセイやコースワークが課されます。reading week には郊外へ出かけたりして割とのんびりできますが、終わりの3、4日はいつもエッセイに追われて苦しみました。イースター休み(3月終わり~4月半ば)が終わった後にテストがあります。取っている授業によって試験の数は異なるようでわたしは2つだけでした。

次に生活面ですが、私の場合フラットメイトに恵まれて1年を通してとても楽しく生活することができました。渡航準備段階においてはなかなか大学寮からの入居許可が届かず、大学の先生に相談をしたりホームステイを探したりして、住まいを探すのにかなり苦労したのですが、結果的に大学寮を選んで本当に良かったと思っています。フラットは7人構成で、それぞれに部屋があり、各部屋には机、ベッド、クローゼット、トイレ、洗面台、シャワーが付いています。7人でシェアをするのはキッチンと掃除用具のみです。フラットメイトの構成はイギリス人2人、イタリア人1人、トルコ、ドイツのハーフ1人、韓国人2人、私の7人で、みんな女性だということもあって、とても仲良くなりました。(申請時に禁煙、女性のみのフラットを選んだことが良かったと思います。)週に一回は“flat dinner”の日を設けて各国の料理を楽しんだり、映画やショッピングにいったり、それぞれの誕生日やクリスマスにはキッチンでパーティーをしたり・・・とフラットメイトとの思い出は数え切れません。フラットメイトのおかげでこの一年間はとても楽しく過ごせました。ここでできた友達は一生の友達になりそうです。勉強面でもエッセイに追われて苦しいときには一緒にキッチンで徹夜したり、深夜に学校に行ったり、さまざまな場面で助け合いました。大学寮ではフラットメイトのほかにもイギリス人はもちろん、世界各国の友達を作ることができました。私は日本で一人暮らしをしていたので、共同生活からいろいろなことを学ぶことができ、とても楽しかったです。

大学はロンドンの中心に位置し、大英博物館をはじめとする世界的コレクションを誇る美術館や広大な公園、教会などへのアクセスはかなり便利で、暇なときは美術館や公園によく行きました。また、UKから他のヨーロッパへのアクセスはかなり整っているので、クリスマスやイースターの長期休みを利用してドイツやスイス、オランダ、ギリシャ、マルタ共和国などに旅行に行くことができました。
このロンドンでの9ヶ月間を通して、学術面、生活面ともに視野が大いに広がりました。自分で常識だと思っていたことや、自分の興味の分野がさらに幅広く取れるものだということが分かりました。ここで得た知識と経験はこれからの将来に有益なものであると確信しています。

Q & A:留学準備

Q交換留学するために、どのように語学の勉強をしましたか?
A

週1回英会話学校に通っていました。大学では定員漏れで英会話の授業を取ることができなかったのでシェーファー先生にお願いして会話の練習をさせてもらっていました。

Q交換留学にあたり、どの程度語学の勉強をしましたか?どの程度その言語を習得し
A

渡航直前でTOEFL220点しかありませんでした。

Q交換留学に関する情報をどのように入手しましたか?
A

コースの掲示板に張り出されていました。

Q交換留学決定後、どのような準備をしましたか?
A

最終的に交換留学が決まったのは6月のはじめでしたので引越しやチケットの手配、寮の申請、書類作成などの実質的準備をしました。

Q準備期間に大変だったこと、不安に感じたことは何でしたか?
A

渡航5日前まで住むところが決まらず、ホームステイなども探さなけれならなかったことはとても不安でした。

Qどのようなビザを取得しましたか?
A

11ヶ月の学生ビザを取得しました。

Qビザ取得に関して、どのような手続きをしましたか?
A

イギリス大使館に申請し、1,2週間で返送されるシステムなので足を運ぶことなく簡単に取得できます。

Q & A:生活について

Q住宅はどのような形態(寮、アパート、ホームステイなど)でしたか?
A

大学寮です。

Q住宅をどのように確保しましたか?(学校側が手配・自分で探したなど)
A

ロンドン大学から個人に情報が送られてくるのでそれを頼りに自分で申請しました。(第三次選考まで決まらなかったので平野先生にお願いして手伝ってもらいました。)

Q住宅費は1ヶ月どのくらいかかりましたか?
A

9万円(インターネットなどすべて込みで)

Q生活費は1ヶ月どれくらいかかりましたか?現地の物価は東京に比べてどうですか?
A

住宅費は東京と同じかやや高いくらい、食材、衣類などはほぼ同じですが、レストランと交通費は東京よりかなり高いです。(例 レストラン1,000円~、地下鉄 3ポンド(600円)/回

Q学費や勉学にかかる費用はどのくらいでしたか?
A

学費は大学間の協定上全額免除されています。

Q現地の気候は1年を通してどうでしたか?
A

ロンドンの天気は気分屋で変わりやすいといわれますが、1年を通して晴れの日が多く日本よりも過ごしやすい気候です。

Q大学近くの街はどのような雰囲気ですか?
A

大学はロンドンの中心部に位置しているといえますが、大学のすぐそばには大英博物館と公園があり比較的落ち着いた場所です。ショッピングや美術館、ギャラリーへのアクセスにはかなり便利な場所です。

Q生活する上で、日本から持っていった方がいいものはありますか?
A

パソコンのリカバリーディスク、クレジットカードや保険に関する説明書一式、USBメモリ。

Q現地で生活するうえで、注意した方がいいことはありますか?
A

ロンドンは基本的には安全なのですが、やはりスリや置き引きにあった友達もいましたので、それらには自分で気をつけることは最低限必要だと思います。

Q & A:学業について

Q語学学習に特化したクラスを受講していましたか?受講していた場合は、クラスの内容・レベルやクラスメートの出身などについても教えてください。
A

はじめの1タームは語学と通常授業を同時にとっていました。それからすべてのタームが終了した後、語学に特化したクラスを受講することができたので1ヶ月間受講しました。語学クラスの内容は学術英語でのエッセイの書き方とプレゼンテーションが中心でした。クラスは日本人を含めアジアからの留学生とサウジアラビアやイランなどアラビア圏からの学生が多く、スペイン人やイタリア人、トルコ人が少数いました。

Q学部または院での授業を自由に選択できましたか?できなかった場合、どのような制約がありましたか?
A

できました。自由に選択できます。学部生であっても先生に頼めば院生の授業を受講することもできます。

Q学部または院での授業についていくのは大変でしたか?
A

なれる前まで特に大変でした。こちらに来るまでに英語での論文を書いたことがなかったので特にエッセイに困りました。

Q学部または院での授業は自分の専門性を高める上で有益でしたか?
A

はい。実際のところ日本の大学での専攻のひとつである地理の授業が留学先の大学にはなかったので言語学科や日本語教育に関する授業や概論をとっていたのですが、新しい視点や分野の勉強は自分の知識と興味を広げる上でとても有益だったと思います。

Q学部または院での授業で、現地の学生と親しくなる機会はありましたか?
A

はい。グループプレゼンテーションは現地学生と一緒に取り組まなければなりませんので準備などで親しくなれます。セミナーのクラスは15人ほどのグループですので自然に仲良くなれると思います。

Q学部または院での授業で、交換留学生に求められているもの、あるいは位置づけはどのようなものでしたか?
A

授業には世界各国からの留学生が多くいましたので、一人ひとりが国を代表したそれぞれの意見を述べることが重視されていると感じました。

Q & A:学生生活全般

Q留学した大学でどのような身分が与えられましたか?現地学生と比べて、扱いに違いや区別がありましたか?
A

システムには特に違いはありません。授業では日本人としての意見が求められることが多くありました。

QLanguage Exchangeなど、授業外で現地の学生と触れ合う機会はありましたか?
A

大学のクラスメイトと仲良くなり、よく一緒に出かけていましたし、大学寮では7人でフラットをシェアしており(イギリス人2人、イタリア人1人、トルコ、ドイツのハーフ1人、韓国人2人、私) とても親しくなりました。

Q留学生対象のオリエンテーションやイベントなどが開催されることがありましたか?あった場合、どのようなイベントでしたか?
A

日本語を勉強している生徒とのふれあいのオリエンテーションに1度参加しました。

Q & A:その他

Q交換留学をするために、事前に知っていたらいいと思う情報や知識がありますか?あったら、自由に書いてください。
A

寮の情報、受講前に読むべき文献の情報をはやめに教えてもらうこと。