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タンペレ大学

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体験記

【タンペレの町】
タンペレの面積は689.59km²、 中心人口211,691人(2010)で、フィンランド第3の町です。フィンランドはフィンランド語でSuomi(スオミ)と言います。タンペレにも約200の湖や池があり、文字通りスオミ(湖)の町です。町の中心には大きな湖が二つあり(Nasijarvi, Pyhajarvi)、湖をつなぐことでその水位差を利用し、工業が発達した町です。その中心となった会社Finlasonは今でも町のシンボルとなっており、昔、工場だった建物はカフェや映画館などに利用されています。そのほか、たくさんの工場が残っており、博物館、会社、寮、商店、アパートなどに利用されています。タンペレには大きな大学が3つあります(University of Tampere, Tampere University of Technology, Tampere University of Applied Sciences)。その他にも大学がいくつかあり、人口の一割以上が大学生の学生町です。夜道はもちろん危ないのですが、私は日本にいるよりも危険を感じませんでした。また、置き忘れたものはだいたいそのままそこに置いてあるか、届けられているか、見つかることが多いです。

【タンペレの気候】
タンペレの最高気温は27度で、最低気温は- 17.2度です。(2008)
降雪量に関しては、毎年、異なるようです。フィンランドは暗くて寒いと聞いていたので、予想はしていたのですが、コペンハーゲンで飛行機を乗り継いだ時はとても暖かく爽やかな天気だったので、その約3時間後に肌寒く、小雨が降っていて薄暗い町に着いたときにはちょっとがっかりしました。しかし、2、3日経つととてもよい天気になり、湿気のないすばらしい夏だと思うようになりました。一年を通してみると、やはり、曇りや小雨の日が多く、また、一日の中でも、天気が変わりやすい様です。

夏は朝晩涼しく、昼間は明るく紫外線が日本より強く感じられます。緑が美しく、川岸の芝生にはたくさんお人がひなたぼっこをしていて、わたしもクラスメイトと一緒に日光を楽しみました。乾燥しているので夜も気持ちよく寝ることができます。今年は秋が遅かったようで9月いっぱい、日中は明るく、暖かく、日が長く、いつ皆が言うほど暗くて、寒くなるのだろうかと思っていました。

しかし、秋は確実に訪れてきました。紅葉が始まり、秋を楽しんだ後、だんだんと雨と曇りの日が多くなりました。1月になると本格的に雪が降り出しました。今年の冬は例年になく雪が降ったと言われています。雪国に生活をするのが初めての私は毎日雪を眺めるだけで、その美しさに魅惑されていました。また、同時に、毎日朝早くから、まだ暗いうちから、除雪や道に砂利をまく作業をしていて、雪国で生活するのは大変だなと思いました。冬の日の長さはとても短く、午前11時頃から午後3時頃までです。遅い昼食が終わる頃にどんよりとした空に日が沈むのをみるのは何か変な気がします。冬は- 20度近くになりますが、家の中、学校、その他屋内はとても暖かく、半袖でも大丈夫です。学校に行くとき、買い物に行くときなど、外に出るときは防寒具を着て、帽子、マフラー、手袋を着用すれば、それほど苦に感じません。

3月中旬くらいまで雪が降っていました。4月中頃までは寒く、コートを着て、手袋をしていましたが、ある日突然暖かくなり、それ以降、コートやジャケットを着なくていいほど暖かくなりました。

【大学生活】
タンペレ大学のメインキャンパスは町の中心より約10分くらいのところに位置しています。ほとんどの学部はメインキャンパスにあります。町の中心にはデパート、スーパーマーケット、その他、たくさんの商店があり、日常品の買い物には不便はありませんでした。また、映画館、劇場、ディスコなど、娯楽施設もあります。月に一度映画が半額の日があり、学生たちはよくそれを利用していました。電車の中央駅、バスの中央駅なども近く旅行にとても便利です。町の主な移動手段はバスです。学生寮は町の中心をはじめ、各地に点在し、多くの学生はバスや自転車で通学しています。私の寮は町の中心にありましたが、学部の授業がメインキャンパスになかったため、バスで通学していました。

フィンランドに着いたときは、なにをどのように始めたら良いのかとても不安でしたが、留学生ひとりひとりにチューターがつき、手伝いが必要なときは一緒についてきてくれたり、アドバイスをしてくれたりしてくれ、とても助かりました。
新学期が始まる前にサマーコースが8月にあり、受講しました。ここではサバイバルフィンランド語、フィンランドの文化などを教えてくれ、すべて無料です。言語や文化など、屋内の勉強の他、フェリーで島に連れて行ってもらったり、湖のほとりのサウナとバーベキューイベントがあったり、博物館にいったり、とても勉強になりました。1クラス20名くらいで、毎日会うので、一年を通してとても良い友達になりました。ただ、1ヶ月ぶんの食費や、寮の費用、実施大学までの交通費は余分にかかりますし、また、フィンランド語ができる方にはちょっとつまらなかったかもしれません。しかし、新学期前に大学の諸手続き、銀行の開設、携帯購入などの準備ができたため、私に取っては参加してよかったと思いました。

英語で行われる授業はかなり多くあります。しかし、それも学部により異なります。授業によっては学部生だけのコース、どの各部の学生、留学生が受講可能なコース、人数制限があり、また、優先順位があるコース、事前に英語の試験を受講してパスをした学生のみが受講できるコースなど、様々あります。大学院のカリキュラムは、科目の関連性、教師のスケジュール、空き教室などを配慮し作成されており、授業の曜日、時間は定期的ではありません。そのため、他の学部の定期的な授業の受講が難しくなる場合も多々あります。しかし、大学院生が約20名、博士課程の学生が約10名で、特に大学院生はいつも一緒なので、一体感がわきます。また、授業はグループ作業が多いため、更に、親密になります。更に、大学院生はパブリックヘルスとインターナショナルヘルスの二つに分けられ、少人数で専門授業をします。それぞれ、選任のスチューデントアドバイザーがいて、資料の配布やコンピュータのアクセスの仕方、エッセイの書き方、その他学生が困った場合、何でも相談に乗ってくれます。教科書はだいたい図書館に用意されており、足りない場合は、必要な部分をコピーして渡してくれるか、学生専用サイトに載せてくれます。従って、本は購入する必要はありませんでした。授業がわからない場合は、クラスの友達に聞いたり、先生に聞いたり、同じ寮に住んでいた、ドクターの学生によく聞きました。大学が学生の勉強の為にあらゆる手段を使い、妨げになるものはすべて取り除いてくれるという配慮がよく感じられました。

学生ユニオンから、パーティー、イベントの案内、学生旅行の案内など、ほとんど毎日の様に連絡がメールで入ります。また、学校からも留学生のためのオリエンテーション、その他のイベントの案内があります。また、学部内だけのオリエンテーション、クリスマス会、スポーツ大会、サウナイブニングなどのイベントもありました。

 【学食】
食事は学食が充実していて、学生は2.5ユーロ前後で食事ができます。サラダバー、肉または魚、ご飯またはジャガイモ、ドリンク2種、パンが基本的なメニューです。その他、ベジタリアンメニュー、スープランチ、グリルランチなどがあります。学食もいくつかあり、多少、値段やメニューが違います。夜はレストランやファーストフードなどがありますが、キッチンが寮にあるので、料理をして食べる学生が多いようでした。デパートやスーパーも近く、日本の食材も購入でき、特に不便は感じませんでした。

学生寮はタンペレの町にいくつかあり、大学専属の不動産屋が割り振ります。それぞれ、寮により多少違うようですが、私の学生寮は町の中心にあり、買い物そのほか、とても便利でした。比較的施設も新しく、スポーツジム、サウナがついています。バス、トイレ、台所はついている部屋とついていない部屋があり、また、個室、共同部屋とに分かれています。無線にインターネットも無料で使用できます。家具付きで、ベットのシーツ、カバーなどは週に2回交換してくれます。また、学生ユニオンからスターターキットと言って、コップ、皿、フォーク、ナイフ、スプーン、鍋など、必要な食器類を無料で借りることができます。(保証金を支払う)台所がついていない部屋がほとんどなので、台所で、寮の学生と交流することができます。

【最後に】
この留学で、学問の知識を深めることができたと同時に、様々な国の学生や教授達と交流することで視野を広めることができたことが大きな収穫でした。このフィンランド留学を支援してくださった先生方、その他応援してくださった方々に感謝したいと思います。また、この経験をこれからの研究に生かして行きたいと思います。

Q & A:留学準備

Q留学に先立ち、どの位の期間、どのように語学の勉強をしましたか。結果的にどの程度習得できましたか(もしあれば、取得した級など)
A

TOEFLとIELTSの試験のため練習問題などで3ヶ月くらい英語の勉強をしました。

Q交換留学の情報をどのように入手しましたか。それは十分なものでしたか。
A

大学の説明会で情報を入手しました。交換留学生の選考基準をもう少しはっきり説明いただいたほうが、良かったと思います。

Q準備期間にたいへんだったこと、不安に感じたことは何でしたか。
A

書類選考、面接の合格が、交換留学生に選出されたことと同じとみなされていたようですが、結果的には英語の試験の結果が基準を超えていないと選出されない仕組みになっていました。はじめからその説明をしていただいたほうが、最後におとされるよりは良いかと思います。

Qどのようなビザを取得しましたか。また、取得のためにどのような手続きをしましたか。
A

学生ビザを取得しました。取得書類はいろいろありますが、特に銀行の英文残高証明書、かなり高額な保険が大変でした。英文の在学証明書も必要でした。

Qその他渡航に関してどのような手続き。手配をしましたか
A

航空券を一年フィックスで購入しました。少しゆとりを持って帰りのスケジュールを予測していたのですが、実際にはまだいくつかの授業、試験、参加したかった学会が残っていたので、オープンで購入したほうがよかったと思いました。

Q & A:生活について

Q住居はどのような形態(寮・アパートなど)でしたか。また、どのように住居を確保しましたか。住み心地はいかがでしたか。
A

学生寮に入りました。学校側からの書類で申し込みました。銀行振り込みしか受け付けないところが、不便でした。また、部屋は個室か相部屋しかチョイスがなく、よくわからないまま、契約書にサインをしなければならないため、実際に入寮してから、いくつかトラブルがありました。私の寮にはサウナ、スポーツジムが付いていて、比較的きれいです。シーツ類は2週間に1回交換してくれます。しかし、私の部屋は狭く、シャワー、トイレ、キッチンが共同でした。後期はシャワー、トイレ付の少し広めの部屋に引っ越ししました。

Q住居費は1ヶ月どのくらいかかりましたか。
A

はじめは240ユーロくらい、後半は360ユーロくらい

Q生活費は1ヶ月どのくらいかかりましたか。現地の物価は東京に比べてどうでしたか。
A

食費だけでしたら、1ヶ月300ユーロくらいで足りるかと思います。学食は学割がききランチが2.5ユーロ前後でした。乳製品、果物、野菜類は日本よりも安く感じました。それ以外は日本と同じか、それ以上だと思います。そのほか、文具、書籍、コピー、携帯、交通費、多少の衣服費が必要です。また、友達と会って食事をしたり、遊びに行ったり、旅行したりするとその分 別途に必要となります。私の場合は、キャンパスがメインキャンパスから離れていたためバスの定期、インターネットの接続がうまくいかず、毎月通信料が別途必要でした。

Q学費や勉学にかかる費用はどのくらいでしたか。
A

コピーは学期ごとに100枚無料で提供してくれるのですが、それとは別に、10ユーロくらいのコピーカードを買っていました。メモ、ノート、ファイルは合わせて1ヶ月10ユーロくらいで足りました。現地でフィンランド語の辞書や参考書を買いました。

Q大学近くの街はどのような雰囲気でしたか。
A

メインキャンパスはダウンタウンにも歩いて10分くらいのところです。ダウンタウンは自然が豊富な、広々とした街です。大きなデパート、スーパー、レストラン、映画館、カフェー、その他たくさんの店があり、買い物には苦労しません。また、中央鉄道駅、中央バスターミナルも近くです。交通手段としてはバスが主流です。パブリックヘルスのキャンパスはバスで10分くらいのところにあり、さらに自然に囲まれた静かな所にあります。その周辺にはほとんど商店はありません。

Q現地の気候は一年を通していかがでしたか。
A

夏、日中の日差しが強いのですが、朝晩は肌寒くなります。天気は変わりやすく、曇り、小雨が一年を通じて多いように思われます。冬は雪がよく降り、とても暗く、日が昇ってもほのかに明るい感じです。降雪量はその年によって異なるようです。

Q生活する上で日本から持って行った方が良いものがありましたか。
A

文具は日本のほうが性能がよく、安いです。常備薬、ビーチサンダル(共同シャワーで必要)

Q病気になったとき、困った時など、どのように対処していましたか。
A

薬屋さんで聞いたり、友達に聞いたり、スカイプで家族と話しました。

Q現地で生活する上で注意した方がよいことはありますか。
A

車の走行が反対側なので、信号がないところを横断するときは注意が必要です。

Q & A:学業について

Q留学前(ならびに留学中)、現地で語学学習に特化したクラスを受講していましたか。していた場合、クラスの内容・レベルを教えて下さい。
A

フィンランド語サバイバル、フォロアップ、初級1,2,3、上級英語プレゼンテーション・ライティング

Q英語圏以外の国に留学された方に伺います。英語での授業が行われていた場合、どの授業数・授業内容について教えてください。またそれは全体のどの位の割合でしたか。
A

2010年度のパブリックヘルスはすべて英語で行われていました。そのほか、他の学部もかなりの割合で英語の授業が行われていたようです。フィニッシュカルチャーは英語でした。フィンランド民俗舞踊は英語の解説がありました。

Q学部または大学院での授業を自由に選択・受講できましたか。できなかった場合、どのような制約がありましたか。
A

他の教授からの紹介をいただき、論文作成以外の授業はすべて受講させていただきました。英語のみ、人数制限があり、交換留学生は空きがないととれませんでした。

Q学部または大学院の授業についていくのはたいへんでしたか。
A

講読量と提出物がそれぞれ多かったです。

Q授業内で現地の学生と親しくなる機会はありましたか。
A

クラスではクラスのフィンランドの学生もいるので、自然と親しくなります。

Q大学内、とくに授業において、交換留学生に求められているもの、あるいは位置づけはどのようなものでしたか。
A

留学生の国の現状を把握し、また、留学生にフィンランドについて理解してもらい、自国で広めてもらいたいという目的があるように思われました。

Qどの部署の方が交換留学生の窓口になってくれましたか。担当者のお名前がわかれば併せて教えて下さい。
A

Ms. Sari Hyttinen: Coordinator of International Education International Office

Qアドバイザー・個人チューターなどのシステムはありましたか。
A

ありました。とても助かりました。

Q & A:学生生活全般

Q留学した大学で与えられた身分は現地学生と比べて扱いに違いや区別がありましたか。
A

特に感じませんでした。

QLanguage Exchangeなど、授業外で現地の学生と触れ合う機会はありましたか。
A

日本について論文を書いているフィンランドの学生に資料の説明などしていました。また、自主的に日本語を勉強しているグループに参加したり、日本語を勉強したい学生に教えたりしました。短期間でしたが、大学の課外活動に参加していました。また、学外でバレーのレッスンを時折取っていたので、そこで知り合うことが、出来ました。

Q留学生対象のオリエンテーションやイベントなどが開催されることはありましたか。あった場合、それはどのようなイベントでしたか。
A

オリエンテーションは合同、各部別にありました。また、よくイベントがあり、メールで連絡がきました。留学生対象に、タンペレ市内見学会、フィンランド独立記念パーティ、中国正月、就職フェアー、学部別のクリスマス会、ウィンタースポーツ祭、スポーツ祭、サウナ会。学生ユニオンからはサウナパーティ、ディスコパーティ、旅行など、毎週、毎日のように案内がきます。

Q & A:その他

Q交換留学をするために、事前に知っておいた方がよいと思う情報や知識がありますか。あったら自由に書いて下さい。
A

フィンランド語

Q上に挙げた意外に、交換留学を通して気づいたことなどありましたら自由に書いて下さい。
A

学生寮によっては毎日のように夜中パーティをしています。忙しいとき、疲れているときなど睡眠と勉強の妨げになります。静かな環境の学生寮を選べるとよいのですが。人によっては同じ環境でも異なった捉え方をすると思います。あまり、先入観を持たないで留学生活を楽しんでいただければと思います。