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理数系教員養成拠点構築事業
(CST養成コース)
◆講座紹介レポート
<3.自由研究指導法>

講座紹介レポート


自由研究指導法 ~自由研究レポート作成~


学生記者 / 森崎千珠

今回の授業は児童・生徒が自由研究をまとめる際に教員がどのような助言を与えたら効果的かに焦点があてられました。

 

■授業概要

自由研究レポートを書くために必要なことの第一歩として、「レポート・論文とは何か」「科学的な方法とは何か」について学びました。大きく分けると、「レポートを書くことの教育的効果」「レポート作成の作法」「論理の構成」「対照実験とは」「定量性とは」など、さらに「統計」についても学びました。

まず「自由研究レポートを書く教育的効果」。ここでは自由研究レポートを書くことにより、児童・生徒に期待される教育的効果について学びました。レポートを書くことで、論理の習得できる、自分の考えを客観的に評価できる、などの効果があることを学びました。

「レポート作成の作法」では、新聞の科学記事や科学随筆と、科学レポート(論文)では何が違うのか、について学び、さらに受講者同士でディスカッションを行いました。受講者から出た意見としは、「論文は形式が固定化されている、一般向けではない、客観性が重要」といった意見が出されました。一方、「新聞の科学記事や科学随筆は形式は多岐にわたる、多数一般の人に読まれることを想定している」などの考えが出されました。学術論文は「背景」「問題提起」「方法の説明」「結果」「考察」といった形式に沿って書かれますが、この形式以外に論理的な文章を作成できるかについても受講者同士で考えました。

「論理の構成」では、論理的思考力の形成を促すため、レポートを構成する論理について指導者が知っておく必要があることを学びました。よく見られる論理の間違いについて、例を挙げて学びました。

さらに、仮説−検証の仕組み、対照実験、定量性、再現性、測定(観察)条件の制御など、研究を行ううえで大切となる要素について学びました。研究室で修士論文のテーマとして行っている研究課題と通じる内容で、もちろん小学生に直接教えるには高度な内容でしたが、そうではなく、指導者はそういった背景も知っていることが、自由研究に限らず普段の理科授業の指導にとって重要だ、という話でした。

「統計」、ここは受講者はとても難しく感じたようでした。得られたデータをまとめる際に重要となってくるのが統計処理ですが、実験は何度か行う必要があること、得られた数値データの平均値、標準偏差の値が考察に大きく響くことなどが示されました。さらに、「有意差」について受講者間でディスカッションを行ないました。有意差はとても大切な考え方ですが、このことを児童にどう教えるかについて、皆でディスカッションをしました。受講者からはいろんなアイデアが出され、ただひとつの良い方法があるというのではなく、様々な取り組み方があり得る、と感じました。 その他、考察の仕方、引用文献の取り扱い方、実験ノートの取り方などの講義を受けました。引用文献では、この頃は小学校でもインターネットで情報検察をよくやるようですが、インターネットにはいい加減な情報もよく載っているので、そういった誤情報をどうやって避ければいいか、という話でした。

 

■筆者の感想

筆者の記憶では、小学校の自由研究は工作でした。しかし、こうやって自由研究の教育的効果を考えると、とてももったいないことをしたのだと思います。今でこそ、研究をして結果をまとめることを当たり前のようにやっていますが、これを小学生のうちからやっておけば将来どのような道に進んだとしても、とても素晴らしい財産になったと思います。そのために、教員の指導がとても重要になってくるのだと思いました。

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