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平成20年度 東京都北区 理科実技悉皆教員研修
【平成20年度 感想と抱負】

平成20年度 感想と抱負

 

今回の研修を終えての感想と今後に向けての抱負

全教員を対象に1校ずつ学校訪問で行なう教員研修は、全国的にも例が無く開始前は不安もありました。しかし、結果的には参加者の90%から"来年も受けたい"との回答いただくことができてホッとしています。

今回の研修は2つの点で成功だったと考えております。

1つ目は内容です。

"体験型(=講義形式でない)"で"現場ですぐにつかえる"内容にすることを心がけて今回の研修プログラムを開発しました。"体験型"であるのは、小学校の理科実験には実技的要素が多く含まれているために、実際に体験してみないと教育現場で使えないからです。また、文系出身の方が多く(今回の研修では9割以上)、実験の体験が少ないと考えられたことも理由として上げられます。そして、"現場ですぐつかえる"内容が求められる理由は、先生方は忙しく、手間のかかる理科授業の準備が大変だからです。研修のアンケートや、研修中の参加者との会話の中で「今まで高学年を担当したことが無く、薬品を触ったことがなかったので、今回の研修で体験できてよかったです。」「(もらった資料が)そのままコピーして使えるので助かります」といった感想をいただけたので、この方針が間違っていなかったとわかり、非常に嬉しく思っています。

2つ目は参加形式です。

今回の研修は強制参加型として"全教員を対象に"、"学校訪問で行ない"ました(=逃げられない(笑))。一般的な理科の実技研修は、自由参加型です。その場合、理科専科の先生や理科が得意な先生は参加しますが、理科が苦手な先生が参加することは少ないようです。しかし、実際に研修が必要なのは、理科が苦手な先生だと思います。一方、今回の研修は強制参加でしたので、普段は参加しない先生も参加されていたと思います。アンケートの感想に「気が進まなかったが(強制参加なので)参加しました」と正直に(笑)書いて下さった先生もいました。しかし、この先生の感想の続きには「参加してみると、有意義な内容でためになりましたし、楽しかったです。」とありました。苦手意識を持つ先生にできるだけ多く研修に参加してもらうことが、理科教育の質の向上には不可欠ですので、今回のような強制参加型の研修を今後も続けていくことが必要です。

また、触れておきたいのが理科支援員制度の効果です。当センターでは、北区理科支援員の配置協力を行っています。今回の研修では、多くの小学校の先生が「理科支援員さんが道具の準備・片付けなどをしてくれるので、自分は授業案作成や予備実験などのに時間を割けて助かっている」などの感想をお持ちでした。理科は他教科に比べ、道具が多く準備や片付けに時間がかかり、それが先生の負担になっていましたが、理科支援員制度によってその負担を軽くできているということが現場の声でよくわかりました。教員研修による理科授業の質の向上への支援と、理科支援員制度による時間的な支援の2つが理科教育の現場では求められています。

教員研修と理科支援員制度のどちらも非常に有意義であり、継続的な実施が求められています。当センターは、今後もこれらの活動をセンターの重点課題として、取り組みます。

 

お茶の水女子大学
サイエンス&エデュケーションセンター
講師 森川