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自分の可能性に「オープン」でありたい

2017年5月17日更新

坂本 香織さん
坂本 香織さん
株式会社 ベネッセコ一ポレ一ション
広報部社外広報課課長
1994年お茶の水女子大学文教育学部卒業。同年、第一生命保険相互会社入社。1996年株式会社ベネッセコーポレーション入社。中学講座事業部、財務・IR室、経営企画部を経て、2004年から広報部。千葉県出身。趣味は季節の草花鑑賞とワイン。

社員数3千名のうち女性が約6割を占め、約25%がワーキングマザー。育児休業後も9割が職場に復帰してくる。女性管理職比率33%...ベネッセでは、女性が働く土壌が整っている。今回は、広報畑で活躍する坂本香織さんを、新宿オフィスにお訪ねした。

頑張れば素敵な女子大がある

オープンキャンパスが今のように盛んでなかった20数年前、高校一年生の坂本さんはお茶大のキャンパスを友人と見学しながら、「自立した女性の通う知的な大学」というイメージが、自分のなかで現実のものとなって膨らんでいくのを感じていた。志望校に定めて3年後、中国文学中国語学科(当時)に入学。「天安門事件に衝撃を受け、日本にとって中国の影響は益々大きくなるだろう」と直感し、専攻を決めた。同時に、好きだった国文学への興味も強く、万葉集や和歌の授業に出ては古典に親しんだ。坂本さんが就職した1994年は「バブル」崩壊の直後で、「就職氷河期」がその年の流行語となったほど新卒者には厳しい年だった。先輩の活躍ぶりを目の当たりにし、男性と同じように働ける大手企業の総合職を目指していた坂本さんは、「お茶大で最高にまじめに就活をしたひとり」と苦笑しながら語るほど、資料請求のはがきを山ほど書き、OGを訪問し、学外の仲間からの情報収集にも励んだ。その甲斐あって、第一志望で難関の金融機関に入社が決まった時は、まさに順風満帆のキャリアのスタートを切ったかのような思いだった。

人生、寄り道をしても無駄なことはひとつもない

しかし、配属された職場での現実は期待に反して厳しく、2年経たずして転職という選択をする。「いまと違い、皆辞めないですし、挫折感でいっぱいでした」。そんな時、勧められてベネッセという企業に出会う。「『よく生きる』という企業理念に共感し、数字を中心とした業務とは全く違う、教育、子育て、介護という事業に温かみを感じて振り子がふれた」と、坂本さんは16年前を振りかえる。ベネッセ入社後の坂本さんは、4つの部署を異動しながら管理職に昇進し、キャリアを一歩一歩積み上げてきた。入社直後は中学生の国語の教材作りを担当。そこでは思いもかけず、大学での国文学の学びが大いに役立った。6年後、自ら手を挙げて財務・IR室への異動を願い出る。「当時、業績が悪化するなかで、会社全体のことをもっと知りたくなり、業績を外部に説明するIR担当を希望しました」。ここでも前職の金融機関での経験がいきて、思いが叶う。この異動こそが、坂本さんのその後のキャリアを大きく変えるきっかけとなる。約1年で、隣にあった「経営企画部」に移る。男性6人の中に女性が1人。社長直轄の部署だけあってMBA保持者も多かった。触発された坂本さんは仕事の傍らグロービスに通い、経営を一から学んだ。

人に導かれるキャリアもある

現在、坂本さんは広報部の課長として、ベネッセの企業イメージの向上と企業価値の最適化を図るため、多岐にわたる業務を率いている。そのひとつが「トップ広報」で、経営企画部時代から坂本さんが担当している。経営企画部が発展解消し、その仕事を持って広報部への異動を勧められた時、事業部門へ戻ろうと思っていた坂本さんは、正直悩んだ。信頼する先輩から「自分で作るキャリアもあるし、人に導かれるキャリアもある」とアドバイスを受けた。 素直に従って7年後のいまの自分があると感謝している。「新しい仕事や取組みに声をかけてもらった時は怖がらずに引き受け、積極的にチャンスを掴んでいくことを心がけています」と言う坂本さんは、真の意味で「オープン」な人である。自分の可能性に対しオープンで限界を設けず、見えない未来に対しても臆することなく踏み出すオープンさが坂本さんのキャリアを歩む原動力になっている。これからの女性管理職としての坂本さんの夢は、「経営に関心があるので、意志決定の場に加わり、提言をしていきたい」と頼もしい。個人的には、若い人に、コミュニケーションについて自身の経験を伝え分かちあいたいという。
文責:坪田秀子(学長特命補佐)

わたしのオフタイム

昨年ワインエキスパートの資格をとった。元々食べたり飲んだりすることが大好き。ワインのことを勉強し始めたら、品種や年代、地理や歴史の知識など奥が深く、今でも2週間に一度はワインスクールに通う。ワインを通じた多様な人たちとの出会いも豊かな収穫。今、ハマっているのは北西イタリア、ピエモンテ州のワイン。

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