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毎日自分に努力させること、それを60年間続けてきただけです

2017年5月17日更新

寺崎 志野さん
寺崎 志野さん
東レACS株式会社 社長 理学部数学科卒業後、東レ株式会社入社。約20年間アパレルCADのプログラマー、同社営業職を経て、2003年東レACS株式会社社

勉学には苦労したが、楽しかった大学時代

大学時代は劣等生でした。高校で得意だった数学にもついていけなくてとても苦しみました。けれども、お茶大はとても素晴らしいと今でも思います。バスケットボールサークルに入ったり、家庭教師のアルバイトをしたりもしましたし、ボーイフレンドとの時間も大事でした。とても楽しかったですよ。

運命の女神の前髪をつかめ

社長になりたくて仕事をしていたわけではないんです。オトコ社会の壁は厚かったし、私が社長になれるなんて全然思っていませんでした。人事は全て運です。ポストについている女性たちはみんな運のいい人なんでしょうね。だから、自分で「私は運が強い」と信じることも大事だと思います。運は実力のうちと言われますが、努力しなければ運はつかめません。運命の女神は前髪をつかまなければ駄目。通り過ぎてから後ろ髪をつかんでもすっと逃げてしまうんです。チャンスを逃さないために大事なのは決断力。躊躇した瞬間、女神は通り過ぎてしまいます。多分人生はそういうことの連続なんです。決断力は毎日のちょっとした選択の中で、今からでも十分磨くことができます。

困難に直面したら

勉強したり苦しかったり嫌だったり…人生は思い通りにならないことの繰り返し、積み重ねです。しかし、人生の90パーセントがそんなことばかりだから、残り10パーセントの楽しかったことがすごく幸せに思えるんです。私は辛くて苦しくなったらもう寝ることにしています。常に持てる力の全てを振り絞っているつもりですから、それでも駄目ならもう寝るしかありません。今日はそれ以上進めなくても、明日になれば限界は更新されてほんの一センチだけでも努力できるようになるでしょう?毎日自分に努力させるという思いを持ち続けていたら、何もしなかった人との間には一年後365センチの差ができます。私はこれを60年間続けてきた、これだけの話です。

自分以外に意識を向ける

仕事をしてきて、まず思うのは、人は、自分のためではなく、人のため、チームのため、皆のためと思って行動する時に、力を発揮するということです。利己ではなく、利他。特に若いうちは、自分がどう思われるか、自分のやりたい仕事を任せてもらえるかなどと、自分のことで頭がいっぱいになってしまいがちですが、彼らもチームリーダーにしたり、プロジェクトを任せたりすると伸びます。プロジェクトを成功させるためには、一人ではできないことを知るからでしょう。クリエイティビティについても同様です。まずは、いろいろなことに関心をもつ好奇心が大切。人や、物事、社会の変化に気づくかどうか。自分のこと以外にどれだけ関心をもてるかです。つらいと思う時には、自我(エゴやプライド)にとらわれていないか、内省してみるとよいと思います。

今日死んでも構わない人生

それから、私は「今日死んでも絶対後悔しない」ように毎日を生きています。欲張って明日のことまでしなくていい、今日やることをやりきってしまえばいいだけ。明日ゼロからスタートをきれるように。仕事だけでなくプライベートでもそうです。毎日家の中が同じ状態に保たれているか確認してから、家を出るようにしています。皆さんは「今日死んでも構わない」という人生を生きていますか?

広い壁を持つ組織

全員がひとつのビジョンに向かって行動できる、そんな目標を示すことのできるリーダーでありたいと思っています。今の私よりも、社員のほうが高い能力を持っています。だからこそ社員にはその能力を発揮してもらいたい。そのためにビジョンを示しているんです。そうすれば皆の意識がまとまります。私ひとりだけが突き進む組織ではなく、先頭にいる私のすぐ後ろに皆が束になっていて、壁のようなイメージでぐっと進んでいく。そんな広い壁を持つ組織を作りたいですね。

心も体も美しさ保つ秘訣

身なりだけじゃなく、人生そのものを「美しく」生きたいというのは私の目標です。美しいことを追求することは大事ですよ。日本の女性は世界で一番美しいと言われるように、内面の美しさを常に磨き続けていきたいですね。基本的に身体に悪い食べ物は食べない努力をしています。会食は別として、ここ10年は自分で作ったもの以外食べていません。そして、規則正しい睡眠と適度な運動。週末には必ず泳ぐようにしていますし、朝や夜に美容体操もしています。それに、30年間風邪で仕事を休んだことはありません。危ないと思ったら、手洗いうがいをするなどの自己管理を徹底。そういうことの積み重ねで身体も心も美しくなっていくのではないでしょうか。

変化球投げられる広い視野

女子大ではイベントがあるときは、女性が企画して実行するでしょう。男女共学ではなかなかできない経験ですよ。お茶大の学生さんはリーダーシップの訓練ができていると思います。だから自由な行動と発言を大事にしてくださいね。けれども、女性は自分の考えが正しいと思い込みがちなところがあります。特に、他の男性より頭の良いお茶大の学生さんは注意してくださいね。自分の言っていることが正しいという信念が強すぎて、他のことが見えなくなることもあるのではないでしょうか。直球だけじゃダメなんです。私が正しいのだからとまっすぐ進めば、必ず男が組んだスクラムにぶつかって跳ね返される。直球で進むことは実に女性らしいことだけれど、変化球やボール球を投げられるような広い視野を持たなくてはいけません。それから、皆さんはお茶大で素晴らしい教育を受けているのだから、それを世の中に還元していきましょう。それはお茶大の学生の責任とも言えるのかもしれません。

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