「食のサイエンス」企業の食育活動を体験する
  平成25年6月5日(水) 東京ガス㈱ Studio+G GINZA

「食のサイエンス」では、食情報を体験的に伝えることの意義を学ぶため、実験や実習を豊富に取り入れています。日頃は食育を提供する側としての姿勢を意識している学生たちですが、今年度も、東京ガス(株)「Studio +G GINZA」にて、企業が行う食育講座を「受講者」の立場で体験しました。
 
 Ⅰ.東京ガスの食育活動について
 東京ガスでは「環境に配慮した食の取り組み」として、環境に配慮しながら豊かな食生活を実現するという観点からの食育を展開しています。
豊かで地球にやさしい食生活には、環境に配慮しながらの「食の自立」に加え、料理のおいしさを理解するための「五感の育成」が欠かせません。この「五感の育成」の方法として東京ガスが取り入れているのが、フランスの味覚教育の創始者であるジャック・ピュイゼ氏が提唱する「ピュイゼ・メソッド」です。これは、調理したり味わう場面において、味覚を含めた五感をフル回転させること、さらにそこで何を感じたかを「言葉にする」ことを重視するものです。
この「ピュイゼ・メソッド」に基づく感覚のレッスンを、学生たちも体験させていただきました。たとえば、赤みを帯びた濃いオレンジ色からどの季節を連想するかという問いには、花の色から「春」、太陽から「夏」、紅葉から「秋」、暖炉の炎から「冬」と、すべての季節が答えとして挙げられました。また、ごく薄い甘みをつけた水溶液を口に含み、どんな味を感じるかを問われると、「正解」の甘味のほかにも、酸味や苦味など他の味を感じた人が現れました。
このように、同じ事柄から感じ取ることは人によって様々に異なります。食への関心を高めるのみならず、感覚を研ぎ澄ますことや表現する力の大切さ、何をどう感じたかを伝え合うことが他者への理解につながると実感できるところに、このレッスンのポイントがあるといえるでしょう。
 
     
今日は企業による食育を体験します

この色からどの季節を連想しますか? 薄い味に、目ならぬ舌を凝らします
 
 Ⅱ.食育調理実習 ―la Cucina Espressa―

 日本と同様に明確な四季があり豊富な食材に恵まれたイタリアは、世界で最も家族の絆が強い国と言われています。女性の社会進出が進む現代においても、家族で食卓を囲んでゆっくりと食事の時間を楽しめるのは、おいしい料理を手早くつくるマンマ(お母さん)の知恵のおかげといえるでしょう。東京ガスはここに注目し、ガスコンロをフル活用して効率的においしい食事をつくる料理法を、「ラ・クチーナ・エスプレッサ(la Cucina Espressa)」として提案しています。講座の後半では、学生たちがこの手法を生かした調理実習に挑戦しました。
今回は「ゴーヤのパスタ」「夏野菜の素揚げ」「モロヘイヤのスープ」「鶏肉のグリル・味噌マヨネーズソース」という4品を、たったの20分でつくってしまうというものです。
実際に20分未満で4品を仕上げてしまったデモ調理を見て、学生たちも調理に取り組みました。できるのかな?とやや半信半疑だった彼女たちも、3つのバーナーとグリル、タイマーと温度センサー、そして各調理器具の特性を最大限に生かし、かつ上手に段取りを組むことで、短時間でも充実した食事がつくれるということが実感できたようでした。調理の後には、旬の夏野菜を中心としたメニューの試食を楽しみました。
 
     
 デモ調理をよく見てコツをつかみましょう  同じようにやってみます。なるほど効率的 盛り付けで、見た目もさらにおいしく 
 

今年の食育講座も、「食」の奥深さ、楽しさ、そして大切さを改めて学ぶことのできた、貴重な時間となりました。
東京ガス(株)の皆さま、ありがとうございました。
 
Copyright (c) Ochanomizu University, All Rights Reserved