責任者の表記

理科実験支援事業
【理念(背景・狙い)】

理科好きの子供たちが増えることを願って 

 

背景

我が国は諸外国と比較すれば、理科の好きな児童生徒の割合が低いことが問題となっています。理科好きの児童生徒の割合は、他課目(国語、社会、数学)に比べ、学年が高くなるごとに急速に減少しているのです。また、理科の重要性を尋ねる質問に対しても、4科目中で理科は最低であり、学年が高くなるごとに否定的になっています。一方、理科の勉強で実験や観察をすることが好きかという質問に関しては、学年が上がっても、高い割合が維持されています。理科において、観察.実験は極めて大切なものであり、これを好む児童生徒の割合がより高いことは喜ぶべきことであるでしょう。実験観察は好きであるという状況をうまく利用すれば、理科への動機付けと関心をより高め、よりよく勉強ができる状態に持っていくことが可能になると考えられます。実際、科学館学習の後で理科好きの子どもが増えるという調査結果があり、科学館学習で行う実験に効果が有ることが示されています。しかし問題点として、科学館と学校教育現場との連携が十分でなく、科学館学習と教室での授業での継続性に今後の課題があります。



狙い

本研究では、多忙な教員を助け、授業内容を更に発展させる面白い観察実験を、デリバリー方式で提供する移動実験室を開発し、東京都北区教育現場にて使用しています。このデリバリー方式では、低いレベルの実験設備を地域の学校群にまんべんなく設置するのではなく、レベルの高い実験設備(電子顕微鏡等)をセンター(北園まなび館)に集中します。教育資源をより効率良く利用運用するために、実験観察設備は車両を用いて、授業直前に当該学校の実験室に搬入し、実験講師が当該学校の教員と連携して授業時間内で実験観察を開始し、終了します。このことで、普段の授業と連続性の有る実験が可能となり、また資源を集中することで、科学館並みの実験設備を用意することが可能になるのです。 一方、小学校等で教える側の立場から考えてみれば、理科実験に苦手意識を持つ教員が多いこと指摘されています。この原因として、理科系の出身でないこと、実験の経験が十分でないこと、などが考えられます。このような状況に対しては、教員研修を行うことが考えられますが、教員が多忙であること、授業に則した研修が行われていないこと等、解決には遠い状況です。そこで「デリバリー実験教室による理科離れの解決」では、あらかじめ十分な打ち合わせの上で、大学の講師が、現場の教員をサポートして、OJT方式で教員研修のエッセンスを付加しながら、授業運営に協力します。ここで重要なのは、授業を進めるのは学校の先生であって、大学講師はサポーターであることです。そして最終的には、大学からの参加なしで、授業を進めることのできる力を付けてもらうことを目指しています。このようなOJT方式の大学-小学・中学校連携事業は、これまでになかった試みです。現在の理科離れを初めとする緊急課題を解決するために、最適な手法であると考えています。



今年度の実施状況

実際にどのような授業が行われたのか、「実施内容」をクリックすることでご覧いただけます。行なわれた授業の様子と指導略案をリンクしております。



ご応募いただいてから実施までの流れ

年度はじめの応募状況により、実施事務局から実施週が割り振られて通知されます。 その後、

実際の実施二週間程度前に、担当講師から学校へ電話確認、
顔合わせ日時の決定

顔合わせ:実施内容・日時の決定、準備機材・教材確認

授業進行の具体化作業
(大学講師:予備実験観察、担任:進行案の検討)

機材搬入と打ち合わせ
(前日放課後、機材組み立て・授業進行の決定・実験観察ポイント確認等)

当日(朝、最終確認)、実施、片付け

機材撤収、意見の吸い上げ


といった流れで実施させていただきます。
なお、実施効果測定のためのアンケート調査を依頼することがあります



実験支援機材

これまでに活用いただいた主な機材、教材は、


<出前機材>

  • 走査型電子顕微鏡1台
  • 光学顕微鏡40台
  • 双眼実体顕微鏡40台
  • 顕微鏡用照明装置6台
  • 白熱ライト9台
  • 解剖器具セット40台
  • 手回し発電機セット40台
  • ペットボトルロケット発射装置3台
  • 中型水槽6台
  • その他

<消耗品例>

  • 真アジ
  • こおろぎ(生体)
  • ミツバチ(生体)
  • 花粉プレパラート
  • プランクトンネッ
  • ツルグレン装置
  • 硝酸カリウム
  • みょうばん
  • 塩酸
  • 過酸化水素水
  • サーモインク・テープ
  • ニクロム線・銅線
  • その他


の通りです。
授業内容、担任の先生のご要望に応じ、拡充につとめております。