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公開セミナー「平和構築におけるジェンダー主流化-NGOからの最新報告-」

2015年1月13日更新

グローバル協力センターは「グローバル社会における平和構築のための大学間ネットワークの創成-女性の役割を見据えた知の国際連携-」事業の一環として、2015年1月13日(火曜日)に公開セミナー「平和構築におけるジェンダー主流化-NGOからの最新報告-」を実施しました。平和構築とジェンダー主流化日本版ガイドラインである国連安全保障理事会決議1325号(以下1325号)日本版の行動計画(National Action Plan: NAP)、「女性・平和・安全保障に関する行動計画」作成に携わる市民社会メンバーから最新のNGOの役割について報告をいただきました。

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(左から本山氏、福井特任講師、与那嶺氏)

最初に「国連安保理決議1325号とは」としてグローバル協力センター福井美穂特任講師が1325号の意義と内容を説明しました。続いて「日本版NAPの策定過程」と題して、1325号NAP市民連絡会コーディネーター本山央子氏より、現在、日本政府が策定中の「女性・平和・安全保障に関する行動計画」と市民社会の役割に関する発表がありました。2013年から始まった同行動計画策定ですが、それに合わせて市民社会側では国際協力やジェンダー分野の市民組織、学識経験者などからなる「1325号NAP市民連絡会」が立ち上げられました。日本版行動計画の特徴として、参画を一つの柱とする全体構成や個々の指標の提案に関わった市民社会の役割の大きさと、内容が海外だけでなく国内政策もカバーし、自然災害を含んでいること、また女性の参画、保護を重視しながらも受益者にLGBTなど多様性を含めたものとなっていること、他国と比較して指標のきめ細かさ、全関係府省庁を巻き込んだモニタリングなどが挙げられました。

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(会場の様子)

次いで、「政府とNGO/CSO(市民社会)の連携:米国NAPアカデミー参加報告」と題してジェンダーコンサルタント・株式会社アルメックVPI与那嶺涼子氏より、2014年12月3~5日に、米国シンクタンク包括的安全保障研究所とジョージタウン大学主催で、米国ワシントンDCで行われたNAPアカデミーの参加報告を行いました。同NAPアカデミーは、1325号NAP策定、実施、見直しにおける好事例の共有を目的とし、アフガニスタン、インドネシア、ガーナなど世界10か国の政府・市民社会から約50名が参加しました。開会イベントではヒラリー・クリントン元国務長官による基調講演の後、田中明彦JICA理事長をはじめとするパネリストによるディスカッションが行われました。その後実施されたワークショップにおいては、1325号NAPの実施、評価、コミットメント、イノベーションに焦点を絞った議論と、オランダ、カナダ、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの事例が共有されました。指標が多すぎる場合に評価報告をどう工夫するのか、中間見直しをいかに行っていくのか、また計画実施のための財源をいかに確保するのかについて今後も議論が必要であると指摘もありました。
最後に、「アジア各国の行動計画:インドネシアにおけるジェンダー主流化NGO強化研修参加報告」と題して12月14・15日にジャカルタで行われた国際NGO・GNWP(Global Network for Women and Peace)などが主催する女子差別撤廃条約一般勧告30号(CEDAW GR30i )活用研修ii への参加報告を福井特任講師が行いました。同研修は、1325号NAP強化のためにCEDAW GR30を活用していくことを目的とし、アジア8か国20団体30名ほどの市民組織が参加し開催されました。GNWP国際コーディネーター(Mavic Cabrera-Balleza氏)と国際人権法専門家・CEDAW GR30作業部会長(Pramila Patten氏)を講師に、関連条約や決議の概要、人権条約の報告過程を1325号NAPのモニタリングに活用する手法などの説明がなされました。研修は、フィリピン、ネパール、インドからの事例報告の後に、仮報告書を各国ごとに作成・発表し、Patten氏より講評を受ける形で行われました。
各講師の発表の後、参加者から他国の1325号NAP予算や報告書、研修参加予算、GR30の法的拘束力、先住民族に対する暴力、ジェンダー主流化に関する質問が出され、活発な議論が行われ、日本発信の平和構築におけるジェンダー主流化を考察する非常に良い機会となりました。

<参考>
策定プロセスについてはこちら
「女性・平和・安全保障に関する行動計画」についてはこちら

i Convention on the Elimination of all Forms of Discrimination against Women General Recommendation 30(CEDAW GR30)
ii 正式名称:紛争予防・紛争下・紛争後の状況における女性 国連安保理決議1325号説明責任の枠組み-女子差別撤廃条約一般勧告30号活用研修

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