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大学間連携イベント「国際協力ボランティアを知ろう」実施報告(その1)

2016年2月13日更新

2016年2月12日から13日まで、お茶の水女子大学、奈良女子大学、宮城学院女子大学の学生12人と引率教員2人は福島県二本松市のJICA二本松青年海外協力隊訓練所とNPO法人コーヒータイムを訪問しました。このイベントは、途上国の人々とともに働く国際協力ボランティアの役割や、必要とされる資質、ボランティア活動から得られるものや日本社会に還元できることについて理解を深めると同時に、同じ関心を持つ大学生が意見交換を通じてネットワークを作ることを目的に実施されました。

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洲崎所長の講義

JICAボランティア講座
JICAでは、アジアやアフリカ諸国へ派遣予定の青年海外協力隊員候補者の皆さん約70人が70日間の集中訓練中でした。最初に洲崎毅浩訓練所長からお話を伺いました。所長ご自身、大学で歴史学を学んだ後に公衆衛生分野の隊員としてアフリカのザンビアで活動されたそうです。医療のプロでなくても「患者を見つける」「患者を病院に連れていく」「資材を調達する」「薬を買っておく」「患者のケアをする」「動けない患者の仕事の手伝いをする」「予防啓発を行う」など、できることがあるというお話が印象的でした。また、国際協力は多くの人々の知識・能力を結び付け、蓄積し、発展させる「行動学」であるということや、日本一国だけが平和で繁栄するという考え方が通用しない世界の現状についてのお話も考えさせられました。

協力活動手法講座
協力活動手法の講義は、「コミュニティ開発」、「環境教育」、「感染症・エイズ対策」の3つのグループにわかれて聴講しました。
コミュニティ開発の講座では、多種多様な活動すべてに通用するマニュアルはないとのことでした。過去の協力隊員の失敗談を元に、自分たちがどのような心構えで派遣先に向かうべきなのかということについて参加型で授業が進められました。講師の結城技術顧問からは、「ぜひコミュニティ開発分野の隊員になってください」との励ましの言葉をいただきました。

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環境教育の講座

環境教育の講座は、マレーシアとケニアに派遣予定の訓練生2人による報告に対して、大学生4人が質問し、三好技術顧問が質問やアドバイスをするという形式でした。お二人は、茶葉などの廃材を使ってふりかけを作る自主講座や、3R(reduce, reuse, recycle)、エコ・クッキング、リフレッシュや楽しさをコンセプトにしたワークショップを開催した経験を紹介してくださいました。講師からは、事前広報やワークショップ会場の設営・進行方法などについて具体的な助言がありました。
感染症・エイズ対策の講座はガーナとケニアに派遣される訓練生2人と一緒に受講しました。神谷技術顧問から「マラリア流行地域では、医師や看護師など医療のプロが関わることで医療の仕組みや設備を発展させることも重要であるが、蚊から身を守る『蚊帳』の認知度を上げることや蚊帳の販売プロモーションなどの啓発活動も求められている。」とのお話があり、「一人一人が自分の特性を活かして活動する」ということの意味がより理解できました。

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中沢舞さん(写真中央)

協力隊員の体験談
中央アジアのキルギスで協力隊員として活動し昨年帰国したJICA訓練所スタッフの中沢舞さん(宮城学院女子大学卒業生)に、協力隊に応募した経緯や活動内容を伺いました。
コミュニティ開発隊員としての活動は、日本の一村一品活動を現地の女性生産組織に導入していくことでした。中沢さんは、「生産団体同士で情報共有がない」、「外国人観光客のニーズに合った商品を生産できていない」などの問題を発見し、デザインや品質の改良、商品カタログの制作、展覧会への出店などの工夫を凝らして改善を図ったとのことです。無印良品と協力して開発されたフェルト細工の動物のマスコットが2011年から日本の店頭で販売されています。中沢さんは、「自分の事を知ってもらうには、まず自分が相手に興味を持たなければ」と、積極的に仕事外でも現地の人々と一緒に過ごす時間を増やし、互いを理解できるように努力したそうです。
※参考:  MUJI×JICAプロジェクト:キルギス編

訓練生との交流・ディスカッション
夕食時には訓練所の食堂で6班に分かれて着席し、訓練生の皆さんと交流しました。夕食後のディスカッションでは、学生からの「志望の動機はなんですか?」、「どんな準備をしましたか?」、「帰国後の予定はありますか?」などの質問に率直に答えていただき、アドバイスもいただきました。学生時代から国際協力を志望していた人だけでなく、社会人になってから協力隊に関心を持つようになった人もあり、経歴も新卒、社会人経験者(退職して参加、現職のまま参加)など本当に多様なバックグラウンドの方々なのだということがわかりました。また、訓練所では規則が細かく定められていますが、これは協力隊員としての意識や心構えを高めるとともに、慣れない外国で自らの生命と安全を守るためにも重要なことだそうです。

  • photo4夕食時の交流
  • photo5朝の集いでのラジオ体操
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