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学内公開講座「環境と成長のハーモニー」実施報告

2016年10月19日更新

2016年10月19日(水曜日)、小西淳文駐ベナン特命全権大使(前お茶の水女子大学特任教授、元国際協力機構上級審議役)をお招きして、学内公開講座「環境と成長のハーモニー」を開催しました。地球規模で問題となっている環境問題について、これまでの国際社会の取り組みや、最先端の科学技術に基づく日本の貢献である「地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS: Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)」を中心にお話しいただきました。

小西大使
環境問題と日本の貢献についてお話をされる小西大使

小西大使は、日本が1960年代に大気汚染や水質汚濁などの公害を克服した経緯に触れ、この関連技術は開発途上国でも応用が可能であり、日本の科学技術は大きなポテンシャルを持っているとお話しされました。また、こうした地球規模での環境悪化を受けて、1972年国連人間環境会議、1992年国連環境開発会議(リオ会議)、2002年ヨハネスブルグ・サミット(リオ+10)、2012年国連持続可能な開発会議(リオ+20)などの地球環境保全に関する会議を国際社会は開催してきており、同時に、京都議定書(1997年採択、2005年発効)やパリ協定(2015年採択、2016年11月発効見込み)について議論されるなど、法的・制度的な枠組みが徐々に形作られてきた経緯について詳しくご説明くださいました。

学内公開講座の様子
学内公開講座の様子

講義は豊富な事例を元に進められ、まず、地球温暖化に伴う環境への影響の事例として、ブータンにおける氷河湖決壊洪水のリスクについてお話しされました。ブータンでは過去3回の氷河湖決壊による洪水被害が発生しましたが、その科学的な根拠については必ずしも明らかではありませんでした。日本の最先端の科学技術を用いたメカニズム解析により、危険とされていた25個の氷河湖の内、危険だと評価された湖は1個だけということが判明し、結果として適切な対応策を講じることが出来たとのことでした。また、ツバルの事例では、同国が浸水の危機に晒されている理由には、グローバルな要因(地球温暖化による海面上昇)とローカルな要因(環境負荷の増大に伴う砂の生産・運搬・堆積家庭の阻害など)の両方が存在しており、複合的な要因が影響を及ぼしているとのお話がありました。この他、インドネシアの森林火災の予防事業についても言及されました。

質疑応答では、SATREPSのプロジェクトはどのようなプロセスで実現するのか、将来的に学生がこうしたプロジェクトに参加するためにはどうしたらよいか、など多数の質問が寄せられました。環境問題や日本の科学技術を用いた国際貢献について考える貴重な機会となりました。

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