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2016年度徽音祭学術企画ネパールスタディツアー成果発表

2016年11月13日更新

2016年11月12日(土曜日)~13日(日曜日)に開催された徽音祭(学園祭)において、「国際共生社会論実習」ネパールスタディツアー参加者による成果発表が行われました。
私たちネパールグループは、「ネパールの震災後の復興支援」、「ネパールの教育」、「ネパールの経済格差と貧困問題」の3つのグループに分かれてフィールドワークの成果を発表しました。

12日午前に行われた「ネパールの震災後の復興支援」グループの発表では、2015年にネパールで起きた大地震は人々を苦しめただけではなく国の経済にも強い影響を及ぼしたと紹介されました。実際、現地で私たちが見たのは古いレンガを再利用して建てられた家と、決して居心地がいいとは言えない仮設住宅の中で我慢強く暮らしている村の人々でした。震災後支援を行ったユニセフとJICAの方々と交流し、私たちは今のネパールにとって重要なのは「より良い復興」だと気づきました。また、豊富な観光資源も地震によって破壊され、文化財の再建も宗教を大事にするネパール人にとって重要な意味があります。

同日午後、「ネパールの教育」グループは、ネパールにおける教育の現状と課題について発表しました。ネパールの教育制度と歴史を紹介した後、現在、ネパールで問題視されている公立と私立の学校間の格差や、高い中退率、言語をめぐる困難などについて分析しました。今、ネパールのGDPの3割を占めている「海外送金」は、多くのネパール人が祖国を離れて出稼ぎを選んだ結果です。こうした状況から、ネパールの学校では英語教育を重視する傾向があります。多民族多言語国家であるネパールにとっての教育の難しさは、国際支援を行っている人々の言葉からも強く感じられました。また、ネパールにおいてジェンダーに関する先進的な取り組みが生まれた原因の一つも、出稼ぎによって欧米のジェンダー規範と頻繁に接触することにあるのではとの指摘もありました。

13日午前、「ネパールの経済格差と貧困問題」グループは、ネパールにおける貧困と経済を主にインフラと開発援助の2つの面から説明しました。水、電気、道路など、私たちがツアーで身を持って感じたのはやはりインフラの整備が国の発展にとって大事だということです。毎日発生する電気不足による長時間の停電、信号の停止、飲用水獲得の不便さ、日常的な交通渋滞など、様々な問題があります。「持続可能性」こそ、これらの状況を改善しようとするネパール政府と援助を行う国際機関にとって重要なポイントです。そのため、ネパール側は設備だけではなく、国民の意識の向上にも重点をおくべきと感じられました。その一方で、支援者側もただ支援をするだけではなく、現地の人々と共同作業をして、ネパール人の自分の国に対する責任感を育つための「人づくり」にも力を入れなければならないと気づきました。

現地で働く方によれば、長年に渡る国際社会からの支援によって援助慣れしてしまい受け身の姿勢が時に見られるネパールにおいて、ネパール人自身が「想像力」を身につけ、自らの未来を描けるように協力してゆくことこそが、私たちがネパールへの支援を行う際に大事な課題だと思いました。震災復興も教育も経済発展も、支援者側だけではなく、ネパール人自身の意識の変化が国の発展への道しるべとなります。授業としては、徽音祭での成果発表が最後のプログラムになるかもしれませんが、私たちにとって「共に生きる」という課題について考える歩みはまだまだこれからだと思います。沢山の方にご来場いただき、数多くの質問をしていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

(人間発達科学専攻M1 黄 薇嘉)

  • photo1「震災後の復興支援」グループによる発表
  • photo2「教育」グループによる発表
  • photo3「経済格差と貧困問題」グループによる発表
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