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第1回SDGsセミナー「FAOの取り組みと今後の展望」実施報告

2017年7月3日更新

2017年6月8日、国際連合食糧農業機関(FAO)のンブリ・チャールズ・ボリコ駐日連絡事務所長をお招きして、第1回持続可能な開発目標(SDGs)セミナー「FAOの取り組みと今後の展望」が実施されました。当日は、55名(教職員含む)の参加を得て盛況の内にセミナーが行われました。

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講師のンブリ・チャールズ・ボリコ氏

ボリコ所長は、1)FAOとは、2)世界の食料事情、3)FAOでの雇用機会、の3つのテーマについてお話くださいました。

第一に、国連には、国際農業開発基金(IFAD)、世界食糧計画(WFP)、そして、FAOという3つの食料に関連する機関があり、FAOはその中でも自立した食料生産に向けた取り組みを実施する専門機関です。1945年10月16日にローマで設立されたFAOは、SDGの目標2に掲げられる「飢餓をゼロに(zero hunger)」へ向けて、世界130ヶ国以上で、2,500以上の事業を展開しており、栄養状態の改善、回復力の強化、人々の援助への依存の減少、天然資源の持続的管理と利用の推進などに取り組んでいます。紛争や自然災害などによってその日食べる食料がない人々に対して、緊急食料援助が行われることがありますが、食料援助はその場しのぎで持続可能ではないことから、食料安全保障の確保のためには自立した食料生産が最も望ましい状態とされます。
食料安全保障を考える上では、①供給可能性(availability)、②入手可能性(accessibility)、③栄養性(utilization)、④安定性(stability)の4要素が重要であるとボリコ所長からお話がありました。例えば、日本では米食文化があるため、入手には米を想定するなど、自立した食料生産のためには、その土地や社会に合わせて入手可能性を考える必要があります。重要なのは、上記4つが揃わなければならないこと、並びに、国家レベルではなく個人レベルに適用されなければならないということです。つまり、誰一人取り残されることなく、一人一人に食料が行き渡ることが目標とされます。

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セミナーの様子

第二に、ボリコ所長より世界の食料事情についてのお話がありました。世界には全ての人を満たすに充分な食料はありますが、現在、約7億9,500万人が栄養のある食料を入手できません。これは、世界の9人に1人の割合に相当するとのことでした。また、こうした食料不足に苦しんでいる地域はアジアが最大であり、全体の3分の2に相当する約5億1,170万人が栄養のある食料を入手できないそうです。また、アフリカでも、アジアよりも人数は少ないそうですが、4人に1人という高い割合で栄養不足が見られるとのことでした。こうした状況は、世界人口の増加、BRICSにおける食の変化、気候変動や環境悪化、紛争、食料ロス・廃棄などの多くの課題によって、今後更に難しい対応を迫られるとのことでした。
ボリコ所長からは、特に、食料廃棄問題とそれへの対応についてお話がありました。食料廃棄は食べ物を無駄にする以外にも温室効果ガスの排出を増加させるなどの副次的影響があることから、必要以上買わない、肉や野菜などは出来る限り食べるようにほぼ全ての部位を調理するなどの工夫をして欲しいとのことでした。

第三に、FAOでの雇用機会についてお話がありました。FAOの職員となるためには、一定以上の学歴、言語能力、勤務経験が必要ということでしたが、努力すればどのような目標も達成できるとのお話がありました。例えば、ボリコ所長は名古屋大学に留学された際、母国語のフランス語以外は全くわからなかったそうですが、大学院で英語及び日本語を習得する必要に迫られ、毎日語学の修得に励まれたとのことでした。こうした事例を元に、参加者に対してやれば必ずできるとのメッセージがあり、大変印象的でした。

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学生からの質問に答えるボリコ氏

最後に、参加学生からは、FAOのスタッフとコンサルタントにはどのような違いがあるのか、食料確保のためにFAOが行っている取り組みは何か、世界に沢山食料の問題はあると思うがどのように優先順位をつけるのか、FAOと企業・研究機関との連携はどうなっているのか、などの質問がありました。ボリコ所長からは、各国にあるFAO事務所の専門家らが被支援国政府の担当者と密接に相談しながら事業を形成してゆくこと、FAOは“Committee on World Food Security”というプラットフォームを作り、産官学のあらゆるステークホルダーと連携しながら食料安全保障のための取り組みを行っているとの紹介がありました。世界の食料事情やFAOの活動のみならず、国連機関でのキャリア形成についても情報を得られる有意の機会となりました。ボリコ所長によるエピソードを沢山交えた具体的で情熱溢れるメッセージに参加者は大いに刺激を受けている様子でした。

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