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公開講演会「アフガニスタンの復興を考える」実施報告

2017年9月29日更新

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講演会の様子

2017年9月29日(金曜日)、グローバル協力センターは、共同通信カブール支局通信員の安井浩美氏をお招きし、公開講演会「アフガニスタンの復興を考える~現地で暮らすジャーナリストが見るアフガニスタンの今~」を実施しました。ジャーナリストとしてアフガニスタンに長年関わって来られ、現地に暮らしながらアフガニスタンのニュースを発信する安井氏より、現地での取材やインタビューに基づき、写真やエピソードを交えながら、最新のアフガニスタン情勢についてお話いただきました。当日は、平日にもかかわらず140人の方々にお集まりいただき盛況となりました。

本講演会は、民族、宗教、部族、社会、地理的特性などのアフガニスタンの概要と基礎情報の説明から始まり、カバーする話題は、政治、治安、難民、麻薬、女性と子どもの現状、教育、文化など多岐に渡りました。いずれのお話も、安井氏の首都や地方での現場取材に基づくリアリティー溢れるお話に基づいており、時にはユーモアを交えて語られ、終始和やかな雰囲気で会は進行しました。

安井氏からは、特に、アフガニスタンの復興がなかなか進まず平和が訪れない要因として、内陸国という地理的特性故に、超大国や隣国からの干渉を常に受けることが挙げられ、歴史上アフガニスタンは常にこれに悩まされ続けてきたとのお話がありました。現在、アフガニスタンでは、20団体に及ぶテロ組織が活動しているため、中央政府は国土の6割ほどしか掌握できておらず、これらテロ組織は諸外国からの支援がなければ活動することはできないとのことでした。安井氏からは、ターリバーン、アルカーイダ、「イスラーム国」の属州等の動向について詳細な説明があり、ターリバーンの一部勢力には和平推進派もおり、対話を通じた問題解決に向けた取り組みも紹介されました。また、「イスラーム国」は、シリア・イラクでは劣勢に立たされているものの、アフガニスタンでは依然として大きな脅威となっており、アフガニスタン政府も非常に警戒していることが、東部ナンガルハール県での取材によって得られた情報から解説されました。後半には、外国軍やアフガン空軍による誤爆が時として起こり、巻き込まれた民間人が不条理さに打ちひしがれる様や補償の手薄さなど、国際社会からの関心も寄せられず、基本的人権すら持てない無辜の人々の置かれた状況についてもお話がありました。

質疑応答では、参加者から途切れることなく質問が出され、ターリバーンと「イスラーム国」の関係など治安情勢に関するものから、イスラーム教における女性の権利、子どもの置かれた状況、潜在力のある観光資源や農作物についてなどその内容は様々でした。本講演会では、安井氏から、アフガニスタン人の生の声と映像を伝えていただくことができ、アフガニスタンの最新の情勢について知るとともに、同国で復興と平和がなかなか進まない理由や日本にいる私達が出来る事について考える貴重な機会となりました。

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