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カンボジアスタディツアー実施報告

2018年12月26日更新

2018年9月15日から9月23日まで、「国際共生社会論実習」カンボジアスタディツアーが行なわれた。参加者は1年生3名、2年生1名、3年生2名、計6名である。
出発前の6月から8月にかけて約6回の事前学習や安全講習を行なった。現地における質問方法に関する講演やJICAの国際協力専門員によるジェンダー主流化プロジェクトに関する講演の他、複数の文献を読んで参加者同士で議論し多様な意見を得ながら、カンボジアの歴史や一般的な政治・社会・経済の現状の理解を深めた。そして、事前学習をふまえ、参加者それぞれが現地での調査テーマを固めていった。カンボジアにおける教育、職業選択、出稼ぎ、ダンスなど各人の専攻や興味・関心に沿った調査テーマであった。

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農村における調査

現地1日目は首都プノンペンに滞在した。ビルやおしゃれなカフェなどが建ち並び、大型車両がひしめき合っているという想像以上の発展に参加者皆驚いた様子であった。2日目に農村における聞き取り調査のため、プノンペンから車で2時間ほどの場所に位置するカンボジア東部の州・コンポンチャムに移動し、3日目から本格的に調査を開始した。コミューン・チーフや小・中学校の校長先生、出稼ぎ家庭、高等教育を受けた子どものいる家庭など様々な人々にインタビューをすることができ、各自調査課題についての考察を深めることができた。調査後プノンペンに戻った後、5日目は王立プノンペン大学にあるカンボジア日本人材開発センター(CJCC)を訪問した。ポル・ポト時代を生き抜き、カンボジアの伝統舞踊アプサラの復興に取り組んできた方の講演を聴くことができた。ポル・ポト時代に、男女の関係や結婚がポル・ポト政権によって支配されていたという内容が特に心に残っている。

また、CJCCで日本語を学んでいる同年代の学生と交流する機会を得た。農村の学生に比べて将来の夢の選択肢が幅広いという印象を受け、都市と農村の間の格差を感じた参加者が多かったようである。6日目にはWheel Chair For Development(WCD)の車いす工房を訪問し、WCDのディレクターやAAR Japan(難民を助ける会)のカンボジア駐在員からそれぞれの団体の取り組みについてうかがった。WCDは個人の障害の状態にあった車いすを製造し、障害者の社会参加を後押ししている。AARはカンボジアではインクルーシブ教育推進事業を進めるほか、WCDに対して財政面・運営面などで支援を行なっている。工房では障害をもつ方を含めたカンボジア人スタッフが丁寧に車いすを製造している。我々も車いすに乗り、操作や乗り心地を体感することができた。車いす受益者訪問では、車いすのおかげで家族の負担がかなり減ったという生の声を聴くことができた。7日目は、JICAカンボジア事務所を訪問し、JICAカンボジア事業概要の説明を聴いたり、各自のテーマに沿った質問をしたりした。JICAは多方面での支援に携わっていることが分かった。また、JICAの支援の先には物理的な改善だけではなく、人々の意識改革が見据えられているように感じた。青年海外協力隊員のお二人からはカンボジアでの活動について説明していただく時間もあった。同年代の人々が青年海外協力隊員として活動していることに私は刺激を受けた。8日目は、トゥールスレン虐殺博物館を見学した。この博物館はポル・ポト時代にクメール・ルージュによって人々が収容されていた場所である。人々が収容されていた状況を物語る写真や独房を目にし、当時の人々がどれほど残酷な目に遭っていたのかということを実感した。思わず目を背けたくなるようなほどであったが、話を聴くだけでは理解できない当時の恐怖を感じることができた。

以上、約一週間という短い期間ではあったが、多くの人々や機関を訪れて考えを深める機会があり、非常に充実したスタディツアーであった。視野が広がり考え方も多様になったと感じている。また、実習を通して、都市を中心に物理的な発展はみられるものの、教育の質の悪さや汚職の横行、法律の不遵守など様々な問題あることを目の当たりにした。見えにくいところ、見ようとしなければ見えないところが依然として発展の途上にあるのだと感じた。この経験をこれからの大学での学びや将来に活かしてみせる。

最後に、この貴重な経験をすることができたのは、現地での同行及び通訳をしてくださったポマさんやインタビューを受け入れてくださった方々をはじめとする現地の皆様ほか、関係者の方々のおかげであり、感謝の気持ちでいっぱいである。

(文教育学部言語文化学科グローバル文化学環2年 酒井 麻佑子)

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