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第31回SDGsセミナー「心の安心安全基地とそこで働く人」実施報告

2023年7月3日更新

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講師の笹間氏

6月19日(月曜日)、認定NPO法人カタリバで働かれている笹間優衣さんからご講演いただきました。講演の中では、カタリバのコンセプトやカタリバの放課後支援施設の概要だけでなく、ご本人がなぜカタリバに辿り着き、現在どのような気持ちで勤めていらっしゃるのかをお話しいただきました。

第一部のカタリバのコンセプトの説明部分では、「どんな環境に生まれ育っても未来をつくりだす力を育める社会」というフレーズがとても印象的でした。カタリバは団体の強みとして「ナナメの関係」を掲げており、教師や保護者のような上の存在でもなく、かといって友達のような横の近すぎる存在でもないからこそ、状況に応じて子どもに対して適切な役割を果たすことができるとのことです。子どもの間には、例えば家族旅行や習い事の経験があるか、周りに年の近い先輩がいたか、自身の思いを尊重してもらえる家庭環境にあったか……等によって、物事に意欲や想像力を持つ「きっかけ格差」が生じていることを笹間さんは指摘されました。そして、その格差を解消しカタリバの掲げるビジョンを達成するためには、義務教育や家庭のみに頼らず社会全体で対策する必要があることを強調されました。

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セミナーの様子

第一部を受けて、既存のその他の学習支援事業、居場所支援事業に対し、カタリバは子どもの自主性を尊重している印象を強く感じました。学習面をサポートしてあげよう、話を聞いてあげようというような姿勢ではなく、あくまでも子どもが自主性を持って様々なことに意欲的、創造的に取り組めるようにするためのきっかけを作ろうという姿勢は、子どもに干渉しやすい上や横の関係ではなく、ナナメの関係を築くというお話にも通じると思いました。そうしたコンセプトを実際にどう実現しているのか、直接自分の目で確かめたいと感じました。

カタリバの放課後支援施設のお話の中では、施設や活動の紹介だけでなく、実際に笹間さんの経験を交えたお話を伺いました。食事を共にして健康を維持したり、集団、個別それぞれのかたちで学習支援をしたりと、学校や塾のようなやることが決まっている場所とは異なる役割を果たしている様子が分かりました。直近では、新型コロナウィルス感染症拡大の中で子どもへの支援が不足しないように、食事の配布やオンライン事業のための各家庭へのハードウェアの整備が行われたそうです。新型コロナウィルス感染症拡大下でここまで柔軟に対応ができているNPOは少ないと思い、驚きました。笹間さんは自身のアイデアをすぐに運営に生かせることが強みのひとつだとおっしゃっていましたが、組織全体の迅速性や柔軟性は支援をするうえで必要不可欠だと感じました。

第二部では、事務職の仕事からカタリバへ転職されたというご自身のキャリアに関するお話を伺いました。笹間さんは、キャリア選択において自分がどこで働くかを大切にされ、東京以外の場所での居住経験を経たうえで、やはり東京にいたいという思いを感じるようになったそうです。子どもとの関わりかたについては、もちろん正解がすぐに見つかるわけではないけれども、試行錯誤を続けているとおっしゃっていました。

笹間さんが東京以外の場所で働いてみないと東京への思いが分からなかったように、経験してみないと気がつけないことがたくさんあると感じ、自身もキャリア選択のために様々な経験を積んでいきたいと思いました。NPOで活躍しているかたの体験談を聞くことはとても興味深く、貴重な経験になりました。

(文教育学部人文科学科2年 榊原明日香)

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