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第33回SDGsセミナー「見て、聞いて、動いて!JICA海外協力隊 in トンガ王国」実施報告

2023年11月22日更新

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JICA海外協力隊の制度などを説明する
講師の伊藤さん

11月8日に本学のグローバル協力センターが主催する第33回持続可能な開発目標(SDGs)セミナーが開かれました。本セミナーでは、JICA海外協力隊員としてトンガ王国に赴任されコミュニティ開発に従事し、現在はお茶大の博士前期課程で学ぶ伊藤有未さんをお招きし、現地での活動やJICA海外協力隊などについてお話いただきました。

まずは、JICA海外協力隊での研修や訓練についてお話を伺いました。派遣前は、職種別研修、数ヶ月にわたって語学や生活手法を学ぶ派遣前訓練に参加し、派遣国でも約1ヶ月の現地語学訓練が行われます。派遣前訓練では、全国から異職種の同期が集まり、普段の生活では出会うことのできない人々に囲まれながら生活できるそうです。

次に、現地での活動に関してお聞きしました。伊藤さんのJICA海外協力隊での要請内容は、島民の生活習慣病に関する知識・意識を向上させ、健康的な食生活の改善を目指すことでした。

トンガでは、国民7割が生活習慣病に罹患、またはその予備軍と言われています。配属先の農業・林業省エウア支局のあるエウア島は、全15村、人口約5,000人の離島です。

インターネットなどの情報伝達手段が離島では普及しておらず、市場に出回る野菜にも限りがあるとのことでした。ここで、クラスでのディスカッションが行われ、各個人が伊藤さんの状況において、どのようなアプローチを取るかを考えてみました。島での日常や文化に触れたことがない第三者として、島の生活の有り様を尊重しながら一国の政策に関わることの難しさ、「草の根外交官」という立場の難しさを感じました。また、現地の人々と絆を紡ぎ、信頼を得られる存在となるには、政策を施行する立場以上に、島民の一員として現地の生活に飛び込み、周りから常に学び続ける姿勢が大切なのだろうと考えました。

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海外協力隊が途上国の現場でどのようなアプローチを取るか
ディスカッションをする様子

実際に伊藤さんは、カウンターパートと共に、全15村を巡回し意識・実態調査を行い、野菜苗の栽培と配布に取り組み、女性コミュニティ委員会の発足やJICA海外協力隊大洋州隊員での集合研修の開催を実施したそうです。

隊員生活では、さまざまな困難に直面しながらも、温かい人々の支えに恵まれて過ごせたそうです。約2年間という短い期間で島民の意識を変えることは難しいものの、「誰かのきっかけになる」ことを目指し、身近な人に何かしら貢献したいという思いで活動を続けてきた伊藤さんは、とても素敵だと思いました。これこそがJICA海外協力隊の「いつか世界を変える力になる」というスローガンを体現した姿なのだろうと思います。

最後に、伊藤さんの現在の活動についてお話を伺いました。大学院では、トンガにおける国際移動と、その持続可能性についての研究を進めているそうです。

また、プライベートでは日本語教師として学びを進め、日本人として海外で発揮できるスキルを磨いているそうです。JICA海外協力隊での経験が、伊藤さんの人生に様々なきっかけもたらしていることが分かりました。

セミナーを通じて、JICA海外協力隊の活動についてより詳しく知ることができました。伊藤さんの経験から、日本とは異なる日常生活を通して得られる特別な人生経験、そしてそれを提供してくれるJICA海外協力隊に魅力を感じました。さらに、同じお茶大生として、伊藤さんのお話はキャリア形成の参考になりました。社会人としてどのように世界と関わっていけるのか、様々な機会を掴み、あらゆる場で出会う人脈を大切にすることを心に留め、常に「見て、聞いて、動いて」、今後の大学生活を大切にしていきたいと思います。この度は貴重なお話を本当にありがとうございました。

(文教育学部人文科学科3年 布施谷里桜)

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