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授業では、現在のトルコ共和国を中心に話されているトルコ語を一年間にわたって基礎から学びます。トルコ語はアラビア 語、ペルシア語と並んで中東イスラーム世界を代表する言語です。三つの言語はイスラームに根ざした共通の宗教・文化的語彙を持つことで知られますが、文字表記の点でトルコ語には他と異なる特徴があります。それはコーランが記されたアラビア文字ではなくラテン文字を使用している点です。ここにはトルコ共和国の建国理念である世俗主義が反映されています。ラテン文字のアルファベットをすでに知っている皆さんは新たな文字を覚える必要がなく、すぐに学習を始めることが可能です。その後、アラビア語、ペルシア語を学ぶ際にもトルコ語の知識は役立つでしょう。さらにトルコ語の「学びやすさ」として、日本語と語順がよく似ており、難しい発音もほとんどないことが挙げられます。例えば、「トルコへ行きます」の「へ」に相当する助詞はトルコ語でも「(y)e」で表します。このようにトルコ語は日本人初学者にとり、親しみやすく、学習上負担の少ない言語と言えるでしょう。
トルコの人たちは自らを「テュルク」と呼びます。実はこの言葉はトルコ共和国以外の「トルコ」系の人びとをも意味し、そのなかにはテュルク諸語(アゼルバイジャン語、トルクメン語、ウズベク語、キルギス語、カザフ語、ウィグル語)を話す人びとが含まれます。筆者は以前イランでアゼリー人とキルギス共和国でキルギス人と偶然にもトルコ語で会話をする機会がありましたが、この時ほどトルコ語とテュルク諸語との相関性を肌で感じた経験はありません。トルコ語はカフカース、イラン、中央アジアに暮らすテュルクを知るうえでも有益な言語なのです。現在、これらの地域にはイスタンブル発のトルコ語衛星放送やYou Tube等で最新のドラマや歌番組を楽しむ多くの「テュルク」が暮らしており、そのネットワークが広がっています。
授業では、テキストを使って初級文法を学びながら、読む、話す、聞く、書くの4技能をじっくりと身につけていきます。その際、テレビドラマや映画の映像、国営放送のニュースやYouTube上で実際に話されているトルコ語に触れつつ、そこから垣間見えるトルコの日常生活や文化、歴史についても学びます。ぜひ、トルコ語の学習を通じてあなた独自のグローバルな視点を磨いてください。(文責 松尾有里子)