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お茶の水女子大学では、ラテン語を学ぶことができます。ラテン語は古代ローマで用いられましたが、その後近代に至ってもヨーロッパの学術語として重要な地位を占め続けました。またラテン語はイタリア語やフランス語などの直接の先祖にあたり、英語のうちにも多くの語彙が入っています。文章の中でラテン語の格言などが、そのまま引用されることも珍しくありません。さらにはヨーロッパ近代語の文体を理解するためにも、つねに規範としての役割を果たしてきたラテン語の文体に触れることは大いに役立つことでしょう。授業では、アルファベットと発音からはじめ、辞書や文法書として頼りにまとまった文章を読むために必要な文法事項を一通り学ぶことを目標としています。
ラテン語で読めるものには、カエサルやキケロ、ウェルギリウスなどの古典、 中世やルネサンスのさまざまな文献があり、 さらに近代の作品のうちには、たとえばデカルトやスピノザ、ケプラーやニュー トンなどによる重要な諸著作が含まれています。さらにラテン語は、カトリック教会の典礼に用いられ、音楽の分野にもラテン語テクストによる重要なレパートリーが蓄積されています。 ほとんどの言葉は、発せられると同時に消えていってしまいます。しかしラテン語の古典は、無数の人々によって大切に読み継がれてきたものです。ギリシャ語やラテン語で書かれた古典を読むことは、ヨーロッパではしばしば、人間らしく生きるための不可欠の基盤を形成するものと考えられてきました。多くの先人たちが大事にしてきた言葉を共有し、また彼らの解釈を参考にしながらひとつひとつの文章の意味をじっくりと深く考えてゆくような言語の学習も素晴らしいものだと思いませんか。(文責:三重野清顕)