ページの本文です。
2015年7月17日更新
日時:2015年7月17日(金)16:45-
17th July, 16:45
場所:お茶の水女子大学理学部1号館201号室
#201, Building1, Faculty of Sciences, Ochanomizu Univ.
アクセス情報:http://www.ocha.ac.jp/access/index.html
講演者:
下川 倫子氏(福岡工業大学工学部知能機械工学科)
Prof. M. Shimokawa (Fukuoka Institute of Technology)
講演タイトル:
三成分砂山パターンの遷移現象
アブストラクト:
一様に混合した二成分粉体を狭い隙間に流し込むと、雪崩の中で起こるsize segregationにより、
stratificationパターン(縞構造パターン)もしくはsegregationパターン(分離パターン)の砂山が
自発的に形成される。これらのパターンは二成分粉体の安息角と粒径の相対的な大小関係によって、
決定され、θ_11=θ_22でパターンの遷移現象が起こることが知られている(θ11,θ22はそれぞれ、
粒径が最も小さい粒子と粒径が最も大きな粒子の安息角を意味している)[1,2]。
二成分系については実験、シミュレーションの立場から様々な報告がなされているが、
三成分系の砂山のパターン形成について十分には調べられていない。
今回、三成分粉体で二成分系と同様の実験を行ったところ、従来報告されていたstratificationパターン、
segregationパターンに加え、新たにstratificationパターンとsegregationの両方が出現するupper
stratification–lower segregationパターンとupper segregation-lower stratificationパターンが観察された。
これらの4種類のパターンは、θ_11/θ_33, θ_22/θ_33のパラメータスペースで整理できることが実験で示した
(θ_11,θ_22,θ_33 はそれぞれ、粒径が最も小さい粒子、2番目に小さい粒子、最も大きな粒子の安息角を意味する)。
次に、roll or stay rule[1, 2]に従い、シミュレーションを行ったところ、実験で観察された全ての砂山パターンが
再現され、θ_11/θ_33,θ_22/θ_33をコントロールパラメータとする相図内でのパターンの出現領域は
実験結果とよく一致していた。
以上の結果より、各々の粒子の安息角の比が三成分砂山のパターン形成において、重要であることを
明らかにした[3]。本研究は九州大学総合理工学府 坂口英継准教授との共同研究である。
References:
[1] H. A. Makse, et al., Nature 386, 379 (1997).
[2] M. Noguchi, Bussei kenkyu 72, 102 (1999).
[3] M. Shimokawa, Y. Suetsugu, R. Hiroshige, T. Hirano, and H. Sakaguchi, Phys. Rev. E 91, 062205 (2015).