保育臨床演習U |
「幼稚園教育要領」と「保育所保育指針」がそれぞれ改定され、新たに「親の子育て力向上」が強調されてきた。親の養育力をエンパワーするという立場から以下の課題について検討していく。
(1)「子育て支援」と「子育て力向上支援」との違い
(2)「子育て力」と「養育力」の違い
(3)親の養育力をエンパワーするための条件
(4)幼児保育・教育施設別に「養育力エンパワー」の取り組みの実態 |
比較保育学U |
0歳から幼児期または児童期を見通した一貫したカリキュラム作りが、世界的に進展しつつある。特に、本年9月より実施されるイギリスのEarly
Years Foundation Systemやドイツの乳幼児期プログラムを中心に、その基本的な考え方及び具体的な展開について紹介しながら、わが国における幼保一体的運営や幼保・小の接続の考え方と比較検討する。 |
保育実践研究TUVW(大戸担当) |
保育実践の質の向上の手法として世界的に注目されている「ドキュメント作り」の演習を行なう。実践を映像化したさまざまなドキュメントに学びつつ、自らの保育の現場について独自の切り口から継続して記録を取り、保育環境や子どもの行為の持つ意味、あるいは保護者の活動等について見直しを行なう。T/VとU/Wは同時開講であるが、T/Vの受講生は、ドキュメント作りの基礎的な学習として多様なドキュメントを見て学び、U/Wの受講生は一定のテーマのもとにドキュメントを実際に創作することを課題とする。保育の現場を持ち、またジタルカメラやパソコンの操作ができる方の受講を望む。
(保育実践研究V、Wは、I、Uを受講していることが前提となる) |
コミュニティ保育教育論T |
近年、保育、教育現場において遭遇する問題に対処するには、地域を包括した対応が必要となってきている。コミュニティ保育教育論のIでは,地域に働きかける方略として1960年代のアメリカで生まれたコミュニティ心理学の考え方を学ぶ。前半はコミュニティ心理学の基礎となる心理学について、人の心を探究する学問としての誕生・発展の変遷を簡単な実験なども交えて解説する。後半はコミュニティ心理学に繋がるアメリカの精神保健の歴史とコミュニティ心理学誕生の経緯を解説した後、コミュニティ心理学におけるコミュニティの捉え方やそれらに対するアプローチの仕方を解説していく。 |
コミュニティ保育教育論U |
近年、保育、教育現場において遭遇する問題に対処するには、地域を包括した対応が必要となってきている。コミュニティ保育教育論IIは、Iの応用編として、地域を巻き込んだ保育・教育実践のあり方を探る。前半は担当教員がコミュニティに関わる実践事例を数例紹介する。これを基にコミュニティ実践の実際に触れ、またそれぞれの立場での考えをまとめ、議論を行う。後半は受講生が関わる現場の取り組みをコミュニティ実践の観点からまとめ、数例を実践事例として取り上げ発表をしていく。また、取り上げた実践事例を基に、毎回これらについて議論を交えて検討していく。 |
保育実践研究TUVW(長谷川担当) |
長谷川が担当する保育実践研究では、子どもに対する疑問や保育場面における疑問を、心理学の研究法を拠り所に実験研究や調査研究を行い掘り下げていく。授業はすべてディスカッションを中心としたゼミ形式で行い、必要に応じて講義も行いながら進める。
I/VとU/Wはそれぞれ同時に開講するが、I・Uでは、前半ではその基礎となる心理学の研究法について講義を中心に学び、後半では研究テーマの絞り込みとプランニングを行う。特に後半では、各自が持っている疑問・興味に基づいた研究テーマが見つけられるよう、関連する文献の読みすすめを通して焦点を絞り込み、具体的に心理学の研究法に則った研究として組み立てていくことができるよう指導する。研究プランができ次第、実際の調査・実験に着手し、得られたデータの解析・検討を行う。実験の予行練習や予備実験、予備調査なども必要に応じて行っていく。取り扱うことが可能なテーマとしては、保育場面や子育てに関する質問紙を用いた調査研究や子どもの認知機構を調べるような実験研究、大人を対象にした脳波を用いた脳機能研究などがある。
V・Wでは同時平行で開かれるIの心理学の研究法について確認をしながら、これまで行った研究に関連する文献を検索し読みすすめる。これまでに行った研究を継続してデータ収集・解析も行う。また、後半ではこれまで行ってきた研究を、簡単な論文の形になるようまとめの作業を中心に進めていく。
(保育実践研究V、Wは、I、Uを受講していることが前提となる) |
子どもと家族 |
日本の乳幼児が育つ環境としての家族と家族関係の特徴を理解し、子どもの発達に家族がどのような影響を与えるかを考察する。
(1)家族とは何か (2)日本の家族とその変化 (3)子どもにとっての現代家族の構造的特質
(4)子どもにとっての現代家族の機能的特質 (5)現代家族の母子関係
(6)現代家族の父子関係 (7)現代家族の夫婦関係 (8)さまざまな家族と子ども
(9)地域の中の家族と子ども (10)これからの家族と子ども |
現代育児論U |
育児を取り巻くさまざまな視点の大きな変化を、3つの異なった視点から論じるのが本講座の目的である。脳科学的な視点から、赤ちゃんの発達についての最新の知見を論じながら(小西)、社会の中における親子のあり方について検討する(大日向)。また、変動しつつある現代社会における保育所、幼稚園のあり方
について、保育をコミュニケーション労働として捉える立場から論じる(汐見)。 |
幼児理解とその方法T |
幼児は行為を通して様々なメッセージを発信している。そのため、幼稚園教諭には、幼児の行為を観察しそこに内包されている意味を読み取る力が強く求められているのである。本授業では、発達心理学と保育臨床学の専門家がオムニバス方式で、幼児理解の方法に関する最新の知見を提供しまた応用の機会を用意し、保育者の専門性をさらに磨き幼稚園教育の質の向上に役立てることを目指している。
(1) 発達の可塑性〜子どもは変わる・大人も変わる〔担当:内田伸子〕
被虐待児の事例を中心に、発達のやり直しや修正がどのような人々のかかわり方で効力を持っていくかを検討していく。
(2) 幼児理解の方法 その@〔担当:浜口順子〕
保育実践の省察における言語化(記録化、話し合い)の作業が、子ども理解および保育研究とどのようにかかわるかを考える。
(3) 幼児理解の方法 そのA〔担当:柴坂寿子〕
幼稚園での子どもの観察事例を挙げながら、観察者という立場から子どもを理解しようとするときの方法を紹介する。
(4)幼児理解の方法 そのB〔担当:刑部育子〕
幼児の行為を見ることをグループで共有し、議論することを通じて、自分とは異なる見方があることに気がつき、保育の実践がより豊かにイメージできるようになることを目指す。幼児理解の方法の一つとしてこの回では参加共有型デザイン手法を応用し実践する。
(5)幼児理解の方法 そのC〔担当:大戸美也子〕
大勢の子どもが雑多な行為を展開している保育現場で、何をどのように記録や映像に残したらよいか、また残した記録を活用してどのようにドキュメント作りができるかを具体的に演習する。
(6)まとめ |
保育システム論 |
少子化、核家族化が進行し、育児の経験の少ない親が子育てをする時代になっている。保育士や幼稚園教諭に対して、「子どもを預かる」「幼児教育」を行うという当初の社会の要請は、大きく「幅広い育児支援を行う」方向に変わりつつある。認定子ども園の試行が行われる中、保育所保育指新針や幼稚園教育
要綱の改定作業も進行中だ。このような大きな変革を遂げつつある日本の保育を、改めて根本から概観することが本講座の目的である。 |