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「今、ここ」からの脱出

2018年4月9日更新

ドイツ語教員になってかれこれ六年目ですが(お茶大は今年で三年目です),よく学生さんから「なぜドイツ語をやろうと思ったのですか」と聞かれます。数ある外国語からドイツ語を選び,大学の単位を取得するに飽き足らず勉強を続けて教員にまでなったからにはそれはそれはもの凄いエピソードが無いわけでは無いのですが,いつもなにやら気恥ずかしくなってしまって「いや,まあドイツの文学とかアートとか哲学とかに興味があって,それで...」などと歯切れの悪い回答でお茶を濁してしまいます。というより,今になってみれば始めた理由なんてどうでも良いような気もします。若いうちは(そして歳をとっても)いちいち理由なんて考えず,何語であろうと勉強したいと思ったことを勉強すれば良いのです。

「理由」はいつもそんな調子で誤魔化してしまいますが,外国語を学ぶ「意義」として意識していることはあります。それは外国語は自分を自由にするということ,自分が存在する「今,ここ」ではないどこかへ運んでくれるということです。外国語を学ぶことで何千キロも離れた場所にいる人と,また何百年も前に生きていた人と,コミュニケーションがとれるようになります。当たり前といえば当たり前ですが,これは凄いことなのです。そして「今,ここ」にはいない誰かとの交流を通じて,自分自身もそれまでとは異なった存在になることができます。いや,ならざるをえなくなります。「今,ここ」ではないどこかから現れた他者は,それまでのあなたが知らないものを,知らない世界を,たくさん見せてくれることでしょう。するとそれらを知ったあなたはもう以前のあなたではなくなります。そう,外国語はあなたを変身させるのです。

外国語学習には七面倒くさい文法やら,似たような綴りなのにそれぞれ意味が全く異なる単語やら,ちょっと間違えただけで意地悪に指摘してくる教員やら,不愉快なことも付きものかもしれません。でも外国語を勉強することであなたは少しずつ「変身」しているのです。そう考えれば少しは勉強が楽しく……なりますよね?

前田 佳一(外国語教育センター 助教)

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