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お茶の水女子大学 幼・保の発達を見通したカリキュラム開発
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幼保プロジェクトとは?

 乳幼児期の子どもを理解しその成長を支える者としての「保育者」(職業的保育者だけでなく)を養成することをめざして、附属幼稚園、附属いずみナーサリー、大学の三者が協働して、身体性と経験を生かすカリキュラム・授業の創造を進めています。

目的

 乳幼児・学校教育の携わる専門家像の社会的変容、乳幼児発達研究の発達、附属幼稚園と附属保育所(いずみナーサリー)の連携方法追及の必要性、国家的社会的な幼保連携の要請等を客観的背景として、3〜5歳児の幼児教育を中心とした本大学の幼稚園教員養成課程を、乳児期も含めた0〜5歳児の連続した発達と学びの視点から早急に再構築する必要があります。
 本プロジェクトの目的は、大学、附属幼稚園、附属保育所(いずみナーサリー)の三者協働による保育者養成カリキュラムの開発研究および実習指導体制を創造し、人材育成と幼稚園・保育所における教育改革を相互に動機付け発展させるシステムの転換を図ろうとするものです。

特色

必要性・緊急性
1. 学生の変化およびニーズと課題を把握する
2. お茶の水女子大学の保育者養成の特徴を構造化し、課題を明確にする
3. 附属幼稚園、附属保育所(いずみナーサリー)の教員養成・研究への実績と
課題を把握する

 附属幼稚園は、130年の歴史を持ち、早くから幼児教育の方法論について幼児教育界をリードしてきた実績があり、この蓄積を継承発展させるのは、本学の責務であります。一方、附属保育園(いずみナーサリー)はキャリア志向の女性のライフコース追及支援という機能を持ち、幼稚園とは子どもの年齢層も保育時間帯も異なっております。わたしたちは、いまこそ新しい保育の専門職概念をもち、大学における保育者養成カリキュラム開発研究に取り組む必要があるでしょう。

独創性・新規性
1. 0〜5歳児の発達を見通した保育者養成カリキュラム
 0〜2歳の「教育」は、従来「保育」の名の元に一括され、2〜3歳期の接続に関する教育的課題、幼児教育とは一線を画されていました。0〜5歳児の連続した発達と学びの視点を、大学と幼保が連携して、しかも、養成カリキュラム開発を通して研究開発するという試みは、おそらくほかに例を見ません。
 実践に基づいた研究成果と視点、その習得に基づいた保育者養成プログラムを提供します。
2. お茶の水女子大学を研究拠点とすること
 総合施設化とは異なる、幼稚園と保育所(いずみナーサリー)の独自性を生かした幼保連携のモデルと提示します。しかも、一方の附属幼稚園が長年にわたる幼児教育カリキュラムの開発、実践、研究の実績を持つことから、幼稚園教育の伝統と実績が、現代の幼保連携のという国家的課題にいかに応え得るかということであり、社会的責任も大きく伴うものです。これはまた同時に、国立大学法人では全国で始めて附属校となった保育所(いずみナーサリー)が、女性のキャリア支援と保育の充実という社会的緊急課題にいかなる着実な成果を示しうるかという点においても、重責を伴う課題であります。
3. 他のプログラムとの関連
 お茶の水女子大学は、現在、文部科学省科学技術振興調整費による「女性研究者支援モデル育成プログラム」、独自の教育研究プロジェクトとして「女性リーダー育成プログラム」を推進中です。

内容

総合的保育者養成

 「総合的保育者」という仮の名称をつけた保育者像をイメージし、養成課程の補強に取り組んでいます。「保育」はその営みの複雑さや重要さに比べ、たいへん低い社会的地位しか与えられてきませんでした。けれども、家族の危機を中心とした人間存在の不安定さが如実に現れている今のような時代にこそ、高等教育機関では「保育」の講座を保持する必要があると私たちは考えています。
 近年の保育者養成課程には、保育労働市場の変容にあわせ、幼稚園教諭と保育士資格の両免取得に向かう傾向が顕著です。しかし、労働市場に即応するだけでは、学生の学びや人間観、子ども観、保育観をせばめている面があるのではないでしょうか。保育者養成の改革を構想するとき、資格取得に必要とされる授業の補填ではなく、これからの保育者に本当に必要な学びが何であり、その学びに応える保育者養成カリキュラムとはどのようなものなのかを考える必要があるでしょう。今日的課題に向かっていける保育者の養成について、試行錯誤しながらの議論を続けています。多角的な視点をもって「保育」を外側から眺め、自らの実践やものの見方を省察する知にひらかれた保育者の養成に向け、授業改革に取り組んでいるところです。

二歳児研究

 幼稚園は、明治期の創設以来、3歳以上の子どもを受け入れてきました。しかし、近年では満3歳の誕生後の入園が許されるようになりましたので、翌年度の4月を待たずに入園できることになりました。また、いくつかの特別区では、2歳児の就園を認めています。そのような訳で、幼稚園関係者は3歳以降の教育のみならず3歳未満児の、特に2歳児の理解は不可欠のものになってきています。2歳児は、「人生の出発点であり、これにつづく後の時期の基礎をなしている」(津守、1984)といわれています。依存から自立に向けてがんばる2歳児。自分中心の安定した世界から心を外へ向け、戸惑い、混乱し、他者との対応に悪戦苦闘する2歳児。2歳児の世界を見直し、3歳以降の発達や学習上のつながりを明らかにするために、これまで以下の研究を進めています。
 「二歳児の発達と学び(その1)〜自分・大人・友達とのかかわりの特徴と保育者の援助」「二歳児の発達と学び(その2)〜子どもの排泄行為の自立形成期における支援の指標に関する研究」(日本保育学会第60回大会発表論文集,pp.682〜685,2007)

保育メディア

 保育者がつくる環境を含めてカリキュラムととらえ、保育環境の構成、教材開発、メディアの検討を行っています。
(1) 平成18年度は附属いずみナーサリーにおいて、保育者と保育研究者に加え、情報デザイン専門の学生と協働で「いずみナーサリー Message Book」を制作しました。保育者自身が構成するメディアを通して日常の保育が省察され、新たな保育者と子どもの関わりの変化がみられました。この協働デザインプロセスについては、保育学会で発表しました(刑部, 2007)。
(2) また、子どもの玩具について考えるために、和久洋三氏を招いた造形教育に関する講演会を行いました。
(3) さらに、子どものメディアに対する関わりに注目し、保育教材開発のデザインプロセスを探求するため、他大学との共同研究で、絵本作家を交えてインタラクティブな動的布絵本の製作が進行中です。その一部は国内外で発表しました(中小路・斎藤・刑部・戸田・秋田・岩田, 2007a; 2007b, Toda, Saito Gyobu, Nakakouji, Akita & Iwata, 2007)。

実施計画

  • 19年度
    • 研究成果の発表
    • HPによる逐次公開
      • プロジェクトの研究成果を逐次公開していく
      • 幼児の教育のHPの立ち上げ
    • 「幼児の教育」における毎月枠
    • 「中間報告」の作成
    • 授業改革
  • 20年度
    • 大学の養成カリキュラム改革と、0〜5歳児の発達を見通した幼稚園・保育所の保育カリキュラム改革の内容を具体化し、相互の関係構造を検討する。
    • 研究フォーラムを学内・学会等において開催する。
    • 中間報告を、研究誌・学会等で発表する。
  • 21年度
    • 本事業研究の総括と、大学養成カリキュラムの改正案の提示。
    • 研究フォーラムの開催。
    • 報告書の作成と印刷、公表。

    組織・構成員

    • 担当理事・副学長
      • 内田伸子(人間文化研究科・教授) 担当機構長
    • 生活科学部 人間生活学科 発達臨床心理学講座
      • 浜口順子(准教授)
      • 刑部育子(准教授)
      • 柴坂寿子(准教授)
    • 子ども発達教育研究センター
      • 高濱裕子(教授)
    • チャイルドケア・アンド・エデュケーション講座
      • 大戸美也子(教授)
    • プロジェクト専任講師
      • 佐治由美子
      • 菊地知子
      • 塩崎美穂
    • 幼小教職科目担当教員
      • 江波諄子(常磐短期大学)
      • 田中三保子
      • 吉川はる奈(埼玉大学)
      • 内藤知美(鎌倉女子大学)
    • 非常勤講師
      • 18年度 植村朋弘(多摩美術大学)
    • お茶の水女子大学附属幼稚園  全教員
    • お茶の水女子大学附属いずみナーサリー  全保育士
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    (背景写真:UK.Pen Green Centre. 2007年夏 視察時撮影)
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責任者:幼・保の発達を見通したカリキュラム開発ホームページ運営委員会 塩崎 美穂 E-mail:
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