グローバル教育センター留学派遣

イギリスと台湾にバレエ留学。
個性豊かで世界で活躍できるダンサーを育成したい。

平井久美子さん
文教育学部芸術・表現行動学科舞踊教育学コース2012年9月卒業。大学4年次9月から翌8月まで国立台北芸術大学留学。13年1月から岡山市バレエ教室に勤務。

平井久美子さん1

親日国・台湾に留学中国語もマスター

平井久美子さん2

叔母がやっているバレエ教室に3歳から通っていました。学業との両立が難しくなり、14歳から5年間は休んでいたのですが、大学受験が終わった18歳から復活。大学も舞踊を専門的に学べるお茶の水女子大学を選びました。

大学3年次に休学して、イギリスのマンチェスターにバレエ留学。プロのバレエダンサーを目指す人たちと切磋琢磨した激動の1年間でしたが、帰国後ももっと様々な世界を見ておきたいと思って、アジア圏での留学を考えました。そこで「グローバル教育センター」の越智貴子先生に相談して、台湾の国立台北芸術大学に留学することを決めました。
留学期間は大学4年の9月からの1年間。すでに卒業要件単位は満たしていたので、留学中に卒論を仕上げれば、翌年秋に卒業できるという段取りでした。
留学先での履修言語は中国語と英語。このうち英語は塾の講師をしていた父から習っていたことと、マンチェスターでの経験でクリア。中国語は第二外国語で履修していたのですが、少し不安だったので、大学が始まる1か月前に現地に入り、中国語スクールに通いました。

学生ボランティアが通訳して卒論を完成!

国立台北芸術大学では、交換留学生が履修できるのは実技のみとなっていて、毎日2〜3コマぐらいレッスンしていました。これに加えて、卒論を書かなければならなかったので、担当教授の指導を受けていました。この時、先生は使うのは台湾語。そこで学生がボランティアで、台湾語を英語にする通訳をしてくれました。
台湾には親日家が多く、日本語を勉強している学生が多かったので、私も空いた時間には日本語を教えたりして、いわゆる「言語交換」も活発でしたね。おかげで卒論もスムーズに作成できました。
苦労したのは、レッスンがハイレベルでついていくのが大変だったことでしょうか。国立台北芸術大学は7年制で、日本の高校3年間と大学4年間を過ごします。基本的にコンテンポラリーダンスをベースとしているので、最上級生ともなると、アクロバティックな動きを取り入れたりして、感動するほどです。ただ、授業で評価されるのは、自分なりのオリジナリティあふれる踊りで、いかに観客にアピールするかがポイント。その表現方法を創作していくのはとても楽しい作業でした。
また、太極拳が大学の正規科目になっていたのは、ちょっと驚きました。週2回、朝7:30〜太極拳の授業があり、その後に一般の科目が始まるのです。それに、バレエの振り付けにも太極拳の動きを取り入れていました。
普段の生活は快適そのもの。住まいは学生寮で4人部屋でしたが、素敵なルームメイトに恵まれ和気あいあいと過ごすことができました。食べ物も全部おいしくて、8キロも太ってしまったんです! これはまずいと後半は自炊して体重をコントロールしました。
帰国後は一般企業への就職を考えて、エントリーシートを書いたり、面接を受けたりしたのですが、ピンとくる企業がなくて悩んでいた時に叔母から「バレエ教室を手伝ってくれないか」と誘われて、岡山に帰りました。
現在は、5歳から68歳のスクール生に教える毎日ですが、ここでも留学経験は生きていて、子供たちから「久美子先生の踊りはおもしろい」と言われることもよくあります。また、イギリスや台湾で様々な人に出会えたため、寛容になったのだと思いますが、子供たちの個性を見つけることがとても楽しいのです。
英語でも中国語でも教えられるという利点もありますが、レッスンを通してグローバルな視点を持ち、世界に羽ばたけるようなダンサーを育成できればいいですね。