グローバル教育センター留学派遣

タンペレ大学
生活科学部人間生活学科発達臨床講座

タンペレ大学の情報を見る

体験記

【タンペレ】
タンペレ大学は、フィンランド第3の都市タンペレ中心部にある大学です。第3の都市と言っても、人口約20万人、日本の大都市圏とくらべると段違いに自然が多く、ゆったりとした印象を受けます。中心部には一本大きなメインストリートがあり、その周囲に大きなデパートや洋品店、バー、クラブなど、買い物をしたり遊びに出かけたりできる場所となっています。が、そのメインストリートに交差して大きな川が流れ、夏には美しい緑の芝生と木々を川べりで楽しむ事が出来ます。中心部から15分ほど歩けば、大きな湖や林など「森と湖の国」という名を裏切らない、素晴しい景色が広がります。治安も非常に良く、鞄をそこらに置いたまま、ちょっとどこかに用を足しに行く事も可能でした。飲酒はかなり盛んで、飲みすぎることに対しても寛容なため、週末の夜遅くには泥酔した人が珍しくなく、一人で中心街を歩かないなど、注意したほうが良いかな、という部分もありましたが、とても住みやすい所だと思います。フィンランド観光の際、日本人なら欠かせないムーミン谷博物館もタンペレ市の図書館の一部に作られています。

【気候】
私が実際にフィンランドに行くまでとても不安に思っていたのは、気候です。真冬には-20度に下がる日も珍しくないという話を聞いて、どんな服を持っていったらいいのか、靴下は毛糸でないと足が凍えるだろうか、などと色々心配していました。ですが、実際住んでしまうと慣れもあるのか、氷点下10度を更に下回る日が続く中外に出るときでも、長時間歩くという場合を除けば、ニット一枚にダウンジャケットを羽織るといった服装で平気でした。ただ、分厚い手袋・帽子・マフラーは必須でしたし、室内はどこも暖房完備でニットを着ていると暑いくらいになっていました。
寒さの方は私が心配していたほどではなかったのですが、太陽のサイクルが日本と違うことが、予想以上に大変でした。夏は日がとても長く、いわゆる白夜で、冬は日が出ている時間がとても短く、ほとんど薄暗いか真っ暗の中生活していました。もちろん両方あわせて一年のうちの数ヶ月のことでしたので、乗り切ることができましたが、日が長い時期は夜なかなか眠くならないのに早朝から明るく、短い時期は一日中頭がぼんやりしている感じで、太陽光の影響の大きさを痛感した体験でした。ですが、暗い冬の間、街はイルミネーションで彩られ、とても素敵です。花、フィンランドの民族叙事詩カレワラの一場面、ムーミンなど、さまざまなものが表現されて飽きることはありませんでした。また、雪が多いのも暗い冬には幸いします。真っ白でさらさらの雪が町を覆うと、雪の反射で暗かったはずの町がほんのりと明るくなるのです。冬の始め頃は、フィンランド人が雪を楽しみに待っているのを不思議に思っていたのですが、冬も終わりかけになるころにはすっかりその感覚が自分のものになっていました。

【大学生活】
私はフィンランド語が出来なかったので、英語で開講されている授業のみが選択の対象でした。タンペレ大学の学部の一つでは、基本的にすべての授業が英語で開講されているので困ることはありませんでしたが、やはり制限されてしまうということになり、残念な思いをしたこともありました。フィンランド語を勉強しようと、大学で留学生むけに開講されているフィンランド語のクラスも取っていましたが、フィンランド語で開講されている授業を取れるレベルまでは、残念ながら到達する事が出来ませんでした。
授業は日本の講義形式と同じようなものから、ゼミのような少人数で話し合いながら勧められるものなどその授業により様々でしたが、雰囲気はお茶大での授業とあまり変わらない印象でした。特殊なものとしては、ブック・イグザムという形式があります。これは通常週に1回か2回ある授業に出席した上で出される課題(レポートやテスト)をクリアし、単位をもらうという形式とは異なり、与えられた課題図書を自分で読みこんで、学期末にある筆記テストを受け、合格すれば単位が取得できるというものです。授業には全く出席しないでよい代わりに、自学する力が問われる形式です。このブック・イグザムと講義+課題の授業を組み合わせて単位を取得したり、ブック・イグザムもしくは講義+課題の授業のみにしたり、自分で好きなように選ぶ事ができます。
もう一つ、私が感銘を受けたものとして、SITRという教育プロジェクトがあります。これはStudying in Tampere Regionの略で、タンペレにある4つの大学が、留学生向けに英語でたくさんの授業を開講し、留学生は在籍大学に関係なく興味のある授業を受けることができるというものです。タンペレ大学ではフィンランド語でしか開講されず諦めなければならなかった分野の授業も、こちらをチェックすると見つかることもしばしばあり、ほぼ毎学期、活用していました。留学生向けということで、フィンランドに関する授業もたくさん開講されており、そちらも普段の生活をより深める事ができ、とても面白いものでした。
生活一般面でも、学生証があれば、大学での食事は2ユーロ~3ユーロ程度でビュッフェ形式のものが食べられますし、交通機関も半額ほどになります。普通のお店でも、学生割引がきく所はとても多いです。教育大国と言われるフィンランドは、留学生にとっても学び、生活するのにとても良い国であると思います。
タンペレにいた頃のことを振り返ってみると、良い思い出ばかりがよみがえってきます。良いところばかりではなく、短所も、と色々書いてみましたが、周りの人にも環境にも恵まれ、最高の一年を過ごさせていただきました。私のフィンランド留学は、お茶の水女子大学の協定校留学という形以外では、実現しなかったと思います。大学、そして私をフィンランドに送り出してくださった全ての方々に、心から感謝します。

Q & A:留学準備

Q留学に先立ち、どの位の期間、どのように語学の勉強をしましたか。結果的にどの程度習得できましたか(もしあれば、取得した級など)
A

英語:TOEFLの点数をあげるための準備として、専用の参考書等を使い、数週間ほど。また外国人の友人を作って英語で話す機会を作るようにしていました。 フィンランド語:中野区にある教会で催されているフィンランド語教室に、月2回ほどのペースで3ヶ月ほど通いました。

Q交換留学の情報をどのように入手しましたか。それは十分なものでしたか。
A

大学のサイトから。もう少し詳しい情報を知ることができていたら、と思います。

Q準備期間にたいへんだったこと、不安に感じたことは何でしたか。
A

実際に留学にいけるかどうか決まるまでの期間がもっとも不安でした。

Qどのようなビザを取得しましたか。また、取得のためにどのような手続きをしましたか。
A

学生ビザ。書類をフィンランド大使館に提出し、審査を受ける。

Qその他渡航に関してどのような手続き。手配をしましたか
A

航空券購入。保険加入。アパート引き払い。

Q & A:生活について

Q住居はどのような形態(寮・アパートなど)でしたか。また、どのように住居を確保しましたか。住み心地はいかがでしたか。
A

交換留学生専用の寮。キッチン・バスルームはフロアで共同、一人部屋か二人部屋のスタイルでした。寮生活が一番楽しかったと言っても過言ではないほど住み心地はよく、楽しかったです。

Q住居費は1ヶ月どのくらいかかりましたか。
A

230ユーロ。

Q生活費は1ヶ月どのくらいかかりましたか。現地の物価は東京に比べてどうでしたか。
A

300~400ユーロほどだったと思います。物価は高いですが、乗り物や大学食堂は学生割引で大変安価で利用できるので、あまり買い物などをしなければさほど困りませんでした。

Q学費や勉学にかかる費用はどのくらいでしたか。
A

フィンランド語学の書籍代とノート代、コピー代くらいのものだったので、一年で100ユーロにも満たなかったのではないでしょうか。

Q現地の気候は一年を通していかがでしたか。
A

夏は明るい時間が、冬は暗い時間が多いので、体が慣れるまでは生活リズムがおかしくなってしまう人が多かったようです。真冬は時に-20度ほどととても寒くなりますが、着込めば平気ですし、家の中はとても快適です。

Q大学近くの街はどのような雰囲気でしたか。
A

メインストリートが一本あり、後はほとんどが住宅街と林と湖です。買い物に行くにも、自然の中にいくにも、徒歩圏内でとても住みやすいところでした。治安も、日本と同じくらいかそれ以上と言ってもいいほど、とても良いです。

Q生活する上で日本から持って行った方が良いものがありましたか。
A

日本食レストランが一軒と小さなすしバーがあるだけで、食材もあまり日本の特別なものは手に入りにくいので、日本食です。

Q病気になったとき、困った時など、どのように対処していましたか。
A

何かに困ったときには、友達に相談しました。病気にはなりませんでしたが、歯が痛くて一度大学にある歯医者へいきました。

Q現地で生活する上で注意した方がよいことはありますか。
A

冬に道が凍ると滑って転ぶ人が続出だったので、靴はしっかりしたものを選ぶといいかもしれません。

Q & A:学業について

Q留学前(ならびに留学中)、現地で語学学習に特化したクラスを受講していましたか。していた場合、クラスの内容・レベルを教えて下さい。
A

フィンランド語。サマースクール(入門レベル)が約1ヶ月と、基礎レベルのコースを2セメスター。

Q英語圏以外の国に留学された方に伺います。英語での授業が行われていた場合、どの授業数・授業内容について教えてください。またそれは全体のどの位の割合でしたか。
A

全体に対する割合は分かりませんが、ISSSという学部は基本的にすべて英語で授業を開講しており、かなりの授業数があったと思います。授業内容は、その授業によりさまざまです。

Q学部または大学院での授業を自由に選択・受講できましたか。できなかった場合、どのような制約がありましたか。
A

フィンランド語での授業は私の語学力が足りないため受講できませんでした。また、臨床心理と教育のコースはフィンランド人もしくは正規のそのコースに所属する学生のみ対象でした。英語の一部専門的なコースも同様か、事前の語学力テストが必要でした。

Q学部または大学院の授業についていくのはたいへんでしたか。
A

授業のレベルによりました。

Q学部または大学院の授業は自分の専門性を高める上で有益でしたか。
A

はい。

Q授業内で現地の学生と親しくなる機会はありましたか。
A

異文化コミュニケーション関係の授業で、少しですがありました。

Q大学内、とくに授業において、交換留学生に求められているもの、あるいは位置づけはどのようなものでしたか。
A

これも授業によると思いますが、自分の考えていること・感じていることを表すことだったと思います。

Qどの部署の方が交換留学生の窓口になってくれましたか。担当者のお名前がわかれば併せて教えて下さい。
A

インターナショナル・オフィス

Qアドバイザー・個人チューターなどのシステムはありましたか。
A

はい。

Q単位互換の手続きについて、注意した方がよいことがあれば教えて下さい。
A

行っていないのでわかりません。

Q & A:学生生活全般

Q留学した大学で与えられた身分は現地学生と比べて扱いに違いや区別がありましたか。
A

Exchange studentという風にいつも登録の際に記入する欄がある以外、特に感じませんでした。

QLanguage Exchangeなど、授業外で現地の学生と触れ合う機会はありましたか。
A

チューターを通じてパーティーに参加したり、何かのきっかけで個人的に仲良くなったり、機会は多いとは言えませんが、積極的に動けばどこかに必ずありました。

Q留学生対象のオリエンテーションやイベントなどが開催されることはありましたか。あった場合、それはどのようなイベントでしたか。
A

大学のシステムやフィンランドについての一般的知識を説明してくださるオリエンテーション・ウィークや、get-together partyなど、いろいろありました。

Q & A:その他

Q交換留学をするために、事前に知っておいた方がよいと思う情報や知識がありますか。あったら自由に書いて下さい。
A

タンペレ大学については、チューター制度がしっかりしており、そのチューターがどの程度力を入れてくれるかにもよりますが、到着日の迎え・部屋の鍵の受け渡し・銀行口座開設の付き添いは、よほどのことがない限りしてもらえると考えていて大丈夫だということ。

Q上に挙げた以外に、交換留学を通して気づいたことなどありましたら自由に書いて下さい。
A

大学が持っている制度はできるだけ使うと、良い経験ができる。