平成20年度 現代GP講義
キャリアプランニングT(行政:堅尾和夫先生)
国家公務員ってどんな仕事?
2008年4月23日(水)、現代GPによるキャリアプランニングT(教育・行政・知的財産・金融・商社)の第二回目の講義(2コマ集中)が行われまし た。今回は本学 特任教授の堅尾和夫先生をお招きし、「国家公務員の仕事」についてお話ししていただきました。堅尾先生は、通商産業省(現 経済産業省)で20年以上勤務された経歴をお持ちです。
<1コマ目>
1コマ目は、国家公務員の仕事の具体例とその魅力について話していただきました。
公務員の種類
公務員は 国家公務員 と 地方公務員 に分けることができ、国家公務員は公務員全体の約20%(93.3万人)を占めています。国家公務員は、大臣、裁判官、国会職員などの 特別職、非現業国家公務員、検察官、現業種職員、独立行政法人職員などの 一般職 に分けられます。
仕事内容
組織としての仕事 I 〜施策の目的・性格から見て〜
- 振興(プロモーション)
- 規制(安全、保安、治安維持、分野調整、不正防止)
- 調整(事業分野参入、撤退)
組織としての仕事 U 〜行政手段から見て〜
-
予算(補助金、委託費、交付金、利子補給金)
- 税制(所得税、法人税)
- 財政投融資(公的資金の投資、融資)
- 機構定員(行政組織の改廃、人員の増員削減)
- 法律(振興、規制、調整する法の制定)
組織としての仕事 V 〜目的、性格と予算の組み合わせ〜
施策の立案から日常業務までの流れ
- 実態調査と説明資料のまとめ
- 企画/立案
- 交渉/説得
- 国会対応
国家公務員の魅力は?
公務員の仕事は、国民全体のため国全体のために行われます。現在、国際化、高度情報化、少子高齢化問題など、対 策の急がれている様々な行政ニーズが生じており、これらの課題に果敢に取り組んでいくことが期待されています。国家公務員は、社会全体のために自分の能力 を生かせるとともに、日本全体を考えるという仕事のスケールの大きさが魅力の一つです。新規採用者の志望動機には 「仕事にやりがいがある」 「公共のために仕事ができる」 などが多くみられます。
自分を磨く場がある
国家公務員には、能力開発の場が提供されています。各府省合同研修、海外の大学院、国内の大学院への派遣研修な ど様々な機会があります。実際の業務においても、様々なセクションへの移動や府省を超えた人事交流、国際機関等への派遣など、様々な機会があります。国際 会議の場では、日本を代表して日本の立場を主張することになります。これらの仕事や経験を通して、自己の専門性を高め、能力を磨くことができるのです。
<2コマ目>
国家公務員になったつもりで施策を立案しよう!(演習)
2コマ目は、実際に解決が急がれている題材を使って、施策立案の演習を行いました。
事例 : |
自動車排ガス規制 |
背景 : |
東京の大気は日本一汚い。健康にも悪影響が出ている。
多くはトラック、バスの排ガスだといわれている。 |
国家公務員のあなたが置かれている状況: |
あなたは自動車排ガス規制担当部署に配属されました。今月中に対策を作ってください。
(実際起こりうる状況です。国会がある、裁判の判決が出た、海外でより厳しい規制が始まった等から対応が迫られます。) |
目的 : |
我が省(選択する)の対策案を作り、関係者間のコンセンサスを形成し、政府として意思決定する。 |
では仕事に取り掛かりましょう!
- どこから情報収集するか?
- 対象は?(what)
- 情報収集のやり方は(how)
- 誰に説明する? 対象は?
- 政府としての意思決定とはどういうこと?
どうすればいい?
今回使用したマトリックス
|
発生源 |
東京全体として何をするのか? |
汚染の状況 |
汚染箇所を改善していくためには? |
悪影響の状況 |
疾病/動植物の死滅に対する補助は? |
現状調査・対策に漏れが無いよう、『 マトリックス 』を用いました。配布された資料を使い、全員で現状調査、それに対する解決案を出し合いました。殆どの学生が初めての取り組みでしたが、マトリックスを使 いながら対策に漏れがないよう、慎重に案を出し合いました。税や法律による規制や燃料の品質改善、交通流の改善、医療費・生活費などの見直しなど、活発な 意見が多く出され、演習は大変有意義なものとなりました。
文責 / 学生記者:薄井加奈
受講者の声
- 省庁は何をしているかよくわからない所だったのが、何となくではあるがやっていることのカタチが見えた。
- 対案を考えるという未知の経験が出来た。相関を考えながら対策を練るのは頭を使った。
- 仕事内容に加え試験の制度などにも触れられていたため、具体的なイメージが湧きやすかった。
- 国家公務員というものが、その単語ではひとくくりにできないほど多様なのだということが理解できた。
また演習形式で国家公務員の仕事を体験してみることで、仕事に必要とされる物事の見方、考え方、進め方を学ぶことができ、これらは多いに役立つものだと感じた。
次回は川本和弥先生をお招きし、『知的財産』について講義していただきます。
お楽しみに。
|