平成20年度 現代GP講義
プレゼンテーション(高比良 美詠子先生)
2008年4月14日(月)より半期にわたり、高比良美詠子先生(講義当時 独立行政法人 メディア教育開発センター 准教授 / 現 中部大学 人文学部 心理学科 准教授)を講師に迎え、プレゼンテーションの講義が行われました。
自身の有り様や意見をより正確に他者へ伝達する行為、『プレゼンテーション』は、面接や交渉・折衝など、就職し、キャリアを重ねていく上で役立つスキルです。同時に、家族や友人と円滑な関係を築くため、日常的に求められるスキルでもあります。この講義では如何に効率的にプレゼンテーションしていくかについて、座学と演習を交えて学んでいきました。
コミュニケーションとプレゼンテーション
人は、集団となって『社会』を構成し、その中で暮らす『社会的動物』であると云われています。社会の中で生きて行く為には、同じ社会を構成する他者とうまくコミュニケーションをとり、社会に適応していく事が重要です。他者との関係がうまくいかない(ディスコミュニケーション)状態に陥ると、心身のバランスを崩したり社会に適応して生きることが難しくなったりすることがあります。それを避ける為には、『コミュニケーション能力』が重要になってくるのです。
コミュニケーション能力とは、相手から発せられる言語的(バーバル:言葉)・非言語的(ノンバーバル:表情や仕草等)記号を解読し、自分の感情や意志を調整した上で適切な行動を用いて相手にプレゼンテーションするサイクルを成り立たせ、お互いの思いを交換・共有を図るソーシャルスキル(社会技能)です。情報を解釈して発信するその課程で、私たちの中に蓄えられている『人間関係の知識』というものが重要になってきます。
ノンバーバルコミュニケーション
「人間関係の知識を身に付けてもらって、より良いコミュニケーションを実行に移してもらえればいいなと思っています」と、高比良先生。その為の手法として、講義内では積極的に演習を行いました。
被験者に気付かれない様に意図的にルール(既有知識)に違いを持たせ、異文化間理解をシミュレートする『BARNGA(バルンガ、バーンガ)』というゲームや、7人が7通りの表情をした画像から感情を読み取る演習。あるいは、名前を伏せた受講生の自己紹介文を配布し、そこから人物像を類推する演習など、受講生は全員参加の講義を数多く経験していきました。特に、異文化理解ゲーム『BARNGA(バルンガ、バーンガ)』では、言語的記号(声や文字)による意思伝達手段を禁じられた状況下で、それぞれ違ったルールで考える者同士の対立や理解、妥協や協調の過程をリアルタイムで体験。それぞれの持っているルールの違いに気付く学生がいる一方、最後まで理解できずにストレスを感じる学生もいるなど、一様に行かない意思疎通の難しさを浮き彫りにする結果となりました。
一連の演習を通し、受講生達は 無意識の内に自分がどれだけ既有の知識やノンバーバルコミュニケーションの影響を受けて判断していたのかに気付き、教室には思い込みへの驚きや 言葉を介さずとも感情が伝わることに感心の声があがりました。
受講生達は、今まで当たり前の様にしてきていたコミュニケーションについて、座学で学び、演習で実感し、その視点を持ってさらに再検討する。そのことにより、様々な視点から今までの自分や相手を見直して、コミュニケーションの取り方をより良い方向へ導く術を身に付けていくことができました。
コミュニケーション能力の向上に向けて
自分の思いを相手に伝える、『プレゼンテーション』するということは相手を理解すると云う事でもあること。それを、知識の取り入れとその実践を素晴らしいバランスで学ぶ事が出来、受講生の学習意欲が刺激される活気あふれた講義となりました。
文責 / 現代GP:三枝博明
受講者の声
- 人間関係における漠然とした困難を、整理された知識体系としてある程度把握できた事は有意義でした。
- 先生が面白くて、実習などもあり、楽しい時間でした。
- 勉強をしているというよりも楽しむ感覚が大きかったので、毎週楽しく過ごすことができました。
- 自分というものを分析するきっかけになったし、また他者とコミュニケーションをとる際の参考になった。
- 表情だけを見て感情を推測する実習や、ノンバーバルの実習など、講義に交えて幾度か実習があったのでとてもわかりやすかった。
- 相手の心理についてよく学べたので、それを踏まえたうえで自分を表現できるようになったと思う。
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