平成20年度 現代GP講義
キャリアプランニングT(金融:中村まゆり先生)
2008年5月14日(水)、21日(水)、28日(水)の三週は、日興アセットマネジメント株式会社 投信営業企画部でご活躍中の中村まゆり先生をお招きし、資産運用会社の業務内容や、資産を運用するということの意義について話していただきました。
日興アセットマネジメントに至るまで
中村先生は証券会社や銀行など数社の金融機関を経て、現在は資産運用会社(日興アセットマネジメント株式会社)に在籍しておられます。講義を始めるにあたり、これまでのキャリアについてお話ししてくださいました。
金融の世界へ 〜 証券会社との出会い 〜
中村先生が金融機関に興味を持つ様になったのは 大学二年生の頃、自分の就職について悩み、様々な職種の会社説明会やフォーラム等に足を運びだした中でのことでした。当時、まだ立ち会い取引で活気に満ち ていた東京証券取引所へ通ううちに、特に証券会社への興味が強まり、20社以上の証券会社を回ることになりました。それも会社訪問ではなく、『顧客』とし て店頭窓口へ行きました。その中で出会った社員の窓口応対の素晴らしさに感銘を受けた1社に、「この会社に入りたい!」 と一念発起。縁あって入社することになりました。
「 『 社員は会社を映す鏡 』 と言うのは本当だなと思いました」 (中村先生)
就職から転職、結婚を経て今へ…
新卒入社した証券会社で金融の世界の奥深さに魅了され、三年後に自らのキャリアアップを求めて“転職”という道 を選びます。外為(がいため)ブローカー、外資系銀行、外資系証券会社と、金融機関を渡り歩きました。それぞれに責任や やりがいを実感できる仕事でしたが、結婚を機に退社。その後、やはり仕事を続けたいとの思いで、資産運用会社である日興アセットマネジメント株式会社へ入 社し、今日に至っています。
金融の世界を渡り歩きながら感じていたのは、日々目まぐるしく変動する相場の魅力と、それを反映した金融商品を顧客へ販売する責任の重さでした。
資産運用とは
「資産運用」 に 「マネープランニング」。多くの学生にとっては聞き慣れない単語で、まだずっと縁の遠い世界だという印象があった様ですが、「普通預金も資産運用なんです」といった、グッと身近な 「お金の話」 から講義は始まりました。
資産運用してますか?
1990年前後のバブル期は今よりもずっと金利が高く、銀行や郵便局にお金を預けてさえおけば、お金が2倍に なっていた頃がありました。それが現在では ほぼ0%金利となり、預けているだけでは増えない時代になっています。そうなると、資産を増やす為には、もっと積極的な運用も視野に入れなくてはならなく なってきています。
資産を入れる3つの『ポケット』
1)貯蓄のポケット(Saving pocket) |
銀行の預金等、元本が保証されている資産を入れておく貯蓄のポケットです。 現金に換金しやすい金融商品もここに入ります。安心、安全で流動性が高く、いざという時にすぐ使える資産を入れておくポケットです。 |
かつての高金利時代は預けておくだけで資産が増えたので、このポケットだけを持っていれば良かった。
ところが今の低金利時代、他にも性質の違うポケットを持つ重要性が増してきています。それが次に挙げるポケットです。
2)資産形成ポケット(Asset building pocket) |
資産形成のポケット。 元本が保証されていなくても、中長期で資産を運用する為のポケットという位置付けです。例えば分散型の投資信託がこれに相当します。 |
3)トレーディングポケット(Trading pocket) |
これは純粋に投資を楽しみたい人向けのポケットです。 危険性も高い為、必ず上の2つのポケットが準備できてから、余裕のある資金を充てます。 |
中村先生の勤務先である日興アセットマネジメント株式会社の主な業務は資産運用。ふたつ目のポケット 『資産形成ポケット』 がこれに相当します。
このタイプの資産運用である 『投資信託』 とは、たくさんの投資家から集めた資金を ひとつの大きな資金(ファンド)にまとめ、知識の豊富な専門家が投資家に代わって 株式や債券などに分散投資するタイプの投資です。比較的少額から投資することができ、投資先を分散することでリスクを低減することが可能です。 そのメリットの一方で、価格や為替、信用情報の変動、流動性等のリスクもあり、元金を割り込むことも覚悟しなくてはなりません。
「投資信託はじっくり付き合うことが必要です。ぜひ一度、証券会社に様子を見に行ってみてください。
たとえすぐに投資しなくても、とても勉強になります」(中村先生)
資産運用の実践
景気は株式、債券などの資産運用にどのような影響を与えるのでしょうか。株価が上がれば債券は下がる、というように株価と債券は反対に動くことが多いで す。株価が上がると金利も上げられる傾向にあり、その結果、債券価格は下がりやすくなる…‥など、資産運用をする際に知っておくべき経済の基礎を解説され ました。
マネープランニングをしてみよう
「自分のこと(お金)は自分で管理することが大事です。何歳で結婚して、何歳で子どもを生んで、何歳で家を買うか等、ライフプランをしっかり立 て、それにはどのくらいお金が必要かマネープランを立てましょう。みなさんまだ就職してないので収入が見えないかもしれませんが、未来の見通しを立てるこ とはとても重要です」(中村先生)
今後の人生にどれくらい費用が発生するかを試算することにより、自分のお金をどのように運用するかも考え、投資信託が身近に感じられるようになるかもしれません。
中村先生のご厚意で、六本木ミッドタウンタワー内にある 日興アセットマネジメント株式会社を実際に案内して戴く機会がありました。広く明るいオフィスでは、資産運用や調査部門の内部業務以外にも、金融商品の販 社へ向けてセミナーを開くなどの対外的な業務も行われています。多機能な会議室に加え茶室まで完備されているというユニークな職場でした。
「仕事はすごく面白いですよ。 飽きないというか、慣れがない。
私も変わるのですけれど、相手も変わります。
金融っていうのはそういう意味で飽きない仕事なのかなと 感じているし、気に入っている仕事です」(中村先生)
文責 / 現代GP:阿部純子
受講者の声
- 実際に働いていらっしゃる先生の姿を見て、就職したらこんな場で働くのかという事を実感した。
- 資産運用について自分のライフプランと関連づけて考えられた。
- お金の計画を立てたことが就職だけでなく人生全体を具体的に考えることにつながった。
- 投資に関する知識も得られてライフマネープランについて考えるよいきっかけになりました。
投資について基礎からよくわかり、それと同時に運用会社で働くことのイメージがわいた3日間でした。
次回は高橋哲夫先生をお招きした、『教育』分野についての講義報告です。
|