平成20年度 現代GP講義
キャリアプランニングT(行政:戸田量紗先生)

2008年6月18日(水)は、文部科学省 大臣官房人事課 計画調整班法規係長の戸田量紗先生をお招きしました。戸田先生はお茶の水女子大学出身で、卒業後は文部科学省に入省し、現在大臣官房人事課で活躍されています。今回は国家公務員を目指したきっかけ、ご本人の仕事観についてなど、これからキャリアを考える学生にとても参考になる話をしていただきました。


私の履歴書 〜 戸田先生の場合 〜

キャリアプランニング - はじめに考えること

将来、何を仕事にするか考えるとき、以下の 3つの自己分析 が必要です。

  働く目的は? 例)やりたいことをやるため 生活の糧を得るため
  いつから働くか? 例)大学(学部)修了後、大学院修了後など
  その他の条件は? 例)給料 環境(働きやすさ) 余暇(ライフ・ワーク・バランス)

「私は、“人々の生活を幸せにする職業”に就くことを一番の目標として、将来を考え始めました。人の役に立っているという実感を、日々の手応えとして欲しかったんです。自分のオリジナリティを持って道を切り開いていくより、与えられた条件で進めていくのが得意なので、国家公務員を目指すことにしました。 行政という言葉のイメージから、女性にも働きやすそうな職場であると思ったのも、興味を持った理由のひとつです。多様な分野がひとつにまとまっている文部科学省を選び、国家公務員試験 I種を受けることになりました。試験は難しいとされていますが、自分のチャレンジ精神を試してみたいという気持ちもありました。」(戸田先生)

公務員試験に挑戦するには、独学で勉強するよりも色々な情報を入手できるという点で、予備校などのサービスを利用するという手もあります。

「そのときの学費は親に借り、就職後、少しずつ返しました。」(戸田先生)

国家公務員、文部科学省に興味がある学生が多数出席していました。先生の、

「国家公務員になりたい人?なんでなりたい?」

の問いかけに

「政策を作る仕事がしたい。社会を変えていきたい」

「将来過ごしていく上で、私だけが過ごしやすい環境ではなく、周りの人も全部含めて幸せにできたらいいな、と幅広く考えて」

「消費者問題、詐欺、健康被害、など国家公務員になって消費者教育をしていきたいです」

などという答えがありました。

国家公務員として働いてみて

求められる資質

行政の仕事は、国民の生活をより豊かにするために、その時勢に応じた政策を作っていくことです。

「国全体がこうやって動いていくんだ、というのが見えてきました。国家の動きがどのように文科省に影響を及ぼすのか、逆に文科省が国家にどのように影響していくのかがだんだんと見えてきて興味深いです」(戸田先生)

日々刻々と変わる制度は、国民生活に大きな影響を与えるので、意欲と責任感を持って国民の皆様に納得してもらえるように正確に伝えていかなければなりません。役所は日々新しいことにさらされているので、柔軟な思考が不可欠です。常に新しい情報をキャッチするアンテナを持ち、その多くの情報に振り回されることなく、ニュートラルな視点で柔軟かつ合理的に取捨選択ができる人材が求められます。また、人の意見を尊重し、かつ自分の意見をきちんと発信できるコミュニケーション能力も持ち合わせている必要があります。

「私は学生のときは発言するタイプの人間ではなかったです。しかし話を聞いているだけでは仕事はできない。何を考えているか、とりあえず情報を発信しないと仕事が進まない。人の意見を聞いて自分の情報を発信できることが大事です」(戸田先生)

文部科学省で働くということ

文部科学省の英語表記はMEXT : Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technologyです。この名前が表すとおり、文化、スポーツ、科学技術といった、身近で幅広い行政分野を担当しています。そのため、さまざまな活躍の場があることが魅力です。

入省後は、この多様な分野の間を2,3年で異動になることがほとんどです。そのため、若いうちはなかなか一人前になれるわけではなく、また異動のたびに勉強することが山積みですが、それだけに、いろいろな分野を経験し、吸収していくことを楽しめる人が向いています。霞ヶ関だけでなく地方、海外、関係機関への出向もあり、常に変化に富んだ環境で仕事ができます。

「私は約2年間、日本学術振興会・サンフランシスコ研究連絡センターに出向して、主に日本人研究者の交流会やシンポジウムを企画していました。やりがいがあり、とてもおもしろかったです」(戸田先生)

また、仕事と家庭の両立のためのサポート体制が充実しているのも魅力です。

「産休を取って復職した女性の先輩が何人かるので、何かあったら相談に乗ってもらえるという安心感があります。仕事はハードですが、辞めようと思ったことはないです。これからはもっとライフ・ワーク・バランスが整っていくと思います」(戸田先生)

先輩・戸田先生に聞く!

学生から戸田先生に活発に質問がされました。
主に公務員受験や学生時代の生活についての質問が多く寄せられました。

学生 「就職活動のとき、民間企業は受けましたか?」

戸田先生 「民間企業を通して世の中を知るために、保険会社1社だけエントリーシートを書きました。 しかし面接などには行きませんでした。 国家公務員T種の他は国家公務員U種、都庁、防衛省の職員も受けました。」

学生「学校の成績は国家公務員試験に関係ありますか?」

戸田先生「関係ないです。試験に受かればいいので、大学の成績は関係ない。 そういう意味でリカバリーが利きますよ」

「自分がやりたいことがあるなら、それを仕事としてイメージしてみてください。学生時代にいろんな経験をしていい女性になってください。特に時間がある学生の内に旅行をしておくことがお薦めです。そして皆さん、是非国家公務員にチャレンジして欲しいです。学生向け説明会も開催しているので、興味ある方は文部科学省を覗いてみてください」(戸田先生)

文部科学省で働くことのイメージがわき、公務員を目指すことを明確に決めている学生だけでなく、漠然と考えている学生にとっても刺激になった授業でした。


文責 / 現代GP:阿部純子

受講者の声

  • 国家公務員として国民に奉仕するお仕事について詳しく知ることができたのでたいへんよかったです。
  • 年も比較的近いので自分のキャリアに関して考える上で刺激を受けた。
  • 仕事をすることの意義、魅力などを感じ取ることが出来ました。