わが国の就学前の教育・保育機関である幼稚園と保育園の関係の見直しを促す声が、この10年余り各方面から聞かれるようになってきました。「幼稚園・保育園の施設の共用化、弾力的な運用」、「預かり保育」、「合築等による幼保の一体的運営」、「総合施設の設置」、「認定 子ども園の創設」等々、これまでの幼稚園と保育園の間にあった垣根を低くしたり、取り払おうとする動きが加速していることは保育関係者なら知らぬ人は無いでしょう。一方、わが国では、第二次世界大戦後一貫して幼稚園は教育機関、保育所は福祉機関としてそれぞれ異なる管轄下におかれ、幼稚園で働くものは教諭、保育所で働くものは保育士という異なる名称が与えられ、異なる教育課程で養成されてきました。
このような状況の下で数々の保育行政の改革がすすむのですから、現代の現職保育者は未知の大地を拓くチャレンジ精神、そして現場の保育を見直し改善の一歩を踏み出す勇気や専門的な力量が強く求められているといえるでしょう。こうした変革の時代には、変えることのできるものと変えることのできないものは何なのかを立ち止まって考え、子どもたちの健やかな成長に役立つ質の高い保育の実現に向けて最新の知見や技術を「学び直す時間」を持つことは非常に大切です。
「チャイルド ケア アンド エデュケーション講座〜子ども幸せ学の探求〜」は、平成17年度からお茶の水女子大学がアップリカ葛西株式会社の資金提供を得て、現職保育者をはじめ乳幼児保育に関心を持つ社会人の『学び直しのニーズ』に応える目的で設置されました。本講座は、「子どもの心身の理解」「育児・保育の理解」「保育教材・環境の理解」を3本柱に、充実した乳幼児期を実現するために役立つ各種の科目を多数用意しています。
子どもたちは、幸せな乳幼児期を過ごしてこそ、創造的で思いやりに充ちた未来社会の一員に育っていきます。本講座は、質の高い保育の実現に向けて努力する現職者のための講座です。ご活用ください。 |