保育臨床演習T |
保育の周辺にあって、保育者が対応に苦労し、その関係の在り方で保育の質が左右される2つの関係−保護者との関係、職場の仲間関係−について検討する。今期は、現代社会において子どもを生み・育てる当事者である保護者が求める養育力について、調査結果から明らかにし、それらをエンパワーするためのさまざまな方法を探っていく。先駆的な取り組みをしている現場の報告を聞く機会も用意する。 |
比較保育学T |
今期は、就学前の子どもたちの発達を見通した一貫したカリキュラムを開発している北欧の国々やドイツの乳幼児保育とわが国の幼保一体的運営施設の実態とを比較検討し、保育と教育を共に大切にする就学前教育・保育の在り方を学習する。特に、フィンランドの幼児保育とドイツの陶冶ネットワークについては、これらに詳しい専門家を加えて討議する機会を用意する予定である。 |
保育実践研究TUVW(大戸担当) |
受講者の現場(保育所や幼稚園)における保育場面を細かに区切り、個々の場面(例えば、朝の遊び場面、午後の遊び場面、食事場面、トイレ使用場面,etc.)での子どもたちや保育者の動きに関する記録を持ち寄り、両施設における子どもの生活の実態と指導の在り方を比較検討する。T/VとU/Wは同時開講であるが、T・Uの履修生については、ドキュメンテイションの作り方の向上が求められ、V・Wの受講生には、各自場面を限定して年齢差や指導形態の違いによる行動の違いを分析・考察して報告書を作成することが求められる。演習を通して保育と教育を上手にブレンドできるハイブリットな保育者の養成がめざされる。各期1回は、特色のある保育現場の見学を行う予定である。施設見学に参加でき、また記録の提供ができる方の履修を望む。
(保育実践研究V、Wは、I、Uを受講していることが前提となる) |
障害児保育教育論T |
近年、幼稚園や保育所において障害を持った子どもと持たない子どもが一緒に活動する、いわゆる統合保育が増加してきている。障害児保育教育論Tでは、聴覚障害や視覚障害といった感覚障害を中心に障害種ごとの特徴を説明する.後半では「障害」の考え方、とらえ方を、これまでの障害児に対する教育実践や障害学の考え方をもとにとらえ直す。とくに、聴覚障害者に対する教育現場での手話使用の歴史や重度重複障害児の教育実践から生まれた「相互輔生(そうごほせい)」という考え方などを取り上げ、ディスカッションを交えながら考えていく。 |
障害児保育教育論U |
近年、幼稚園や保育所において障害を持った子どもと持たない子どもが一緒に活動する、いわゆる統合保育が増加してきている、障害児保育教育論Uでは、特別支援教育をキーワードに授業を進める。前半はこれまでの障害児教育(特殊教育)が歩んできた歴史を説明し、障害児教育が特殊教育から特別支援教育にかわる背景を概観する。後半は特別支援教育の考え方、実際の様子を講義と現場の先生の講演を聞く形で理解を深める。また、受講生各人が関係する自治体で行われている特別支援教育の現状を調査し、発表していただくことも予定している。 |
保育実践研究TUVW(長谷川担当) |
長谷川が担当する保育実践研究では、子どもに対する疑問や保育場面における疑問を、心理学の研究法を拠り所に実験研究や調査研究を行い掘り下げていく。授業はすべてディスカッションを中心としたゼミ形式で行い、必要に応じて講義も行いながら進める。
I/VとU/Wはそれぞれ同時に開講するが、I・Uでは、前半ではその基礎となる心理学の研究法について講義を中心に学び、後半では研究テーマの絞り込みとプランニングを行う。特に後半では、各自が持っている疑問・興味に基づいた研究テーマが見つけられるよう、関連する文献の読みすすめを通して焦点を絞り込み、具体的に心理学の研究法に則った研究として組み立てていくことができるよう指導する。研究プランができ次第、実際の調査・実験に着手し、得られたデータの解析・検討を行う。実験の予行練習や予備実験、予備調査なども必要に応じて行っていく。取り扱うことが可能なテーマとしては、保育場面や子育てに関する質問紙を用いた調査研究や子どもの認知機構を調べるような実験研究、大人を対象にした脳波を用いた脳機能研究などがある。
V・Wでは同時平行で開かれるIの心理学の研究法について確認をしながら、これまで行った研究に関連する文献を検索し読みすすめる。これまでに行った研究を継続してデータ収集・解析も行う。また、後半ではこれまで行ってきた研究を、簡単な論文の形になるようまとめの作業を中心に進めていく。
(保育実践研究V、Wは、I、Uを受講していることが前提となる) |
現代育児論T |
現在ほど育児のあり方が問われた時代はない。少子化による社会全体としての育児経験の減少、男女共同参画のもとでの長時間保育の普及、そして認定子ども園に集約される幼保一元化の動きなど、保育、幼児教育の現場には大きな変動と混乱がもたらされている。また、家庭における育児力の低下に伴い、保育、幼児教育専門家には、地域コミュニティにおける育児支援の役割が期待されるようになってきている。こうした不確実で変動する保育、幼児教育界の中で、オピニオンリーダーとして活躍してきた3人の講師が、乳児発達、育児支援、保育におけるコミュニケーションなどについて鋭く切り込んだ講義を展開する。 |