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お茶大では、現在のトルコ共和国を中心に話されているトルコ語を一年間にわたって基礎から学びます。トルコ語はアラビア語、ペルシア語と並んでイスラーム 世界を代表する言語です。三つの言語はイスラームに根ざした共通の宗教・文化的語彙を持つことで知られますが、文字表記の点でトルコ語には他と大きく異な る特徴があります。それはコーランの言葉であるアラビア文字ではなく、ラテン文字で表記する点で、共和国の理念である世俗主義を反映するかたちとなってい ます。これはすでにラテン文字のアルファベットに親しんだ皆さんにとり福音となるかもしれません。なぜなら、難解なアラビア文字を一から覚えることなく、 イスラーム世界への入り口に立てるからです。また、トルコ語の学びやすさとして、語順が日本語によく似ており、発音が容易なこともあげられます。例えば、 「トルコへ行きます」の「へ」はトルコ語においても「(y) e」という方向格を使います。このようにトルコ語は日本人初学者にとり、親しみやすく、負担を感じさせない言語といえるでしょう。
トルコの人たちは自分たちのことを「テュルク=トルコ人」と呼びます。実はトルコ共和国以外のテュルク諸語(アゼルバイジャン語、トルクメン語、ウズベク 語、キルギス語、カザフ語、ウィグル語)を話す人びとも同じく自らをこう称しています。筆者はかつてイランでアゼリー人とキルギス共和国でキルギス人と偶 然にもトルコ語で会話をする機会がありましたが、この時ほどテュルク諸語と同じルーツを持つトルコ語の効果を肌で感じた経験はありません。トルコ語はカフ カース、イラン、中央アジアに暮らすテュルクを知るうえでも、重要な言語なのです。現在、この地域にはイスタンブル発のトルコ語衛星放送を視聴する多くの 「トルコ」人とそのネットワークが広がりつつあります。
授業では、テキストを使って基礎的文法を学びながら、話す、書く、読む、聞くの総合力をじっくりと養います。その際、テレビ、映画等の映像も利用し、 そこから垣間見えるトルコの日常生活や歴史についてもふれていきたいと思っています。ぜひ、トルコ語であなた独自のグローバルな視点を磨いて下さい。 (文責: 松尾有里子)