研究概要

超少子高齢化への対応は、わが国喫緊の政策課題であり、世界的にも大きな注目を集めています。それを踏まえて本プロジェクトでは、次の2点を目的に研究に取り組みます。
 
1. 人文地理学においてこれまで取り組まれてきた介護や保育、医療、保健、居住等の研究を連携させて、わが国社会保障の今日的政策課題である地域ケアシステム構築のための実証的研究に取り組みます。
2. 第一の取り組みを通して、地理的・空間的視点からの社会保障研究として「社会保障の地理学」を体系化します。
 
この成果をもって隣接諸分野においても注目されている超少子高齢社会を支えるための「地域づくり」にも貢献します。

研究課題

【課題1】地域ケアシステムの実現に関するポテンシャル分析
全国スケールで医療、福祉等の社会資源の分布や事業の実施状況を把握し、地域ケアシステム実現に関する各地域のポテンシャルを明らかにします。そのために、社会保障領域の地理空間情報を集成し、研究基盤を形成した上で、GIS支援による地域分析を行います。

【課題2】地域ケアシステムの特徴と効果を解明する研究
地域特性の異なる複数の事例地域で調査を行い、各地域で取り組まれている地域ケアシステムの特徴とその効果を解明します。急速な高齢化を背景に、高齢者の地域ケアシステムとして地域包括ケアシステム(介護、医療、保健、生活支援、住宅保障の連携体制)の構築が日常生活圏域ごとに課題とされていますが、その考え方は子育て支援や困窮者・障がい者の地域生活支援にも有効と考えます。そこで本研究では、高齢者分野に加えて子育て、生活困窮・障害分野の地域ケアシステムも対象とします。

【課題3】地域人口の動態分析
地域ケアシステムの構築とローカルな人口動態の関係を解明します。地域ごとにどのような地域ケアシステムを構築するのかは、地域の人口特性を前提とする一方、その結果が地域の人口分布や構成に影響を与える可能性があります。このことは、地域ケアシステムが地域にもたらす効果として重要な側面と考えています。

 

問い合わせ先

研究代表者 宮澤 仁
〒112-8610 東京都文京区大塚2-1-1
お茶の水女子大学基幹研究院
E-mail: miyazawa.hitoshiocha.ac.jp