Hirose_portrait

廣瀬史子 Chikako Hirose

宇宙航空研究開発機構
研究開発部門 第一研究ユニット
主任研究開発員
専門:軌道力学、宇宙機システム

1998年 埼玉県立浦和第一女子高等学校 卒業
2002年 お茶の水女子大学理学部物理学科 卒業
2004年 お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士前期課程(理学専攻)修了
2004年 宇宙航空研究開発機構 就職、統合追跡ネットワーク技術部軌道力学チーム配属
2010年 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所配属

 

現在の研究テーマを教えてください

Hirose_lab

宇宙機の軌道解析やシステム検討を行っています。2015年12月に日本初の惑星の衛星となった金星探査機「あかつき」では、2010年12月の最初の金星周回軌道投入の失敗後、再挑戦までの軌道の再設計を行いました。軌道設計が固まった後は、金星周回軌道投入に向けた運用方針の検討や運用リハーサル等をリードし、金星周回軌道投入の成功に向けて全力投球しました。無事に成功した現在、「あかつき」は毎日金星観測を行っているのですが、1時間毎に金星を撮像したり、地球と通信したりという姿勢変更を繰り返しています。私はそのための姿勢計画を立案しています。

いつ頃どのようなきっかけで研究者を目指しましたか?

小学2~3年生の頃、学校の先生から「人が月に行ったことがある」というお話を聞きました。普段見ている月に人が行ったことがあるなんて、それはすごい!と感心し、それ以降、宇宙に対して憧れのようなものを抱きました。高校生1年生の頃、「管制室で働くには大学では何を勉強したら良いですか」という手紙をNASAに送った所、引退されたエンジニアの方から返信がありました。「物理や化学、数学といった基礎的な学問は非常に重要」と書かれていたので、大学では物理学科を目指しました。物理は全ての現象の基礎でもあるので、大学で勉強したことは日々の研究に生かされています。

どんなときに研究者としてのやりがいを感じますか?

宇宙開発はチームで仕事していますので「人から頼りにされる」時にやりがいを感じます。友人がいてからこそ、いつなんどき助けられるか分かりませんし、他の人からの依頼仕事は断らないことを心がけています。自分なんかでも人から頼りにされたり、自分の仕事が少しでも他の人の役に立った時はとても嬉しいです。

後輩たちへの応援メッセージ

大学での勉強は、時に実務とどう繋がっているのか見えにくく、楽しい大学生活の中で疎かにしてしまうことがあるかもしれません。ですが、実は全ての勉強が働いてから役に立ちます。先生が居て、教わることが出来るという環境にいる間に、一生懸命勉学に励んで下さい。働いてから何倍にもなって返って来ます!また、大学時代は、将来自分が何をやりたいかを最終判断する場所でもあります。学校以外の場所もたくさん見て、知って、自分の可能性を最大限見出して下さい。関わってみて初めて、自分がどんなことに興味を持つのか、知らない自分に気付くこともたくさんあります。自分にチャンスを与えるつもりで、多くの事にチャレンジしてみて下さい。