HOME SECとは スタッフ プロジェクト 終了プロジェクト 交通案内・お問合せ

ページの本文です。

平成22年度 東京都北区 理科実技悉皆教員研修【研修内容】

2016年9月9日更新

研修内容

概要

理科授業

理科授業における観察・実験の指導技術の向上を通して、小学校理科教育の活性化を図ることなどを目的に東京都北区小学校全校(38校)の全教員を対象に理科の実技研修を実施した。本研修は今年度が3年目の開催である。本研修は、東京都北区教育委員会の委託を受け、お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンター(センター長・教授:千葉和義)が研修プログラムを開発、実施したもの。同センターの講師陣(貞光 千春、森川 聡 他)が各小学校を訪問し、研修をおこなった。期間は平成22年7月から平成23年1月の約6ヶ月間。研修内容は「植物観察」をテーマに、3~6年生の各学年の教員が現場ですぐに使える内容を豊富に取り入れた。本研修で取り上げた「植物観察」の中身は次の3つ。

[1]校庭の植物探索、[2]植物の詳細観察、[3]植物の植え付け(※1)

※1 :種芋の時期が限られるため7~9月実施の学校のみで実施

1.校庭の植物探索

 植物探索

研修が始まるといきなり、「これから校庭に植物採取に行きます。私の出す条件に合う植物を見つけてきてください。」と講師からお題が出された。条件は (※2)

  • 高さは30cm
  • 花は黄色と白
  • 花びらは5枚
  • 葉がペアでついている(対生)
  • 葉と茎には白い毛が生えている

※2:お題の植物は学校によって異なる

条件を聞いてすぐに「あれじゃないかしら」と見当をつけている教員もいれば、「さっぱりわからないわ・・・」と自信のなさそうな教員もいる。外に出ると、教員達はそれぞれ、校庭、校舎の裏、ビオトープの周りなど様々な場所を歩き周り、お題の植物を探し始めた。「これじゃないかな!黄色の花びら!・・・あっ、でも白い毛は生えてない。残念・・」 「あっ、これだ!全部の条件に当てはまってる!」と植物探しに熱中する先生達の声があちこちから聞こえてくる。又、お題の植物以外で観察してみたい植物も、自由に採取してもらった。15分ほどで植物探しは終了。教室に戻り、講師が正解を発表すると、見事にお題の植物を当てて嬉しそうな教員や「どこにあったの?」と悔しそうに同僚に聞いている教員の姿が見られた。

植物当てゲーム

校庭での植物探しのゲームの授業での狙いは2つ。1つは、子どもたちの意欲を高めること。ただ単に「外で植物を観察しましょう」と子どもに言っても、目標が無い為にすぐに飽きてしまう場合が多い。しかし、こうしたゲーム形式にすることで、目標が定まり意欲を高めることができる。2つ目の狙いは、植物の観察の視点を与えること。「花びらが5枚」や「葉はペアでついている」という条件から、花びらの数や葉のつき方が植物によって異なるということを、ゲームの中で自然な形で子どもたちは学習していくことができる。続いて、教室での植物当てゲームへ移る。今度は講師ではなく、教員自身がお題を作って出題する。大まかな流れは次の通り。

教員各自が植物を1つ選ぶ 植物カード
その植物についてのヒントを
植物カードに文章で書く
他の教員の机に移動
他の教員の書いた植物カードを見て、
その植物を当てる(植物カードの上に置く)

「ヒントは最低10個書いてください」と講師から言われると「えっ、そんなに書けないよ」と言う教員が多かったが配布資料【植物のここに注目】に書かれた植物観察の視点を参考にしながら、ほとんどの方が最終的には10前後のヒントを書いていた。ヒントを書いた後は、他の教員のテーブルに移動し、他の教員の書いたヒントを手がかりに植物を当てる。グループワークで行ったため、同僚と話しながら和気藹々と活動に取り組んでいた。植物探しゲームが終わると、講師から「植物から岩石・昆虫・図形カード(算数)に探すものを変えれば他の単元や教科の授業にも使えます」との説明があり、「なるほど」と納得している教員の姿が見られた。又、4年生の季節と生物について「季節が変わっても同じ場所で観察を続けることで、子どもたちは変化に気付く」と定点観測の重要性を講師が説明した。

2.植物の詳細観察

顕微鏡

倍率20倍の実体顕微鏡を1人1台使って、校庭で教員自身が採取した植物と講師が持参した植物の観察を行った。顕微鏡観察の前に講師から「ただ見るだけではなく、カッターで断面を作って見るなど解剖的に見るのもおススメです」とのアドバイスがあった。実体顕微鏡は、葉の模様の複雑さ、果実のみずみずしさ、花びらの柔らかな質感などを自分が昆虫になったかのような感覚で観察することができる。教員の多くは、これまでに実体顕微鏡で植物観察を行った経験がないため、目の前に広がる世界に、興奮していた。

実体顕微鏡

観察は20分ほどの時間を割いたが、多くの教員から「え~、もっと観察したい」との声が上がっていた。

顕微鏡の自由観察の一番の狙いは、教員に植物を好きになってもらうことである。教員の多くは、植物を含め理科に苦手意識を持っている。顕微鏡で植物の美しさ・奥深さに感動すれば、植物が好きになる。好きになれば、植物についてもっと知りたくなり、知識が増え、結果として苦手意識がなくなる。植物が好きな先生が行う植物の授業は当然面白くなる。今回の研修のアンケートでは、「顕微鏡での観察が一番楽しかった」との声が多く、植物を好きになってもらうという狙いは、成功したと言える。顕微鏡観察の後に、講師から植物に関する豆知識として「キク科の花は、小さな花の集まり(花序)」「単子葉植物の花びらは3の倍数、双子葉は5の倍数の場合が多い」などが紹介されると、教員達は興味深く聞いていた。

3.植物の植え付け

プランター

参加した教員の中から若手の2~3名を選び、ジャガイモをプランターに植えてもらった。ジャガイモは、6年生の単元「植物の養分と水の通り道」で使用される教材であるが、若手の教員の中にはジャガイモなどの植物を大人になってから育てた経験がない方も多い。そうした方に、経験を積んでもらうというのがここでの狙いである。最初に、ジャガイモを各グループに配り、芽が片側に集中していることを確認してもらった。その後、プランターに鉢底石、培養土を入れ、ジャガイモを植えた。植えたジャガイモは学校へ寄付し、植えた教員が育てることになる。また、ジャガイモの知識として次のことを講師が説明した。

  • 食用のジャガイモは(食べるには問題がないが)ウィルスなどの病気に感染している場合があるので、消毒済みの種芋を使うことが望ましい
  • 種芋を分割する場合、切断面は灰につけずに乾燥させる
    (雑菌で腐ってしまう可能性があるため)

↑top

詳細

<講師陣>

お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンターよりメイン講師1名、アシスタント講師1名

<対象>

東京都北区立小学校38校の全教員

<期間>

平成22年7月~平成23年1月

<内容と目標>

内 容 目 標
「校庭の植物探索」 校庭の植物探しとグループで植物を当てるクイズを通して、植物観察の観点を身に付ける。
「植物の詳細観察」 実体顕微鏡での観察を通して、植物の美しさを知るとともに、構造を把握する。。
「植物の植え付け」 ジャガイモをプランターに植える。植えたジャガイモを研修後に育てることで、植物を育てる経験を養う。

<会場に関する注意点>

ほとんどの学校の理科室には冷房がないため、夏季に研修をする場合は、教室や図書室(冷房のある部屋)を学校側に用意していただく。夏以外に実施の場合は、理科室で全ての内容を実施すればよい。

<事前準備>

  1. 会場設置
    • 4人1グループになるよう、机をセットする
    • 会場の前方に机を置き、講師用の道具置き場とする
    • 会場の後方に机を置き、参加者用の道具置き場とする
  2. 資料の準備
    • 配布資料を人数分机上に用意する
    • 通し番号が同じアンケート[1] [2]をセットで参加者に渡す
    • 講師用として、資料一式を講師の机に用意する
  3. 実験道具準備
    • 部屋の端に新聞紙3~4枚を敷き、プランター、鉢底石、培養度、移植ゴテを周囲に置く
    • 講師持参の植物、実体顕微鏡1台を講師用机に置く
    • 実体顕微鏡の電球が点くかを確認し、切れている物は電池交換を行う
    • デジタルカメラをアシスタントが持つ
    • 発泡スチロールを人数分用意し、後方の机に置く
    • デジタルカメラをアシスタントが持つ
    • トレイを"参加人数÷4+1(講師用)"枚用意する
    • 各トレイの中に次の物品を入れておく(1トレイで4人分)
      * ルーペ 4つ
      * セロテープ 2つ
      * カッター 4つ
      * はさみ 4つ
      * チャック付ビニル袋 4つ
      * カッターボード 4つ
      * ピンセット 4つ
    • トレイの下に資料【植物のここに注目】、【植物カード】を人数分置いておく
  4. 学校敷地内の植物把握
    • 研修内でお題とする植物を、敷地内の植物の中から決定する。お題に使った主な植物は ハキダメギクとヨウシュヤマゴボウ。


時間(分) 活 動 備 考
<はじめに(10分)>
5 事前アンケート記入
アンケート用紙を各自記入してもらう
(研修終了後、番号順に回収する)
 
3 あいさつ
  • 講師陣およびお茶大SEC紹介
 
1 理科授業に対する教員の意識調査
植物単元の授業に対する意識を「好き(得意)」「普通」「嫌い(苦手)」の3択で一斉に聞く
 
1 全体趣旨説明
研修の流れを説明
 
<身近な植物の観察および継続観察にかかわる指導と教材・教具の工夫(70分)>
35 【校庭の植物探索】

*****前半:校庭探索*****

  • 学校敷地内で見つけてほしい植物「お題の植物」の特徴を黒板に書いて説明する(下はハキダメギクの例)
    • 高さは30cm
    • 花は黄色と白
    • 花びらは5枚
    • 葉がペアでついている(対生)
    • 葉と茎には白い毛が生えている


  • お題の植物以外にも、最低3種類の植物を採取するように説明する。
  • チャック付ビニル袋、はさみ(又はカッター)、ルーペを持って外にでる。
  • 15分間学校敷地内で、教員に自由に探し回ってもらう。ただし、敷地が広い場合は、探し回る範囲を事前に限定する。
  • 教室に戻り、お題の植物の正解発表。
  • 資料【植物のここに注目】を見ながら、植物観察の観点を説明

****後半:教室での植物探索ゲーム****

  • 1人1つ、自分のテーブル上にある植物から選んでもらう
  • 選んだ植物の特徴を10コ以上【植物カード】に言葉で書く(イラストはダメ) (約5分)
  • 自分のテーブルに戻り、自分の植物カードの上に、自分がヒントを書いた植物が置かれているかを確認。 置かれていれば成功、そうでなければ失敗。
  • 植物以外の題材でも同じゲームができることを説明する(岩石、昆虫など)

*****その他*****

  • 4年生の季節と生物について「季節が変わっても同じ場所で観察を続けることで(定点観測)、子どもたちは変化に気付く」と説明。
  • 夏は日よけの帽子、虫除けスプレーがあった方がよい
  • ヒントを見つける手助けとして資料【植物のここに注目】を使ってもらう
25 【植物の詳細観察】
  • 実体顕微鏡の使い方を説明
  • ただ見るだけではなく、カッターで断面作って見るなど解剖的に見てみることをアドバイスする
  • 豆知識紹介
    • 合弁花と離弁花
    • 単子葉植物は3の倍数の花弁、双子葉は5の倍数
    • ク科の花は、小さな花の集まり(花序)
 
10 【植物の植え付け】
  • ジャガイモを各グループ2~3コ配布
  • 芽を探してもらう
  • 種芋と食用芋の違いを説明(前者は病気にならないように処理されている)
  • 若手で植物が苦手な教員を2~3名選ぶ
  • 選ばれた教員がプランターにジャガイモを植える
 
<ふりかえり(10分)>
5 事後アンケート記入
  • アンケート用紙を各自記入してもらう(研修終了後、番号順に回収する)
 
3 学校配布物説明
  • 「植物検索図鑑」を学校へ提供し、授業等に活用してもらう旨説明する。
 
2 Q&A
  • 参加者からの質問に講師が答える
 



↑top

物品リスト

研修道具には、研修時に使用する実験器具のような「配布しない物品」、学校ごとに配布する「配布物(学校)」、各参加者に配る「配布資料(個人)」の3種類がある。「配布しない物品」は、研修前日までに各学校に確実に搬入できるよう、コンテナA,Bに同数の実験器具を用意し、それらを交互に回す工夫をした。その結果、研修スケジュールが密になった夏休み期間中も滞りなく研修を行うことができた。

配布しないもの(A,Bの2セットあり)

番号 品名 数量 備考
1 鉛筆 10本 筆記用具忘れた教員用
2 ルーペ 12本  
3 セロテープ 12個
 
4 はさみ 12個  
5 カッター 20本  
6 チャック付ビニル袋 400枚  
7 実体顕微鏡 20台  
8 カットボード 20枚  
9 ピンセット 20本  
10 移植ゴテ 3本  
11 新聞紙 2部  
12 単三電池 30本 顕微鏡ライト用



配布しないもの(1セットのみ、講師またはアシスタントが持参・持ち回り)

番号 品名 数量 備考
1 デジタルカメラ 1台  
2 植物 5~8種 研修直前に近隣公園等から採取



配布物(学校)

番号 品名 数量 備考
1 プランター 2~3個 学校規模によって増減あり
2 種芋 2~3個 学校規模によって増減あり
3 培養土 1袋  
4 鉢底石 1袋  
5 植物検索図鑑 5冊  



配布物(個人)

番号 品名 数量 備考
1 平成22年度北区小学校理科実技研修テキスト 1部  
2 植物のここに注目 1部  
3 植物カード 1部  
3 アンケート[1](研修前) 1部 記入後回収
3 アンケート[2](研修後) 1部 記入後回収



↑top

  •  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加