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2022年6月15日更新
私たちの国は四方を海に囲まれています。国土の面積は世界61位ですが、海の広さは世界第6位の規模を誇ります*1)。また、私たち日本国民の約半数は沿岸部に住み、動物性タンパク質の約4割を水産物から摂り、輸出入貨物の99%を海上輸送に頼っています。このように、海は私たちの日々の生活にとって不可欠な存在です。
このことを国民が広く理解するため、平成19年に成立した海洋基本法では、国民に対する海洋教育の実施が定められています。しかしその一方で、海洋教育とは何か、どのように普及推進するか等、詳細はまだ定まっていません。本プログラムは、海洋教育をしっかりと定義づけ、学習指導要領に組み込み、教育現場で広めていくことを狙いとしています。
2021年度からは「海と日本PROJECT」に推進パートナーとして参画し、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくために、様々なイベントや海洋教育授業を実施しています。これまでは主に学校現場が支援の中心でしたが、海に囲まれた国、日本に暮らす私たち一人ひとりが、海を自分ごととしてとらえ、海と人が共生した社会を実現するためには、地域の方々を巻き込んだ取り組みも重要であると考え、これまでの学校現場の支援に加えて、地域企業と連携したイベントや海洋教育授業を企画・実施しています。
詳しくは以下のプロジェクトのHPをご覧ください。
*1) 排他的経済水域の広さ
お茶の水女子大学では、海洋教育カリキュラム開発の一環で、海洋教育の推進に役立つ、指導資料を作成しました。
教科書の中から、海に関連する内容を抽出し、海洋教育として指導するときのポイントを解説しています。
学校での授業は原則的に教科書に沿って行われるものであり、教科書に記載されている海に関する内容は、教員が海洋教育を実践するうえで大切な内容です。そこで、教科書に記載されている内容の中で「海」に関連するものを抽出し、「どのように海に関連するのか」、「どのように海に関連して内容を膨らませることができるか」を注釈した資料が、海洋教育の指導資料として有効だと期待できます。教科書にすでに記載されている内容なので教員にとって実施のハードルは低く、海から離れた地域でも海洋教育が実践できるという意識を持つことにも繋がります。
本指導資料では、抽出した内容が海洋教育の4つの観点のどれに該当するのか示しました。
【海洋教育の4つの観点】
海に親しむ:様々な体験活動を通して、海を体験し、海に親しみ、海に進んで関わろうとする態度を養います。
海を知る:海の自然や資源、人との深い関わりに関心を持ち、進んで調べようとする態度を育成します。
海を守る:海の環境保全に主体的に関わろうとする態度を養います。
海を利用する:水産物や資源、輸送、海を通した人々との結びつきなどを理解し、持続的な利用の大切さを理解します。
小学校編 2014
中学校編 2014
高等学校編 2014
小学校編 2015
中学校編 2015
高等学校編 2015
小学校編 2016
中学校編 2016
中学校・高等学校編 2016
小学校編 2017
中学校編 2017
高等学校編 2017
当センターでは、フィールド体験だけに留まらず、海を考える場を提供することに加え、少子化に伴う余裕教室の有効活用も目指す目的で、「教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます! 展」を開発し、巡回の取り組みを行っています。「教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます! 展」は、身近な水産物をテーマとした、学校の教室1つサイズの巡回展です。本展は2017年11月より、小・中・高等学校や社会教育施設など、これまでに13箇所を巡ってきました。いつもの教室が、突然自分たちだけのミュージアムに変身する驚きや感動の声が、続々と集まっています。
「教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます! 展」は、全国の学校や社会教育施設への貸し出しを行っています。ミュージアムの実施にあたり、展示内容や展示の様子を知りたいという要望に答え、この度、ウェブサイトが完成しました。実施報告等も随時公開しますので、ぜひご活用下さい。
「教室ミュージアム 海のめぐみをいただきます! 展」ウェブサイト https://uminomegumiwoitada.wixsite.com/itadakimasu
北区 海洋教育研究発表会
日時:2018年1月26日(金) 13:40~16:40
会場:北区立王子桜中学校
対象:教育関係者およびお茶の水女子大学の学生
当センターは、東京都北区、渋谷区および千葉県館山市の3自治体を海洋教育モデル実践地域として選定し、小学校、中学校あるいは高等学校を海洋教育モデル校として指定しました。特に2015年度から、東京都北区の東十条小学校、滝野川小学校、王子桜中学校が文部科学省から教育課程特例校として指定されました。同時に北区教育委員会から海洋教育研究指定校の委嘱を受け、これら3校では新設教科『海育科』を設置して海洋教育に取り組んでいます。これらの学校での海洋教育のカリキュラム構築、実践を支援し、海洋教育に必要な海洋資源はお茶の水女子大学が提供しました。また、海洋教育コンテンツはお茶の水女子大学で、またはお茶の水女子大学とモデル校で共同して開発しました。
北区の3校及び当センターによる3年間に渡る海洋教育の研究成果を発表します(詳細は画像をクリック)。研究授業に続き、小・中学校及び当センターの教員が研究成果を発表します。その後には、生物学者・本川達雄先生(東京工業大学名誉教授)による講演会が開催されます。ナマコやウニなど(棘皮動物)の生物学をご専門とし、小・中学校への出前授業も精力的に実施しておられます。光村図書小学校5年『生き物は円柱形』他、多くの小・中・高の国語教科書に文章が掲載されています。
お茶の水女子大学 サイエンス&エデュケーション研究所
里浩彰、榎戸三智子 e-mail:ocha-ocean@cc.ocha.ac.jp
Tel: 03-5978-2085
Fax: 03-5978-5471
» 海洋教育研究発表会案内_180126(PDF形式 804キロバイト)
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