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〜活動内容〜

ONESS
(オネス)とは、Ochanomizu Nutrition Education SHOKUIKU Studyの略で、SHOKUIKUプロジェクトに
関わる学術的研究の総称です。学校給食に関する研究、青少年期における痩せと骨量に関する研究など、
食と健康に関する様々なテーマの研究を実施し、その成果を社会にフィードバックすることを目的としています。



〜ONESSメンバー〜

・山本茂    大学院人間文化創成科学研究科 教授

・曽根博仁  大学院人間文化創成科学研究科 准教授

平田亜古  大学院人間文化創成科学研究科 准教授

赤松利恵  大学院人間文化創成科学研究科 准教授
松島悦子  SHOKUIKUステーション 講師

伊藤友実  SHOKUIKUステーション 助教


〜平成19年度の研究報告〜


「全国の児童生徒の食事および活動に関する調査」
            公衆栄養学研究室(国際栄養学分野) :山本茂、冨金原未奈


 社会の急速な変化により、児童生徒の食生活やライフスタイルも様々な影響を受けている。そのような環境にあり、
学校給食は、望ましい食習慣の形成、不足しやすい栄養素の補足、食文化の維持などにおいて重要な役割を果たして
いる。しかし、子どもたちのエネルギー・栄養素の摂取量、身体活動量などに関する情報は必ずしも十分ではないため
に、学校給食でどのような食事をどの程度提供するべきかについてはさらに検討が必要である。また、食物繊維に関し
ては、必要量に関する情報すらほとんどない状況である。本研究では、学校給食で与えるべきエネルギー・各種栄養素
の量を明らかにするために児童生徒のエネルギーの消費量と摂取量、各種栄養素摂取量などについて明かにすることを
目的とした。
(対象および方法)平成
1979月に全国7都道府県において給食実施校に通う小学校2年生(7~8歳)、5年生(
10~11歳)および中学校2年生(13~14歳)約500名を対象に、学校給食のある3日間について食事調査および活動調査
を実施した。給食については、調査員が対象者の摂食量を計量をした。それ以外の食事(朝食、夕食、おやつ、夜食)
については、すべて調査用紙に記入してもらい、翌日調査員が内容の確認を行った。活動調査(エネルギー消費量調査
)は、独自に開発したタイムスタディ調査用紙を用いて行った。また、排便の状態についてアンケート調査を行い、食
物繊維との関係を調べた。
(結果)エネルギーの摂取量は、年齢があがるにつれて、日本人の食事摂取基準
2005年版よりも低い傾向が見られた。
同様のエネルギー摂取量低下の傾向、特に中学女子は、エネルギー消費量に比べたときも見られた。その傾向は特に女
子で強かった。たんぱく質の摂取不足の者はほとんどいなかった。脂質の摂取量は、ほぼ適切な範囲にあり、女子では
年齢が上がるにつれて低下していった。食物繊維の摂取量は、
10g/1.000kcalという従来の日本人の栄養所要量よりはか
なり少なかったが、ミネラル類では、
CaFeの摂取量が低かった。ビタミン類では、B1の摂取がやや低い以外、ほぼ
充足していた。不足しやすい栄養素に関して学校給食の貢献が大きいことが観察された。
(結論)エネルギーおよび脂肪の摂取量は、高い者もいたが、低い者も多く、特に中学生女子で低い者が多い傾向が見
られた。
CaFeの不足者が多かった。食物繊維については、現在のように低い摂取でも、特に排便には影響は見られ
なかったことから、必要量に関しては今後、さらに検討が必要である。現在の児童生徒の栄養素の摂取は、学校給食に
依存している部分が大きいことが示された。



●「学校給食における食育に活用できる効果的な給食とは」
            調理科学研究室(給食経営管理学分野) :平田亜古



●「青少年期女性のやせの背景に関する検討」
            応用栄養学研究室(生活習慣病医科学分野) :曽根博仁、菅原歩美


 女性の自己の体型に対する不満や、それに基づくいわゆるダイエット行動は、世界的にみられる現象である。日本の
20代女性においても、「健康日本21」や「新フロンティア戦略」などでやせが顕著であるという報告がなされており、
女性の健康上重要な課題となっている。

 中学・高校時代を中心とした思春期に不必要なやせ願望を持つことや、実際にやせてしまうことは、予防すべき国民
健康上の重要課題であると考えられる。本研究では、やせ願望・やせ傾向の原因の探索を目的で、本学
附属中学校・高
等学校と協力しながら、これらの学校の生徒を対象に調査を行っている。


●「子どもに対する母親の食態度の検討」
            公衆栄養学研究室(栄養教育学分野) :三谷規子、赤松利恵

 
 子どもの頃の食習慣は母親の影響を受けている。本研究では、母親が子どもの食事に対してどのような態度を示して
いるか、また子どもの発達段階によって母親の子どもに対する食態度がどのように異なるかを、本学附属幼稚園・小学
校・中学校・高等学校の全保護者合計
1651人を対象としたアンケート調査を実施した。
 その結果、子どもに対する母親の食態度のうち発達段階で違いが見られたものは、食にする制限と話し合いや相談で
あった。発達段階が低いうちは、母親は提供した食事を残さず食べるように促し、また自ら手本になるような食事をし
ている。子どもが中学生・高校生になると、子どもの食べるものを大人が決める割合が減り、特にサプリメントやダイ
エットに関する会話が増えていた。また、保護者は子どもの食事を作ることについて肯定的であるが、自身の外出や仕
事などで時間が無いことや忙しさが手料理を作ることを妨げている可能性が示唆された。



●「母親・父親の調理と家族の共食が中学生の調理参加に与える影響」
            SHOKUIKUステーション :松島悦子

 
 食生活の近代化により、日本人の食事の仕方と消費形態が大きく変化し、家庭における調理の外部化と食事の個人化
・個別化が進行してきた。脂質や塩分の摂食過多に陥りやすい外食・中食への依存や、孤食・個食や欠食の増加、時を
定めぬ食事など「食の乱れ」が誘発され、それらが健康被害をもたらすと指摘されている。こうした問題に対処し解決
を目指す取り組みが食育である。
 食育の中でも、
家族の共食や子どもの調理参加は、普段の家庭生活の中で行われ、子どもの自立につながる重要な領
域である。本研究は家族の食生活に関する親子関係の研究であるが、今後の食育の発展に向けての一助とすることを目
的とし、家族の共食と親の調理状況が子どもの調理参加に与える影響の検討を試みた。具体的には本学附属中学校生徒
400名に対する質問紙調査を実施し、彼女/彼らの目を通して捉えられた家庭の食生活の実態を分析した。
 その結果、母親と父親の調理への積極的な姿勢は、子どもが家族の共食を楽しいと感じる重要な要因であるが、子ど
もの調理参加に対しては、母親ではなく父親の調理への姿勢の如何が影響を与えることがわかった。また、共食の頻度
の高さと、親の調理に対する意識の高さとは関係が薄く、頻度を増やすには食生活だけでなく働き方を含めた生活全体
の見直しや社会の在り方について議論していく必要がある。



●子どもの年代別にみた保護者の食育への意識の違いについて
            SHOKUIKUステーション栄養化学研究室(分子栄養学分野) :伊藤友実


 食育は将来にわたっての子どもの健康において重要であり、家庭の食卓のあり方や保護者の食に対する考え方が、子
どもの食意識の形成に影響を及ぼすことが報告されている。しかしその一方、子どもの食生活の乱れが問題化しており
、また保護者の食育に対する関心が必ずしも高いとはいえないことを示す調査結果も存在する。本研究では、保護者の
食育への関心の変化とその要因を子どもの年代別に明らかにすることを目的とし、本学附属学校園の幼稚園児、小学校
1年生、および中学生の保護者を対象に質問紙による調査を行った。質問内容は回答者自身の食生活、食生活満足度、
子どもの家事参加状況、父親の調理行動や家事参加状況、子どもへの食育意識などである。そして回答者として指定し
た「家の中で主に子どもの食事を作っている方」のうち、母親の結果を集計し、統計処理を行って分析した。



                                             

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