平成18〜20年度「女性研究者支援モデル育成」事業での活動

1)子育て中の女性研究者に対する研究補助者の配置
 小学生以下の子供を持つ女性研究者5名を公募によりモデル研究者として選び、それぞれに研究補助者2名を配置し、子育てと研究を両立させていくために必要な支援の量やあり方についての検証を行いました。モデル研究者の研究活動の維持向上に効果が現れたばかりではなく、モデル研究者と研究補助者の双方に、仕事と家庭の両立状況の改善、研究能力やマネージメント能力の向上が見られました。また、モデル研究者が身近なロールモデルとなり、学部生や大学院生の研究職への意欲と自信を喚起し、進路選択にも影響を与えました。

2)メンター制度の導入
 モデル研究者の研究の深化と発展のため、さらに、子育て期間中に遭遇する仕事上、生活上のさまざまな問題に関する助言の必要性を考え、「メンター制度」を導入しました。
 学長を始めとし、COSMOS推進室の特任教授、各学部長、いずみナーサリー施設長等、役員、部局長クラスの教員のほか、研究者の研究領域に近いベテラン研究者をメンターとして、随時、研究上、生活上の相談に応じました。
 メンター制度の活用は、全学的にも進展しつつあります。

3)「9時−5時体制」の徹底化
 本学では、定時になったら心おきなく帰宅できる職場環境を「9時-5時体制」と象徴的に呼び、学長のリーダーシップのもと、教職員の意識改革と、業務の効率化、合理化を進めてきました。
 勤務時間の短縮は、教育研究機関としての性質と、現在の大学をめぐる状況を見れば、きわめて困難な課題ではありましたが、学長のリーダーシップとCOSMOS推進室を中心とした教職員の粘り強い活動の結果、心おきなく定時に帰宅できる者の比率が大きく増加しました。

4)学内保育所の充実と隣接する独身寮の整備
① 学内保育施設「いずみナーサリー」の改善
 平成15年 4月より、定時(8:30〜17:30)以外の保育(「いずみナーサリー」の施設は利用しない)を行う「保育お姉さん」のボランティアを募って保護者に紹介をするサービスを提供しました。「保育お姉さん」は「いずみナーサリー」でのボランティア経験があり、保育に高い関心を持つ学生で構成されます。
 また、平成20年度より、保育体制強化のため、主任保育士を配置しました。

② 「いずみナーサリー」に隣接する宿泊施設「大塚宿舎」の整備
 キャンパス隣接の独身寮「大塚宿舎」のうちの3室に、補助便座、ベビーベッド、厨房器具、遊具等を整備して、子ども連れの宿泊が可能となるようにしました(平成19年4月より)。
 Web上に案内を出したり、チラシを配って周知活動を行った結果、利用者が激増し、20年度の利用は延べ706泊(長期利用を含む)となりました。利用者からの好評の声もあがっています。

5)女性研究者支援「情報バンク」の設置
 女性研究者が育児をしながら研究活動を継続していくために支援となる情報を、収集・蓄積し、「情報バンク」として社会に広く発信できるよう整備しました。また、情報バンク専用のサーバを用意し、人材バンク、子育てを中心とした情報、次世代啓発のためのロールモデル情報などを蓄積して、HP上に掲載して提供しました。情報を学内に限定せず、社会に向けて発信し、長期的視点に立った、広範囲で活用できる情報支援システムとして整備しました。

6)ロールモデルによる理工農系を目指す若い女性研究者の啓発及び活動のDVD化
① 啓発活動
 理工農系を目指す女性を研究の道へと誘うために、啓発活動を行いました。
 育児をはじめとする様々なライフイベントを経験し、困難を乗り越えて、研究を継続して行ってきた優れた先輩研究者たちを招き、そのノウハウや自身の学問に関する公開講演会や交流会などを実施しました。また、米国NSF(National Science Foundation)の女性研究者(5名)と、本学の若手女性研究者、女性支援に携わるメンバーとが一堂に会し、女性研究者それぞれの現在の状況や今後の国際的相互協力について意見交換・交流を行う機会ももちました。
(詳細は過去のイベント情報を参照のこと)

② ロール・モデル取材とDVD作成
 5名のモデル研究者をロールモデルとして、研究に、指導にと取り組んでいる様子、日常生活の母としての様子、学会や講演の様子などを取材するとともに、インタビューにより、各人の経験談や問題点、導き出されたノウハウなどを収集し、1枚のDVDを作成しました。女性研究者たちが実際に研究と家庭を両立させている姿を目にすることで、理工農系を目指す少女達に勇気と関心を与え、研究の道へと導くための啓発効果となることを期待しています。
 DVDは国際的な発信も視野にいれ、バイリンガル版として制作しました。

7)女性研究者支援と意識改革の試みの有効性と実行可能性検証と他探究機関への波及
 本学では、学長の強いリーダーシップのもと、女性研究者を支援し、活躍を促進するための「システム改革」を行いました。また、学内における子育て中の理系女性研究者5名に対して、本学独自の研究教育支援、育児支援、情報支援を中心とした「支援メニュー」を3年間提供し、仕事と家庭の両立状況や研究成果への影響について検討しました。これらの取組の有効性と実行可能性、及び意識変化について以下の検証を行いました。

①全学的なシステム改革の状況の検証
・教職員を対象とした全学アンケート調査の実施
・モデル研究者を対象としたヒアリング
・メンターを対象としたヒアリング
・AA・RF・モデル研究者の活動報告会の開催
・各研究グループの月次報告書のとりまとめ
・大塚宿舎の利用状況の把握
・モデル研究者の論文数、学会発表数、外部資金申請・獲得数の調査

②COSMOS推進室内、及び学内事務部門との連絡、情報の共有
・打合せ会の実施(毎週月曜日午前中 通算84回開催)
・学内事務部門との連絡会の実施(毎月月末の月曜日午前中 通算29回開催)

 本事業の検証結果をもとに、女性研究者に適合した雇用環境を構築するために必要な取組を整理し、女性研究者支援を行う際のよき指標となる「お茶大インデックス」を作成・公表して他機関への発信を試みました。あわせて、女性研究者を支援する体制を整備するための手引き書「COSMOS Work Book」を発行しました。
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