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functional GPAについて

2024年5月7日更新

本学では学士課程および大学院博士課程の全学生のみなさんの学修成果を厳格・厳正に評価し、それを的確にあらわす成績指標としてGPA(Grade Point Average)を用いています。
ただし、一般によく用いられているGPA指標はS,A,B,C,Dのレターグレードを4,3,2,1,0のような数値に置き換えています。そのため、レターグレード評価のもとになっている原成績の細かな差異が丸められて消えてしまいます。そのため、たとえばGPAの順位が原成績の順位と違ってしまうという不都合が発生します。

そこで本学では、そうした不都合が起きないよう、原成績を線形に変換して直接グレードポイントを算定するファンクショナルGPAの算法によりGPA指標を定めています。
これにより、学生のみなさんの学修成果のチェック、それをもとにした学修計画の立案はもとより、奨学金貸与や報奨などさまざまな選抜機会にも安心してGPA指標を利用することができています。

  1. functionalGPAとは
  2. GPA制度における留意点
  3. 履修取消手続きについて
  4. functional GPA算定の例示

1.functional GPAとは

原成績からファンクショナル・グレード・ポイントへの変換

各授業科目において定められるグレード評価(S、A、B……)の背後にはその等級分けの根拠になっている原成績の素点があります。これは科目によって100点満点であったり、5点満点であったり、990点満点であったり、さまざまです。
各授業科目でどのような幅の評価尺度を用いているにせよ、それぞれに満点と合格最低点(最低到達目標点)を決めています。そこで本学のGPA制度では、これをわかりやすく100点満点、合格最低点60点という日本の多くの大学で成績評定に用いている標準的な評定尺度に一次変換したのち、その評点をつぎの式で再び一次変換した値を各科目のグレードポイント(GP)としています。このGPをファンクショナル・グレード・ポイントと呼びますが、以下では単にGPと記します。
GP = ( 100点満点の[or に変換した]成績素点 - 55 ) / 10 ……(1)
(ただしGP < 0.5はGP=0.0とする)
GPAは履修した各科目のGPに、その授業科目の単位数を乗じた値の合計値を履修総単位数で除した値になります。すなわち、
GPA =(GP × 当該科目の単位数)の総和 / 履修総単位数 ……(2)
科目によっては素点評価ではなく、レターグレードのみで評定する場合もあります。その場合は次のルールによって素点におきかえ、そののち上の(1)(2)の手順でGPとGPAを算定します。
S = 95、A = 85、B = 75、C = 65、D = 55(不合格)
大学院でのレターグレードにはSがありませんので、次のルールになります。
A = 90、B = 75、C = 65、D = 55(不合格)

上記(1)の式を使ってGPを求めるのは、なぜか

最も重要な点です。成績のグレード評価は一定の点数区間(「級(クラス)」)を表すもので「点」ではありません。この区間に数値を当てることで点とみなし、単位数をかけたり、合計して割ったりすると、獲得した原成績の評定は上がったり、下がったり変動してしまいます。
簡単にいえば、各グレードの区間内で高い点をとった人ほど点数が下がり、低い点をとった人ほど点数が上がります。異なるグレード間の境界付近で事実としてあった近い関係は、隔たった関係に変化してしまいます。また、最も高いグレードではパーフェクトなパフォーマンスに意味がなくなり、たとえば90点をとれば100点をとったことと同等になってしまいます。こうした偶然性に満ちた得失によって累積するGPAの成績順位は予測不能なかたちで原成績の構造を乱します。

これではせっかく厳格、厳正な成績評価という方針(この方針は20年ほど前の大学審議会のもとで提起され、その後の中教審答申でも繰り返し大学の課題とされています)のもとでGPA制度を取り入れても、かえって信頼性のない成績を出すことになってしまいます。何より学生のみなさんの学修に対する意欲を損なうことになってしまうでしょう。

そこで本学では先の(1)式を用いて原成績素点を一次変換することで、みなさんが獲得した実際の成績をリニアにグレードポイントに置き換え、しかも従前からのGPAの全体体系に適った値(すなわち他大学で算定されているGPAの値と十分に互換性がとれている値)を出す方法を採りました。これにより、GPAにもとづく成績順位は原成績での順位と完全に一致し、GPAを指標にしてこれをさまざまに活用していくことが可能になります。これを「十全に機能できるGPA」という意味で、functional GPA(略記 fGPA)と呼びます。

strict GPAとgeneral GPA

2gpa

上記(1)式で算定する functional GPAは、より適切にはfunctional strict GPAと呼びます。
すでに述べたように、このf-strict GPAは現在、多くの大学で採用されているGPAと実用上、十分な互換性をもっていることが検証済みです。しかし、その最高点をみると、とくに米国とわが国の多くの大学においてはGPA4.0であるのに対して、strict GPAでは最高点が4.5になります。これを(実際にはそうではないのですが)かさ上げのように受け取られる懸念があります。そこで他ケースとの通用性に鑑みて対外的に用いるGPAとしてはstrict GPが4.0以上の値を一律4.0にしたfunctional general GPAと呼ぶ指標も併用し、成績表や成績証明にはその趣旨説明とともに両GPAを併記しています。同時にf-general GPAでは1.0未満0.5以上の値も通用性の点で一律1.0にしています。
むろん、このf-general GPAについても4.0未満、1.0よりも大きい値については原成績を忠実に反映した値になっています。学内でGPAを指標にして種々の用途に機能させる場合はstrict GPAを用います。→fGPAの算定例示

2.GPA制度における留意点

GPA制度下における留意点は以上の説明からおわかりのことと思いますが、学生のみなさんはあらためてつぎの3点に十分気をつけてください。

(1) 必要以上に多くの授業科目を履修しない
成績が不合格になり、単位が取得できないとGP=0で、しかもその授業科目の単位数がGPA算定の分母に組み込まれます。結果、GPAの値は大きな損失を負います。したがって、必要以上に多くの履修をして全体の学修、ひいては全体の成績に悪影響を及ぼす確率を高めるような履修の仕方は控えたほうが賢明です。

(2) 履修取消制度に頼らないようにする
このサイトで説明してあるように、履修登録後、「履修取消手続き」をとることにより、科目履修を取り消すことができます。しかし、これは「どうしても履修を維持することが困難」と判断された場合の手段と考えてください。この制度を前提にした履修をすることは避けて、履修登録の際にしっかりとした履修計画を立てることが賢明です。

(3) GPAは今後、いろいろな場面で参照利用されていくことになる
修学期間中に、GPAスコアは表彰や奨学金の貸与資格、各種学内選考の際の指標や条件、科目の履修にあたっての条件などに利用されていきます。また、転学や大学院受験、留学、あるいは就職の際に相手先からGPAスコアが求められることも多くなってきました。また卒業した後も、人生の折々に大学時代のGPAの値が問われる場面もでてくる可能性があります。したがって、先々のことを考慮しつつ、よい学修成果をあげることに留意することが、今まで以上にたいせつになりそうです。

なお、他大学からの編入学や過去に他大学で取得した既修得単位に対する単位認定評価や単位互換で相手先大学から単位認定だけなされた科目はGPA算定には含まれません。

3.履修取消手続きについて

履修取消手続きとは,一旦履修登録した科目を履修期間中の決められた期間(以下参照)にWebシステムを介して学生のみなさんがみずから処理手続きをすることによって、履修を取り消せる制度のことです。
履修登録をして授業に出たものの,授業の内容が自分が学びたい内容と違っていたとか,授業に十分ついていくことができないとか、単位取得に必要とされる授業時間外の学修が適切にできない、などといったことが起きないとはかぎりません。そうしたケースに対処するため、曖昧に履修をつづけることはせず、定められた期間内に履修を取り消すことができます。

注意点
  • この手続きをせず自ら履修を放棄した場合(成績判定のための試験を受けなかったり課題を提出しなかったりした場合)は、科目の成績は不合格、D評価(GP=0)になります。GPAの値に影響が及びますので十分注意してください。
  • 履修取消手続き期間外には履修の取消をすることはできません。
  • 一度履修取消をした科目は、その学期中に履修を復活することはできません。
  • 当然のことですが履修取消手続き期間は、各学期はじめの履修登録期間とは異なります。ですから、履修取消期間に新たな履修登録をすることはできません。

【履修取消手続きの期間】
成績通知及び履修登録・取消日程についてのお知らせページで確認するか、学務窓口で確かめてください。

【履修取消手続きをおこなう場所】
学内のLANを介して学生自身で手続きをおこないます。

【その他】
通年科目については前期および後期、どちらの所定期間でも取消できます。集中授業は履修取消ができません。

4.functional GPA算定の例示

ここでは数科目の例を使って、グレードポイントとそのアベレージがどのように求められるのかを示します。話を簡単にするために、5科目17単位分の例でGPA算定の実際をシミュレートします。

1 2 3 4 5 6 7 8
科目名 単位数 成績評点 LG f-strict GP f-strict GP
×単位数
f-general GP f-general GP
×単位数
地学概論 2 84 A 2.90 5.80 2.90 5.80
地学 2 98 S 4.30 8.60 4.00 8.00
地学演習 4 50 D 0.00 0.00 0.00 0.00
地学実験 1 66 C 1.10 1.10 1.10 1.10
卒業研究 8 70 B 1.50 12.00 1.50 12.00
17 27.50 26.90

5と7カラム目のGP(グレードポイント)は次式で求めます。成績評点は100点満点です。したがって、科目によっては小数点以下の値をもった評価もありえます。
GP = ( 成績評点 - 55 ) / 10
(ただしGP < 0.5はGP=0.0とする)

最後に、
GPA = Σ(GP × 当該科目の単位数) / 履修総単位数
ですので、上例では、
f-strict GPA = 27.50 / 17 = 1.617
f-general GPA = 26.90 / 17 = 1.582
となります。

・上例の成果は段階評定でいえば、良のゾーンの下限近くに相当します。
・上例では地学演習(通年4単位)で不合格点をとっているため、GPが0となり、しかも単位数が相対的に大きかった科目であるため、GPAが大きく損失しています。仮に、この科目で80点をとっていれば、f-strict GPAは2.205でした。
・ちなみに、よく学ばれて各授業科目で比較的よい成績をとった例もシミュレーションしておきましょう。

科目名 単位数 成績評点 LG f-strict GP f-strict GP
×単位数
f-general GP f-general GP
×単位数
地学概論 2 84 A 2.90 5.80 2.90 5.80
地学 2 98 S 4.30 8.60 4.00 8.00
地学演習 4 80 A 2.50 10.00 2.50 10.00
地学実験 1 90 S 3.50 3.50 3.50 3.50
卒業研究 8 85 A 3.00 24.00 3.00 24.00
17 51.90 51.60

f-strict GPA = 51.90 / 17 = 3.052
f-general GPA = 51.60 / 17 = 3.035

米国の損保会社にはGPAが3.0以上の成績をもつ学生の自動車保険料を25%割引にするなどの特典を設定しているところがあります。この値がもつ社会的信用価値の一面をあらわしています。

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