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JICA中西部アフリカ幼児教育研修の実施

2012年10月19日更新

お茶の水女子大学は、独立行政法人国際協力機構(JICA)の委託を受け、中西部アフリカのブルキナファソ、カメルーン、ガボン、ニジェール、セネガルから10名の研修員を受け入れ、2012年9月24日から10月19日まで幼児教育に関する研修を実施しました。10名の研修員はいずれも各国の幼児支援分野における行政官や視学官、教員養成校教員など、指導的な立場の方々です。この研修は、中西部アフリカの仏語圏諸国を対象としてお茶の水女子大学が実施してきたもので、今年で7年目になります。

サハラ以南アフリカにおいては、5歳未満児の死亡率や栄養失調・疾病患率が非常に高く、早急に解決すべき問題となっています。国際社会においても、近年では、乳幼児期からの保護と教育を一体化させた総合的アプローチの重要性が認識され、幼児教育分野での途上国に対する支援体制が強化されてきました。しかし、サハラ以南アフリカでは、乳幼児の保護や教育に関する専門的人材は不足しているのが現状です。予算不足や幼児教育の重要性に関する社会的認知度の低さから、人生の土台を形成する重要な時期における適切な保育や教育がまだ十分に普及していません。また、幼児教育事業に関わる省庁が複数に渡るため、事業のオーバーラップや意識統一の困難等を招いている事例も報告されています。アフリカ全体の幼児教育の普及率は17%と低く留まり、国間や地域間の格差も問題となっています。

そこでこの研修では、アフリカ地域の人材育成に資するべく、日本の幼児教育や保育、幼児に対する支援について、その制度・政策、保育内容・保育方法、人材育成、評価などに関して、講義や視察、ワークショップを実施しました。これらを通じて幼児支援に関する研修員の知識や技能を向上させることを目標にしました。研修後のアンケートでは、研修で掲げた6つの単元目標(①所属組織での問題点の発見・整理、②ECD[Early Childhood Development]の概念・内容・動向、③幼児教育における格差問題とその是正策、④子どもの発達に応じた適切な保育内容・保育方法・教材作成、⑤教員養成・研修のシステム、⑥幼児教育における評価)についていずれも高い達成度が示され、満足度も高くたいへん好評でした。特に、日本では遊びを通した子ども中心の保育が、子どもの発達の個人差に配慮しながらなされており、おもちゃや掲示物も身の回りにあるものを工夫した保育者の手作りが多く、温かで心地の良い保育環境が整備されていることに感嘆の声が多くあげられました。また養成課程と現職研修を通して、教員の継続的な職能開発が仕組まれていることも着目され、幼児教育の評価の重要性も再認識されました。研修員達は研修最終日に発表したアクションプランに基づき、帰国後は、日本での研修の成果を自国で活用していくことになります。

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