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野々山基金によるアフガニスタン研修員との懇談会「アフガニスタン女子教育の現状」開催

2013年1月25日更新

2名のアフガニスタン女性大学教員が短期研修のために2013年1月21日から2月1日までお茶の水女子大学に滞在しました。お二人は過去に国費留学生として本学に留学し、修士号を得、現在はアフガニスタンの大学で薬学部講師として活躍されています。この研修は、本学卒業生の故野々山惠美子様からの遺贈を受けて2012年に設立された「アフガニスタン・開発途上国女子教育支援事業野々山基金」の支援を受けて実施され、研修生の2人は理学部森准教授の下で熱心に実験に取り組みました。

滞在中の1月25日には大学内外からの参加者を迎えた「アフガニスタン女子教育の現状」と題する懇談会で発表を行いました。

最初に研修生から、タリバン政権後の女子教育の現状について、主に中等教育に焦点を当てた発表がなされました。2012年の統計では、アフガニスタンには1万4千校に810万人の生徒が在籍し、その内38%が女子生徒です。近年、政府は女子教育の推進を打ち出し、その一環として、保護者に対して女子が教育を受けることの重要性や、早期に結婚を強いることの弊害を広報し、女子の教育機会を保障する働きかけを行っています。しかし、通学距離の遠さや、治安状況の悪さ、女子教員の不足、男女共学への抵抗感など、女子への教育普及を阻む要因は多く、その実現は容易ではありません。調査では、50.8%の両親が娘の大学進学を望み、71.9%の女子が勉強を続けることを希望しています。研修員は、「家族の支えがあったこと」、「教育の比較的整った都市部に生まれたこと」を自身が学業を修めることができた要因として挙げました。

次の研修生による高等教育段階での女子教育についての発表では、医療分野、特に薬学の分野における女性の活躍について印象的な報告がされました。アフガニスタンにはカブールにある4つの大学の他、8つの大学が他の地域に存在します。カブール大学はその中で、最も伝統のある大学で、2012年現在の統計では、760人の教員のうち138人が女性、17,000人の学生のうち6,500人が女性となっています。徐々に、女子学生の近年比率は伸び続けており、薬学部の卒業生が保健施設や研究所で活躍する例など、職業を持ち社会で活躍する女性の姿についても報告がされました。

在日アフガニスタン大使館の書記官からは、教育の地域間格差や治安も含めたアフガニスタンにおける厳しい現状について補足説明がされ、更なる国際的な支援への訴えと、お茶の水女子大学における女子教員研修に対する感謝の意が述べられました。

  • photo2セミナーの様子
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