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大学間連携イベント「平和構築とジェンダー」に参加して

2014年6月28日更新

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講師のJCCP石井由希子氏

グローバル協力センター主催の大学間連携イベント「平和構築とジェンダー」が2014年6月28日(土曜日)午後行われ、それに参加しました。アフリカの事例紹介を通じて紛争下におけるジェンダーに基づく暴力の実態について知識を深めることを目的に実施されたイベントです。認定NPO法人 日本紛争予防センター(JCCP: Japan Center for Conflict Prevention)事務局長の石井氏とケニア事業担当の笹生氏による講義と、様々な大学から集まった27名の参加者のグループワークで構成されました。

まず、アイスブレークのための他己紹介タイムがあり、講義が始まりました。「アフリカの諺からみえてくるジェンダー」では、ガーナやソマリアの諺から、時代によって移り変わってきたジェンダー規範について学びました。今年になって成立したウガンダの同性愛禁止法やケニアの一夫多妻制法など、法制度を中心とした最新の時事にも触れられました。

続いて「平和構築とは何か?」では「平和」「紛争」「平和構築」の概念を踏まえた上で、具体的事例が映像で紹介されました。JCCPが2007年のケニア選挙後暴動後にナイロビのスラム、マザレ地区で行った平和構築を目指した心のケアプログラムです。

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グループワークの様子

グループワークでは紛争下のジェンダーに基づく暴力について、グループで話し合う機会が設けられました。紛争下で、ある女性がジェンダーに基づく暴力(GBV: Gender Based-Violence)を受けた場合について考え、GBVの5つの類型と問題への対処方法を学びました。昨今の紛争ではGBVがコミュニティを破壊する軍事戦略、戦争の武器として用いられていることも指摘され、ジェンダーと軍事化の関わりについても考えさせられました。

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会場の様子

さらに特筆すべきことは、続いて紹介されたGBVの男性被害者の事例です。多くのアフリカ社会では同性愛の問題がタブー視され、被害者も同一視されてしまうため、自身の経験について語ることを拒否するケースが多いそうです。男性被害者特有の苦しみが存在し、沈黙により問題が注目されない状況への危機感を共有しました。

最後にソマリアのプントランドの国内避難民キャンプにおけるGBV被害者支援についての講義がありました。当該地域の宗教、慣習にも沿った、実際的な支援の戦略を垣間見ることができました。
終始活発に意見交換がなされ、平和構築とジェンダーを勉強し始めた人にとっては関心をさらに深める機会となったでしょう。すでに研究を深めている人にとっても、現場の取り組みとJCCPの職員さんたちの想いを知る貴重な時間になったと思います。

(人間文化創成科学研究科 博士前期課程2年 中村 千鶴)

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