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学内講演会「ネパール大震災後の子ども支援活動」報告

2016年1月14日更新

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TEHが教育支援の一環として
鞄を手渡している様子

2015年4月25日に発生したネパール大地震から約9か月となる。震災による物理的・精神的な被害は大きく、子供たちが教育にアクセスしづらい環境は依然としてある。そのような状況に心を痛めた本学大学院博士後期課程(人間発達科学専攻)留学生のディヌ・バズラチャルヤさん(ネパール出身)は、同じく日本に留学中の夫ジオクさんとともに震災で被害を受けた子供たちの教育を支援する団体「Transparent Edu Hands Foundation」(TEH・手)を立ち上げた。2016年1月14日にグローバル協力センターで開催された講演会では、TEHが行う現地での支援活動や子供たちの状況についてお話を伺った。

ネパール大地震後、各国から義援金が寄せられたものの、教育分野は支援対象として後回しにされるという現状があり、経済的な理由等で子供たちが学校を中退するリスクは高くなった。そこで、TEHは、公立小中学校やコミュニティ小中学校において、特に中退率の増加が懸念される学年の子供たちを対象として学用品や教育費の援助、さらにはアートコンペティションを行い、物的・金銭的・精神的側面から教育支援を実施するに至った。

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講義の様子

地震の発生から時間が経つにつれ、周囲の反応から日本では支援に対する意識の低下を感じるという。しかし、寄付の減少を理由に、里親による現地の子供たちの教育支援を縮小させるわけにはいかない。そこで、持続的な支援を可能にするため、TEHでは寄付金をネパールの銀行に預け、発生する10%程の利子を子供たちが学期ごとに受ける試験の受験料等に充て、今後5年間支援を継続していく予定であるという。
今後は、子供たちが学校に通いやすくなるような支援も計画している。現地では、寒さゆえに学校へ行くことをためらってしまう子供が多いため、防寒用のセーターと靴の配布を検討している。また、これまでの支援経験からペンや鞄といった新しい学用品は学びへのモチベーションを高めるという。いずれも、ネパールにおける経済活動の活性化にもメリットとなるよう、日本で15~16万円程度の資金を集め、現地で購入したいという。

現地では、7,000円で地震によって親を失った子供に1年間の教育機会を確保することができるそうだ。1日に換算して20円、月に580円である。この額をどうとらえるかは人それぞれだろう。しかし、毎日コツコツ、あるいは仲間に呼びかけて少しずつ出し合う、そんな小さな積み重ねは、大学生にも、協力の輪を広げやすい大学生だからこそできることの一つかもしれない。

各国からの支援者、そして里親と子供たちの橋渡しとなりたい。ディヌさんのお話からはそういったTEHの強い使命感を受けとめた。

(文教育学部言語文化学科グローバル文化学環3年 内山 みどり)

※TEHの活動については、こちらをご覧ください。

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