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学内公開講座「AAR Japan のカンボジアでの支援活動」報告

2016年7月12日更新

2016年7月12日(火曜日)、AAR Japan 東京本部カンボジア事業担当の大室和也さんをゲスト講師としてお招きし、学内公開講座「AAR Japan のカンボジアでの支援活動」を開催いたしました。
大室さんにはAAR Japanとはどのような活動をしている団体なのかという基本的な知識だけでなく、そもそもなぜカンボジアではAAR Japanによる支援が必要なのかという歴史的背景を踏まえたお話をしていただきました。

講師の大室和也氏
講師の大室和也氏

AAR Japanとはもともとは「インドシナ難民を助ける会」として発足し、特定の宗教や政治思想に偏らず「困った時はおたがいさま」の精神のもとに活動している団体です。インドシナ難民とは1975年のベトナム戦争終結前後の混乱の中、ベトナム、ラオス、カンボジアのインドシナ3国から国外へ脱出した人々の総称です。しかし、現在AAR Japanはその活動を世界17か国に拡大しています。また、活動内容は、感染症対策や緊急支援なども含まれ、今回はカンボジアで実施している障がい者支援と地雷対策について詳しくお話ししていただきました。カンボジアは今から40年ほど前の内戦時にさまざまな勢力により地雷が仕掛けられ、今なお一般市民に被害が及んでいます。また、アメリカ軍により撒かれた不発弾も残っており、両方の被害を合わせると1979年~2013年の間に64,314人、うち19,684人が死亡、44,630人が負傷(手足の切断も含む)にのぼります。AAR Japanではそうした被害により手足を失った方へ職業訓練の支援や、車いすの提供、障がい児の学習支援事業を行っています。

車いす事業について意見交換
車いす事業について意見交換

私が今回の公開講座で印象に残ったのは、現地の現状に即した支援の重要性です。カンボジアではまだ道の整備が十分でないところも多く、そのため家の中と外で車いすの種類を分けなければなりません。私は無意識のうちに日本の基準に当てはめて考えていたため、車いすの使い分けが必要とは考えもしませんでした。また、AAR Japanは車いすを一方的に提供するのではなく、受け取った人が使いこなせるように使い方や簡単な修理の方法のレクチャー、現地での生産も行っており、現地に根付いた支援の形というのを学びました。やはり日本という離れた地から支援を行おうとすると、知らず知らずのうちに先入観や日本基準の考え方にとらわれ、現地のニーズに応えることは難しいと思います。この考え方は、何も障がい者支援やカンボジアに限らず、どの領域、国・地域に対しても言えることだと考えます。今回の公開講座を通じてカンボジアの歴史や地雷被害といった問題への取り組みだけでなく、「実際に現地へ赴くことの重要性」に気づくことができたので、実際のカンボジア訪問に際しても現地に行き今まで予想もしなかったことに初めて気がつくこともあるだろうと実習に対する思いが深まりました。

(文教育学部言語文化学科英語圏言語文化コース2年 望月 梨帆)

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