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ネパールスタディツアー実施報告

2017年8月27日更新

2017年8月20日(日曜日)から27日(日曜日)の8日間にかけて、全学共通科目「国際共生社会論実習」のフィールドワークとしてネパールスタディツアーが実施され、学部生11名が参加しました。
ツアーの参加者は事前学習として、青年海外協力隊を経て現在外務省で勤務されている南朋(みなみとも)さんからネパールの概要について、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンで海外事業部長を務める塩畑真里子さんからネパールの教育について、公益財団法人かながわ国際交流財団職員のジギャン・クマル・タパ氏からネパールにおける多文化共生についての講演をしていただきました。また、各自で調査研究テーマを設定し、文献に基づいて調査や、「社会・経済開発」「教育」「震災後の復興支援とジェンダー」の3つのグループごとの調査を行い、ネパールへの理解を深めました。

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トリブバン大学の学生の皆さんと

現地では、首都カトマンズ市と農村部のラメチャップ郡とカブレ郡の3箇所を訪れました。まず、カトマンズ市では、AEPC(代替エネルギー促進センター)、AITM(Asian Institute of Technology & Management)、在ネパール日本大使館、トリブバン大学、シャンティ国際ボランティア会事務所、JICAネパール事務所、中央統計局、ユニセフ・ネパール事務所を訪れました。また、JICAの方に、日本がネパールの震災支援活動を行っているパロパカール産婦人科病院、ハヌマンドカ(旧王宮)を案内していただきました。次に、ラメチャップ郡とカブレ郡では、AEPC事業地を訪れ、小型水力・ソーラー・バイオガス発電等の施設を視察しました。

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AEPCラメチャップ郡事業サイトを訪問

ネパールの地方部では、エネルギーを得る方法として薪や牛糞等の伝統的手法に依存しており、安定的なエネルギー供給が難しい問題があります。また、ネパールの国土は険しい山岳地帯を含んでおり、政府の送電網を全国に張り巡らせることは厳しいというのが現状です。そこで、農村部や山岳部でもコミュニティーが自立的に運営できる、小型水力・ソーラー・バイオガス・風力発電等の再生可能エネルギーが重要視されています。
AEPCでお話を伺った際に、再生可能エネルギーの導入・普及を通じて多面的な効果が期待できると知りました。電気アクセスを可能にするだけでなく、それを通じて地域住民の生活を向上させるということは大変興味深い点でした。カブレ郡の事業サイトを視察した際には、発電設備が出来たおかげで、それまでは村の女性が一日仕事で精米や製油していたのが、機械で出来るようになり労働時間が減少したとの説明がありました。また、テレビや携帯電話などの利用や、農作物の加工も可能になったそうです。また、AEPCでは、発電設備を住民に引き渡した後の維持・管理を重視しており、住民の中からオペレーターを選び訓練を実施しています。その訓練は1カ月に及ぶといい、持続可能性という点においてしっかりとした管理体制があるのだと感じました。実際に事業サイトを見学させていただいたことで初めて、再生可能エネルギーが地域へ社会・経済的インパクトをも与えているということがよく分かりました。

このスタディツアーは毎日が新鮮な経験であふれていて、本当に中身の詰まった8日間でした。多くの施設や機関を訪問する中で、現地の邦人職員の方々の貴重なお話を聞き、現地の学生や農村の方と交流することで、ネパールの社会や文化をより深く理解することができたのではないかと思います。スタディツアーに行って終わりではなく、この貴重な経験をステップにして各々の今後の学習・活動に生かしていきたいです。
最後に、今回のスタディツアーで尽力してくださった青木先生、原先生、駒田さんはじめ、ネパールでお世話になった皆様に、心より御礼申し上げます。

(理学部情報科学科3年 堀之内 あゆ)

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