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2017年9月10日更新
2017年9月3日から10日の1週間、「国際共生社会論実習」カンボジアスタディツアーが実施された。参加者は文理問わず3学部から、1年生8人、2年生3人、3年生1人の計12人である。
出発前は6月から8月まで3ヶ月に渡って10回ほど事前勉強会が行われ、スタディツアーにおける調査法に関する講義やJICAの国際協力専門員の方による講演などの他、予め指定された文献について意見を交換し合ってカンボジアについて学習した。指定文献を通して学んだ内容は、ポルポト支配や内戦、ジェンダーなど多岐に渡る。これらの事前勉強会を通して、専攻や学年、海外経験も異なるメンバーから多様な考えを聞くことで自分の意見が深まり、「教育」、「出産」、「IT」、「労働」、「コミュニティ」など各自が現地調査テーマを固めていった。
現地では、実習1日目は空港のある首都・プノンペンに宿泊し、2日目から本格的に始動した。2~4日目は、プノンペンから車で2時間ほどの場所に位置するカンボジア東部の州・コンポンチャムに滞在し、農村聞き取り調査を行った。ここではコミューン・チーフ、JICAのジェンダー主流化プロジェクトに参加した女性、DVを受けた女性、高等教育を受けた子どもをもつ家、出稼ぎ労働者のいる家庭など、多様なテーマを考慮した訪問先手配のお陰で、様々なお話を聞くことができた。
4日目の調査後にプノンペンに戻った後、5日目はAAR(難民を助ける会)を訪問した。AARは、インクルーシブ教育プロジェクトや職業訓練、車椅子の製造・配付などの障がい者支援を行なっている団体である。今回は車椅子工房や車椅子の受益者宅を訪問した。工房では、身体の不自由な人も多数働いており、受益者の使い勝手を考えて改良を重ねた車椅子を製造していた。また実際に車椅子に乗る体験もでき、乗り心地を体感した。その後は、AARの職員の方々と一緒にランチをした後、受益者に話を聞いた。以前は手で這って動かなければならなかったところをAARの車椅子のお陰で移動距離が広がり、家事や近所との交流が容易に行えるようになったなど、貴重なお話を聞くことができた。
6日目にはCJCC(カンボジア日本人材開発センター)とJICAを訪問し、カンボジアと日本の関わりについて学んだ。CJCCでは同年代の日本語を学ぶ現地の方と交流し、授業の様子を見学した。日本語を学ぶ理由として、アニメを始めとする日本文化や、日本への憧れがきっかけとなっている人が多いことが印象的であった。JICAではカンボジアで行なっている支援事業について説明を受けた。説明後には質疑応答の時間があり、6日間カンボジアで過ごしてみて生じた疑問を、現地で長年支援を行なっているJICA職員の方々に伺うことができ、大変有意義な時間となった。
最終日7日目にはトゥールスレン虐殺博物館を訪れた。ここには、思わず目を背けてしまうような、当時の様子を再現した展示がずらりと並んでいた。この衝撃は一生忘れられないし、忘れてはならないと思う。ありきたりの言葉になってしまうが、世界平和を切に願った。カンボジアを訪れたからにはと、この博物館を日程に組み込んでくださった原先生に感謝している。
以上、事前学習と7日間の実習で各自が様々な学びを得た。7日間という決して長くない期間ではあったが、農村にも都会にも訪れ、現地の人とも日本人ともお話しさせていただき、様々なテーマについて調査できた大変充実した実習となった。
最後に、現地で温かく迎え入れてくださった皆様、特に、現地で通訳兼ガイドを務め、私たちのツアーに同行してくださったポマさん他、皆様の支援のおかげで、今回こうした充実した体験をすることができた。心より感謝申し上げます。
(文教育学部人文科学科グローバル文化学環2年 青柳 里咲)